1984年-86年
石、黒御影石

3年の後半に彫り始めた石は、卒制になり、その後も夏まで仕上げにかかった。時間はかかったが石を最後まで彫り上げたことは、彫刻を作る自信になったと思う。
古典に強く興味をもっていた。その中でも、グディア像に代表されるシュメール彫刻に当時ものすごく惹かれた。最も普遍的なものを感じたのではないか。日本にもブリヂストン美術館や中近東文化センターに実物があり、繰り返し通い眺め続けた。微妙に左右がづれているのがどうしてか?しつこく悩んでいた。
そして首がつくりたかった。やはり彫刻の最初はごろんとした形であり、自分はそこから始めないといけないと思った。
シュメール彫刻の黒い石は、黒御影石になり、1学年下にエキゾチックな目鼻くっきりの女の子がいてくれて、彼女をモデルに大きな石の頭像を制作した。
たぶんシュメール彫刻の真似といってもいいと思う。だけど真似をすることだけでものすごく大変なことだった。
自分がどうして、古典が好きなのか考えてみると、自分は彫刻の時間の流れを越えるところに惹かれたんじゃないかと思う。つまり自分も含め多くの生命、物が失くなる。その時間の流れに逆らい存在しようとする彫刻というものが好きだったのだと思う。他の人が物を作るのが好きだから、というようなのとちょっと違う。またそのあたりが自分の作品を残そうということに対する執着の強さの原因だと思う。



姫


姫




研究生2年生の時にその前の年に始まった北野生涯教育振興会の「彫刻奨学金」をいただきました。私は日芸の教育方針とはずれていたので、賞とか何か貰いことは無かったのでかなり驚きました。具象の作品が望まれたのだと思います。貰った奨学金の一部で石の台を造り、今は山梨県笛吹市にある「藤垈の滝大窪いやしの杜公園」に設置されています。
多くの人が来るところではないと思いますが緑に囲まれた大変良い場所だと思います。





























公益財団法人 北野生涯教育振興会 彫刻奨学金のHP


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