中国の低賃金と将来


04/05/06 南方週末 薛涌

 中国は今後50年間続けて労働賃金が低く、世界の競争に勝ち続けるだろう、と言う人が居る。
 現在中国の農村には約1億5千万人の失業者が居る。これは米国全体の実労働者数である。これはまた同時に中国の低賃金が上昇しない最大の原因でもある。しかしこの低廉価の労働力が世界からの投資を引きつけている。これが現在の世界経済を動かす中心的な力でもある。しかし長期に労働価格が低迷するなら、中国の将来の発展は極めて大きな危機を抱えていることを知るべきである。
 労働賃金が低いことは競争には優位である。この理論は賃金価格と労働の価値とを混同している。労働の価値は時間あたりの生み出す価値である。これが何時までも低ければその社会は発展しないと言うことだ。
インドの労働生産率は米国の15%である。もし米国の工賃の20%をインドの労働者に与えれば、それは米国よりも高額となる。
低廉な労働賃金は中国人に巨大な労働の場を与えている。しかし中国人にとって賃金の低いことが自分も自分の子供の代も生活を向上できないことになる。農村から臨時工が都市へ大量に流入しているがその現象は何時までも続くことになる。それは労働生産率が向上しないからである。
 ボストンのある研究期間が発表しているように、中国は低級な技術のみを現在集中して活用しそれに甘んじている。しかもこれは悪循環して現状維持の傾向を生んでいる。
 このことは例えば米国の計算機関係および高度工業技術の投資はインドに流れ、現在インドは世界の事務所と言われつつある。インドの一般労働生産率はまだ低いが、技術者の労働生産率はほぼ米国と同等になっている。インドは外資を引きつけるときに、低級だけを追うことはなかった。
 今後の50年で中国の人口調整が上手く行ったとしても、児童の出産を押さえてきたことで、現在もすでに高齢化社会に成りつつある。この様な状況下で中国の労働生産率が低く低賃金ならば50年経っても現在とあまり変わらないだろう。自分の生活の維持だけで苦苦とし、子供の教育に投資できない状態が続く。
 日本は1960年代に経済が飛躍した。この時に工賃も上がったが、労働生産率を向上することが主眼とされた。現在日本の機器は世界で最も多く使用されている。
 日本も高齢化社会に入り、経済の停滞は10年を超えている。若者が高齢者を養うことが困難な社会に突入している。この減少は1960年代初期に予見されたのではないか。

訳者注:
 日本の高度成長時、何を主眼に追求したか、は政治的社会的統一見解があったとは思えません。(この記事ではあたかも何か意図的なものがあったように日本を高く評価して書かれていますが)
 ただ闇雲に「仕事、仕事」で働いたような気がしています。そうさせたのは何でしょうか。
 一つは、以前の翻訳にも有りましたが、地球規模で、家電製品を必要とするなど、ちょうど日本の企業進出を待っていたような時代があったこともその一つでしょう。
 多分日本人の教育熱心、これは武士の時代から有ったようですね。寺子屋とか。識字率・進学率は世界一になりした。
 この10数年、日本は障害者が社会へ出ることでは法的に大きく変化しました。それを追究したのは、国連と障害者自身の力が多きいのではないでしょうか。

 ただし、中国人の教育熱心も凄いですよ。私の家に遊びに来ていた中国人夫婦は3歳の子供に漢字を教えていました!
 大連にいたときピアノを習っている子供と知り合いましたが、そのピアノの練習量の多さは日本の倍くらい有りました。
 何を勉強するにしても競争相手が多いからでしょうか。
 話はずれますが、日本語の「勉強」は中国では強制(むりやり)という意味で、向こうでは「学習」という字を使います。