みつあみの少女

1989年ー1990年
乾漆

沖縄県芸で助手をしながら、何点かの首を作った。その初めの作品。塑造でもモデルを見ながら作るのではなく、自分のなかに蓄積されたその人のイメージのようなものを、もう一度、再生させて形にする仕事を始めた。
日芸には無かった日本画や工芸科が沖縄の学校にはあった。日本画の顔料はとても綺麗でこれを使ってみたいと思った。彩色というのもかなり彫刻の世界ではタブー視される傾向があったが、ひとつの素材という形で入ると抵抗なく入っていけた。
彫刻を作っていて時々なにか自分以外の力に助けられ作品が生まれる感覚があるが、このときはそういう力というようなものを最も強く感じた。
始めて自分のオリジナルな仕事が生まれてきたと思う。自分のオリジナルな物が出来てくると、それは自分以外に作る人がいなくて、自分がやめればもう作られることがない。自分の世界が表れてきたことは自分でもとても面白く思えて、彫刻が自分に欠かせないものになっていった。


みつあみの少女


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