新築法院の工事費がもらえない


04/04/08 南方週末 張立

 概略 01年2月6日、広西自治区北流市の法院新築の契約が法院と同市「建築請負商公司」との間で交わされ、工事がスタート。契約額は 519万元、6階建て、面積7000平米、工程は336日以内となっていた。
工事が開始したが、半年経ち工程が半分以上進んでも法院は契約金を払わない。公司の支払った金額は280万元を超えていた。職人達への賃金も払えなくなり、公司は法院と何度も掛け合ったが一向に音沙汰無し。やがて工事職人達が賃金支払いを求めてストライキ。工事もストップした。するとすぐに法院は工事延期による違約金を請求。これに公司は頑強に抵抗。ところが翌年になって法院は別企業に残り工事を発注。
 この企業はこれまでのいきさつを聞かされておらず、事情を知って内装のみに変更。そして月20万元以内の仕事量とし、支払いが終われば次へ進む契約とした。
これを聞いて公司は「このやり方は1人の女が2人の夫を持つようなことだ」と驚いている。法院へ掛け合うと「すぐに現場から引き上げろ。公務の邪魔をすると逮捕する」と公安や警察車を動員して脅かすだけである。

 4月5日、記者は法院を採訪した。記者の到来を聞くと法院は突然静かになり人声が途絶えた。4階にいると言われる法院長張万龍を尋ねると、「私は新参者です」と名乗る人が出てきて「今は何処に居られるか判りません」という。1時間ほど建物を探し廻って主任の黄捷氏に出会うことが出来た。彼は記者に「上級の許可が出る前に記者に会うことは禁じられている。これが法院の規則だ」と言う。「記者でなければ良いのだがね」と言うので、「では何処へ行けば許可が得られますか」と尋ねた。主任の答えは「当然、そのようなことは法院ですよ」と言ってのけた。

上記記事続き  04/04/22 何雪峰

 上記記事が発表されて高等法院はこれを重視、4/20日午後、当自治区で新聞記者への発表会が開かれた。
 南方週末の記者には会わなかった法院長、張万龍も出席した。
先ず法院側から「多少の違約があったようだが、まだその詳細は調べていない」との見解が述べられた。「ただこの様なことを書かれるような状態は好ましくないので、充分調査をする」と言う。
さらに「諸外国は法院に関することは国家がその財源を保証しているが、我が国では法院自身が予算を工面しなければならず、現在裁判件数が増えているがその審理をする場所がない。それを解決する費用の出所がない。法員の中には研究資料を自費で購入している人もいるくらいだ。」とここまで説明してその副法院長は感極まったように泣き出した。
 他の記者が、「法院の仕事の困難なことは解りました。法院の財政も大きな問題ですね。しかし工事会社が金額を貰えないのも大変なことです。法院が困っているからと言って金を払わなくて良いことになるのでしょうか?」と発言した。


訳者注:
 私は最初中国新聞の翻訳を始めた意図は、社会主義にも歴史に残るような良い面があるのではないかと思って始めました。でもこれまでの所本当に何もないですね。この記事を訳していて、ひょっとすると私は中国国家の崩壊を今に見届けることになるのではないかと思いました。ソ連も崩壊の頃は炭坑爆発や機関車衝突などの大事件が頻発していました。
 それにしても民間会社に工事代金を支払わないと言うのは、官僚主義と人権無視が強烈に残っていることを示していますね。
 もし数年前までのように新聞報道がなければどうなっていたでしょうか。もっと早く崩壊していたかも。
 良くもここまで中国が生き残れたものと感心します。