彼女たちは現在青春真盛り

03/09/25  南方週末   南香紅

 最近の農村から都市への出稼ぎ者の内、女性が約4割を占めている。有る専門家の推計によると中国全体で3千万から4千万人の農村女性が都市へ流動している。

 彼女たちの中には未婚のまま年を食った人も多いようだ。

 中国社会科学院の譚深氏などの研究によると、男女とも都市へ流動している人達の多くは結婚年齢が次第に高くなってきている。そして相手に求めるレベルも高くなってきているようで、その結果女性間の衝突も当然起こっていると見られる。
 一般的に言って、男性は都市へ流動した後もそこに慣れることは極めて遅い。例えば3年経過しても彼等は一目で農村出身だと見て判る。だが女性はどうか。8ヶ月も経てばすっかり都会人として通用する化粧を身につけていく。ただ注意して見ると、都市の女性に比べやや化粧の度がきつい。有る調査会社の話によると、都市へ流動後の男女の結婚への動き方は大きな開きが出るようだ。

 農村男性が都市で相手を捜す例は非常に少ない。ほとんどの若者は農村へ戻ってから相手を捜す。都市で良い仕事に就けた者はまた結婚相手の選択範囲も広まる。
 一旦都会で働いた経験を持つ女性はこれとは逆に農村へ戻っても、都会へ行ったことのない男性を選ぼうとしない。それは農村の男性の考えが「堅く旧い」と見えるからで、つまりそれだけ女性は都会で一種洗練されていくのだ。
 先ず一つの選択は、彼女たちは出来れば都会の少し身分の低い男性を選ぼうとする。これで彼女たちは都会に住む身分証(居住証)を得ることが出来る。 
 第2の選択は都会で出会った同郷の男性と結婚する。第3の選択は他郷から出稼ぎに来ている男性。第4は一部の人だが何時までもさすらいの旅を続ける人もいる。
都会で相手を捜すとなると、どうしても一見うだつの上がらない男性となってしまう。 それに対し男性が都会の女性を見つけるときは、低層階級の中での良い相手を捜すことになる。
 田舎出で容姿端麗な女性の場合、もし都会でそれなりに格好良い男性と出会った場合、彼女にとってそれは素晴らしい門出を意味する。彼女よりぐっと見劣りする男性と出会った場合、彼女にとって少し辛いものとなる。彼女たちにとって人生の将来性はほとんど男性によって決まる。

 前出の譚深氏は彼氏の妹と友達となった農村出の女性と話したことがある。その人は18歳の高校生で、頭が良く背が高く、又美しい。字を書くととても綺麗だ。そして将来の夢も大きかった。彼女は思いきって出稼ぎにチベットへ出かけた。その後数年しても連絡は来なくなった。やがて判ったことは彼女は農村に戻り既に結婚していて、その相手が出稼ぎに出かけることを許さないと言う。彼女は日々に鬱屈を感じているが打開する方法はない。
  
青春の後に待つもの、それは”「お家」のため”

 現実に出稼ぎに行く女性達が、自分の望み通りの男性と出会う可能性は極めて低い。いろいろ打開策を考慮しつつ、だがあきらめの人生を過ごすことになるのが普通だ。
 都会で未婚だが高年齢に達している女性のほとんどは、彼女自身に何か優秀なものを身につけている。高学歴、技術、人材、或いは都会で事業を始めた女性など等である。
 彼女たちは様々な農村から都会へ来ているが、しかし結婚できない苦痛は共通している。

現在の戸籍制度ではいつかは故郷へ帰らざるを得ない。だが気持ちの上では帰りたくない。農村へ帰っても年上の女房を貰う習慣が農村にはない。しかもそのまま年を取った場合、高年齢の女性が一人農村に永住する場所はない。
 かといって都市に永住することも又大変難しい。都会では必ず仕事を持っていないと住めない。仕事が無くなれば生きることは不可能だ。都会が彼女たち農村の女性を必要としているのは、彼女たちの青春のみだ。すなわち18歳から24,5歳までの6,7年間である。 彼女たちは同じ農村出身女性の中で淘汰される運命の中でのみ生きていける。最終的には都会からは追い出される。
 彼女たちは年取ってからは農村に住む場所はない。かといって都会に住み続けることは出来ない。

 未来無き女性達の気持ち

 深土川(しんせん)、広州などの農村出身者でびっしりと密集している有る宿舎で、23,4歳を迎えている女性達は周囲の18歳程度の女性を見ながら将来を考え悶々としているのである。
 譚深氏は10年に亘る農村の出稼ぎ女性達を調査する中でこのような女性達と数多く出会ってきた。
 彼女たちは結婚に美しい未来を描いている。素晴らしい相手に出会うことを夢見ている。しかしその夢が実現するか実現しないか、確たるものはない。しかし年齢の限界は目の前だ。
 中には仕方なく「囲われ者」となる人もいる。そして彼女たちが産んだ子供はどうなるのか。残念ながら譚深氏の調査にはまだその例がない。   
譚深氏はこれまでの調査を分析して、彼女たちの将来を改善するために次の結論を出している。
 出稼ぎをしなくて良い生活。安定した生活が可能な収入。どこかに安定した居場所を与えること。しかしこれらは共に実現は難しい。 
訳者注: 
 ああ、残酷物語。日本でも戦前の法律では女性は結婚しなければ住む家がなかったのではないでしょうか。但し日本の場合居住証というものがなかったので、都会に出ることは可能でした。また年上の女房も居たのでは。 中国では農民は一生農民です。これはそもそも計画経済のために作られた法律。現在は市場経済なのにまだその法律を温存しているのが頷けません。
 この記事を中国の支配者はどんな気持ちで読んでいるのでしょうか。まだ19世紀以前の封建社会に住んでいるつもりなのでしょうか。
 最近発表された中国の「結婚」届けの簡略化で職場の許可がいらなくなりました。今まで必要だった職場の許可というのは、職場を「単位」と称して、これは又「ソビエト」とも言いますが、「単位」で全ての生活や人生を管理する思想から来ています。中国では「一人っ子」政策ですから、結婚後子供を生むこと(その妊娠許可を与えること)も、職場で管理しています。こんな政策、日本や他の資本主義国だったらもう暴動が何回も起こっているでしょう。