文化産品の巨大な貿易格差を克服できるのか

05/09/22 南方週末 趙建雄

 「人民日報」は国務院新聞担当者の話として、西洋など発達した国家から、中国など発展途上国に向かって流れる情報文化量の差は100倍を超すと発表し、これは世界が中国を理解することを大きく阻害していると述べた。

 21世紀の技術革命は発達した国家のニュースや情報伝達量を圧倒的に拡大した。逆に発達途中の国は情報を送り出すのに大きな困難を伴っている。これは同時に貿易額に比例し、図書や新聞、音像製品、電子出版等々に於いて発達した国家から中国などへ一方的な勢いで流入している。
外国が中国への認識が少なければ、他の貿易産品に置いても理解が難しく、輸出拡大に大きな影響を与えている。

 後進国は人件費の低廉さなど優位な面もあり、それが貿易にプラスしている。発達した国家は経験豊富で、これが各種貿易に優位となっている。
文化産品も他の貿易品と同じく消費者の満足を得るものでないと受け入れられない。中国は貿易の経験が短くその経験が少ない。

映画を例に取ると、外国で評判の作品は中国では政府の許可が取れず輸入が出来ない。そうすれば今世界で何が必要か何を求めているか、判断できるだろうか。やはり世界の作品から、その中に含まれる経験を掴むことが大切ではないか。
 中国には5千年の歴史がある。そこに存在する伝統から出発して、現代化して、それから世界に愛される産品が生まれるだろう。

 現在の世界の貿易体制には不合理な面があるだろう。しかしそれらを取り入れなくして中国の現代化と貿易の拡大は生まれないだろう。
 
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訳者注
 中国映画の人気俳優、コン・リーさんは「私の作品は生活をリアルに描いたものが多く、国内では発表できず海外で有名になった」と述べています。
 唐山地震で紹介したように中国政府は今でも「闘争勝利に結びつくものを許可する」、と言う方針は変わっていないのでしょう。
 中国の真面目な作品は党員による”人権侵害”や”中国政府の非科学性”が必ず登場するので、政府の許可が取れません。
 だからここで述べている問題提起で、情報の輸出を阻んでいるのは「後進国だから」だけではなく、中国の民主化が基本だと思います。
 例えば「ワイルド・スワン」は全世界で大ヒットしました。私の翻訳を呼んでいただいている多くの方はその本を読んでいるでしょう。しかもその流行は5年くらい続き、日本の書店でも店頭を大きく占めていました。 でも著者は海外に逃げてから発表しました。

 私が中国にいたとき、(99〜00)、テレビには日本の漫画が幾つも登場していました。それは世界的な事らしく、アフリカやヨーロッパでも日本の漫画は人気があるそうです。
 また、中国独自に創ったテレビ番組で、とても惹き付けられた作品もありました。
 例えば中国とロシアとの国境で両国をまたがって家族が生活する作品など、登場人物の顔かたちやその服装から文化的なものまで、全く経験できない世界を描いているという気がして、大きな魅力を感じました。
 日本人がシルクロードに惹き付けられるのは、見知らぬ世界というものに対する憧れではないでしょうか。そのような見知らぬ世界を中国は数多く持っているはずです。
 全てを党が指導して作品が出来る、と言う方法を改めれば、素晴らしい芸術
や作品が生まれる歴史的伝統と地理的優位を持っています。