新彊で反動的な詩朗読事件
02/09/20  青年日報

新華ニュース、ウルムチ9/19発電。
 新彊ウエイアル自治区の党規律委員会は今年1月1日発生した反動詩朗読事件を厳重に調査中である。
 今年1月1日の夜、新彊歌舞団は人民公会堂で独奏音楽会を催した。そこへ無職の一人の男が登壇し、強烈な反社会的、反現実的、反政府的な傾向で扇動性強烈な詩を朗読した。それは充分悪劣な影響を作り出した。
 自治区規律委員会は党の要求に基づいて、この事件に慎重に調査を始めている。その結果この事件が民族分裂をもたらすことを目論んでおり、民族団結と祖国の統一を乱すことを狙ったことが明確になった。
 しかしこの調査で自治区文化部と当日演奏の職場(単位)の最高指導者たちの無責任な態度がこの事件を作り出したことが判明している。最高責任者の職務怠慢であり、重大な政治責任を伴っている。

 中国の党と自治区の党、人民政府、国務院、等は新彊各部門に厳重なる警告を発した。自治区、単位、文化部、歌舞団、それぞれは厳粛な批判を受けた。

 自治区規律委員会は通達を発し、この事件の詳細を明確にした。そして全国の各地区の党と指導者はこの事件に学び、民族と祖国分裂の反対闘争に団結し、高度の政治的警戒心を高め、人民の根本利益を守る立場を鮮明にし、敵と闘う旗幟を大きく立て闘争しよう。


 訳者注:
 この文章を読むと、他の国民ならびっくりする言葉使いですね。しかも詩の朗読を国家全体の存立問題にしています。
 少しこの文章を考えてみると、新彊で今年の1月1日(旧暦かも)歌舞団の発表会で「新彊独立」の内容の詩の朗読をした人がいたと言うことですね。それが主催者の許可を正式に得ていなくて、しかしそれほど無理矢理に飛び込んだわけでもなくて発表されて、その内容が相当に新彊の人々の心を捉える上手な内容だった、と言うことでしょう。
 主催者が怠慢で、詩の朗読が許可されたと言うことは、新彊自治区主催者も独立に賛成しているのではないでしょうか。 

 この記事が事件(?)の半年以上経ってから、このような言葉使いで発表されていることにも、普通の国ではない異常さを感じます。
まるで現在戦争中のようです。この敵と闘うと言う言葉が使われると、何か心配になります。
 建国以来、党は国内に仮想敵が居るものとして国民を支配してきました。党の独裁には極めて方便ですが中国人にとっては大変な災害をもたらしました。
 建国後30年間、なんとほぼ全ての中国人はこの発想の党の指令を受け、それが「正しい」と受け入れていた時代がありました。その30年間は誰もが、自分を守るために、友を裏切り、家族さえ党に告発してきました。
 そして最近では12年前に中国の国家が天安門に集まった学生たちを敵だと認定し戦車を送りました。戦車を送って自国の学生に銃口を向けた司令官は国家の名において「勇敢に敵と闘った」として褒賞されています。
(最近の情報では死者は300人前後と記したものがありました)
 このような再現が、今中国に投資をしている外国企業の一番恐れるところですね。
 何時このやり方で気に入らないものを「敵」として弾圧するか、世界中の心配するところでしょう。何しろ政府のやることは全て正しいのです。
 でもそんな時代は終わったかと私は一時楽観していました。でも、この記事を見る限り仮想敵が国内にいるという党側の発想は全く変わっていませんね。ただし、最後の「旗幟」の前に「マルクス・レーニン」と言う言葉が入っていないのはどうしてでしょうか。つい最近まで必ず入っていました。この面でも近代化・現代化が進んでいるのでしょうか。
 今後世界の情報が中国に入り、中国人が世界のことを知れば、このような「国内への厳重注意」という記事が増えるのではないでしょうか。

 この2ヶ月ほど「青年報」は第16党大会を成功させるために、「3個の代表」という論文を学習しようという記事が続いています。
 そして第16党大会を控えて青年たちは希望に燃えている、という写真と記事が並んでいます。
 さらに共青団の目標として400万人の職のない青年達の就職を解決しよう、と言う記事もあります。

 ちょっと話が変わりますが00年7月、私は中国人に案内されて上海に有る新彊人が経営する食堂に行きました。
 簡単な舞台があって新彊の歌と踊りを見せてくれました。
衣装は赤と白が主でとても華やかで、顔つきは西洋的で、音楽もなんだか聴いたこともないようなリズムで、本当に異国に来た雰囲気を楽しみました。
 この様な異文化を体験できるというのは、生涯にそう何度もないでしょうね。この様な新鮮な体験をするために人々は世界を旅行したいのだろうと思いました。
 中国が色々な文化を包容できるとしたら、それは中国にとっても世界の人にとっても、とても素晴らしいことだと思います。ただしチベットのように自国文化を押しつけていては、何時までも仮想敵の反動を心配しなければなりません。
 10/22

 完