さてこの度私は久しぶりに長編に取りかかり、銀の鈴社という出版社から新しい本を上梓しました。題名は「マンジュ」といいます。ファンタジー仕立てではありますが、日本の現在にかかわるテーマを元にしています。読んでいるうちに、その暗い雰囲気に辟易なさる方もあるかもしれません。しかし最後には希望の光を感じることを確信しております。
両親が行方不明になり主人公クーは養護施設で生活していくことになります。そこで友人を見出し、ともに運命を切り開いていく内容です。
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マンジュは施設で暮らす子供たちの守護霊です。一番弱く攻撃を受けやすい子供の助けになり、そっと秘密を明かしてくれるのです。マンジュは家族の複雑な過去や事情も知っているようです。そして行方不明になった両親がいるゼクラホギという異界へ、クーを誘っていきます。
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今は大人にとっても、生きる方向性を見出すのが難しい時代となっています。思春期を迎えた子供たちは壁にぶつかり悩むことも多いと思います。理不尽な運命や社会に怒りを抱くこともあるでしょう。その中から自分自身を発見していってほしいという願いを込めて、この作品を書きました。
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出版に際し、いつも暖かく励ましてくださった皆様に心より感謝します。お礼といたしまして、ここに謹呈させていただきます。
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2003年12月吉日
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江副信子 |