掘り出されたかたち

1984年
石膏

大学の1,2年とかなりいろいろな美術を模索していたが、塑造実習の時間はいつも真剣に塑造に取り組んでいた。しかしあいかわらず空回りはつづき自分が納得できるようないい塑造は出来なかった。それでも熱心にやっているぶんの造形力のようなものは養われてはいたのかもしれない。
3年生になり、いくら良い物を作ろうと考えても出来ないことに開き直り、もういいものを作ろうとか考えるの止めて、その頃よくいわれた感性というのも無視して、ただ単純に理論的に作ろうと思って実行した。もともと理数系体質なので理数系的にやることにした。それとそれまでもモデルを見ていると、作るより壊してしまうのでなかなか出来ないという繰り返しが多かった。モデルと作品の違いが気になるのである。そこでモデルのいない時間に時間をかけてつくる、モデルがいるときは壊す、というやり方をしてみた。
そうしたら、今までの空回りが収まり彫刻が出来てきた。自分でも衝撃的だった。塑造が出来出すとそのことが嬉しくて楽しくてしかたなかった。もともと具象彫刻が好きで彫刻を始めたから、塑造が出来るようになると迷いがなくなり、人物を作っていきたいと思うようになった。


掘り出されたかたち


掘り出されたかたち

戻る