楠の木3

2006年
紙、鉛筆
56×76cm

アトリエの工事があって使用できず、この夏は、毎日イーゼルと大きな手製のカルトンを車に乗せて、木の素描に出かけて。 素描は自分にとって、とても大切な仕事だ。 普段から、裸婦デッサン会に出て裸婦デッサンを描いているが、裸婦に限らず自然にあるいろいろなものを描いていきたいと思っている。彫刻では、やはり人体というものが主要なテーマになっているが、それ以外の物を描き彫刻ととも発表することで、より広がりのある生命感というものを表現出来たらと思う。なんというか人間が中心というのではなく、人間も自然の一部として生きているという感じかな。 彫刻を作る行為は、自分のなかのエネルギーをかき集め詰め込む、おおげばに言えば命を削りながら産み出す行為だ。それと比べて素描は描くことを通じて、対象からエネルギーをもらったり交換したりしながら心を充足してくれる気がする。 特に樹木を描くときは、対象が圧倒的な力をもっていて、そこからエネルギーをわけてもらえる気がする。そうして描かれた素描がまた人に何かを伝えてくれたらうれしい。 この楠の木は、藤沢の北部の大庭城址公園にある木で、広い公園に誠に美しくたっている、とても幸せな木だ。その幸せな木をきっと沢山の人に多くの恵みを与えながら生きていると思う。

楠の木3

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