鉱山労働に立ち会う


04/09/16 南方週末 柴春芽


曲がりくねった抗道を約半時間ほど歩く。抗道は次第に小さくなり腰を屈めないと前へ進めない。やがて目当ての石炭層が青光りに見えてきた。
 作業員達は膝を突いて匍匐前進し、両手に機械を握って削岩を始める。辺りは直ぐにもうもうたる煙、隣の人影さえ見えなくなる。

 中国東北部には大型の炭鉱がある。記者は作業員に従って地下に潜った。そして身を以て作業の極めて重労働であることと危険性を感じた。

 今中国の重大危険事件の中に、炭鉱は常にトップの10列に並ぶ。
 今年の8月メディアに登場した危険な事故の中で株の投資が炭鉱の事故を上回っている。しかし、その評価は直接損害の金額で計られたものである。もし失われた人間の価値を考慮すれば炭鉱事件がトップに来るだろう。

 記者が所有する資料の中でも、直ぐに次のような炭鉱事件が思い浮かぶ。
今年の3月1日に山西省晋中市連福での炭鉱爆発で32人が地下にいて、28名が亡くなった。
 5月4日、太原市万柏林区の炭鉱地滑りでは8名が生き埋めになった。
 6月25日、貴州省六盤水市の炭鉱水没事故では七名の作業員が災難にあった。
 7月27日、湖南省蓮源市の炭鉱ガス爆発で16名の命が奪われた。
 8月14日、沈煤紅菱炭鉱事件で5名の命がなくなった。
 9月9日、雲南省富源県竹園の鉱内天板墜落事故では10名が受難。
 正に残酷な数字ではある。炭鉱関係の生産関係者の責任が重大であることを示していると同時に、作業員の生命が軽視されているということではないだろうか。
 
 記者を案内した作業隊長は「毎回高度の緊張で仕事をしている。特に昨年旧正月にガス爆発事故があり、48名の仲間が死んだ。そのことが何時も頭から離れない」と言う。
その事故の時は損害金額が大きく、数ヶ月賃金が支払われなかった。

今年の春、石炭市場は価格高騰を続けている。炭鉱経営者の日々は喜びがふくれる一方である。
「安全対策は全てに勝る」と言う標語が掲げられている。「危険対策なければ作業はしない」というのもある。
 まさに安全対策が切実な問題である。

*************
訳者注:東北の炭鉱は世界の中でも大きく、全て国営。
抗道の入り口で青色の作業服
に着替え、たくましい男達が小
さなトロッコにのって抗道を下っ
ていく。中へ入るに従って後ろの
太陽は直ぐに小さくなっていく。
そして前面には真っ暗な世界が
待って居る。作業員達が頭に付け
た灯火がまるで蛍が飛び交うよう
に暗闇を走る。