厚生省関係のニュース



低用量ピル販売開始 「定着には時間がかかる」製薬会社

(平成11年9月3日付朝日新聞)

  低用量の経口避妊薬(ピル)が2日、製薬会社から一斉に発売された。診療所などでは、さっそく女性やカップルが医者から説明を受ける姿が見られたが、まだ少数に限られた。「解禁」といっても医者の処方が必要で、医療保険も適用されない。メーカーも「定着するには時間がかかる」 と冷静な反応だ。避妊の選択肢が増える期待と、性感染症の広がりへの懸念が同居する「ピル解禁の時代」はじわり、訪れた。  

   (中 略)

  低用量ピルのメーカーは9社。各社が購入対象者とみているのは、おおむね18―40歳の女性で、現在国内に約2000万人いるという。このうちすでに中・高用量ピルを使用している女性は約1%にあたる15万―20万人と言われている。

  発売開始で、明治製菓は「初年度で使用者が2―3%に増えるのではないか」と推測するが、「避妊の手段として定着するには時間がかかるだろう」としている。

  ピルの製造、販売にかかわる製薬会社は一般の人に知識を普及するため、共同広報機関の「OC(経口避妊薬)情報センター」を発足させた。問い合わせは03・3814・1809(東京)と06・6266・2488(大阪)。
 



低用量ビルを承認ー厚生省ー

(平成11年6月17日付朝日新聞)    

  厚生省は16日、ホルン量の少ない低用量の経口避妊薬(ピル)を医師の処方が必要な医薬品として承認した。早ければ8月中にも製薬会社9社から16品目が販売される。医療保険は適応されず、患者の自己負担となる見通しだ。

  低用量ピルは健康な女性が服用する医薬品のため、特に副作用に注意し、適正に使用することが重要として、厚生省は同日、全国の医整機関や薬局に対して、@医師の処方せんがなければ販売してはならないA処方せんの内容に疑わしい点がある場合は、必ず処方せんを交付した医師に確かめる−など、慎重な対応をするよう各都道府県を通じて指示した。承認の際に、このような通知を出すのは、今年1月の性的不能治療薬バイアグラに次いで2例目で、異例の措置だ。

  承認されたのは、9社16品目の低用量ピル。黄体ホルモンと卵胞ホルモンの二種類の合成女性ホルモンが配合されている。月経の初日から21日間または28日間毎日決まった時間に一錠ずつ飲むと、避妊の効果がある。

  ただ、血管内で血が固まる血栓症などの副作用があるため、乳がんや肝障害、高血圧症の症状がある人、35才以上で1日15本以上たばこを吸う人らは使用禁止とされた。また、40才以上や肥満の女性らには慎重な投与が必要とされている。
 


低用量ピルが正式に承認決定 申請から9年でやっと

(平成11年6月2日付朝日新聞)

   ホルモン量の少ない低用量の経口避妊薬(ピル)について、中央薬事審議会(厚相の諮問機関)の常任 部会は2日、医師の処方が必要な医療用医薬品として 承認することを決め、宮下創平厚相に答申した。1990年の申請から異例の長期審議が行われてきたが、今月中にも正式に承認さ れ、早ければ8月末にも、製薬会社9社から16品目が販売される見通しだ。市販後、調査を必要とする再審査期間は10年とされた。厚生省は「病気の治療 薬ではない」として、医療保険は適用しない方針。

 承認されることが決まったのは、日本モンサントの「シンフェーズ」(商品名)▽第一製薬の「ノリニール」▽ヤンセン協和の「オーソ」▽明治製菓の「エリオット」▽日本シエーリングの「トリキュラー」▽山之内製薬の「リビアン」▽日本ワイスレダリーの「トラディオール」▽ 帝国臓器製薬の「アンジュ」▽日本オルガノンの「マーベロン」など、9社16品目。

 血栓症などの副作用があるため、乳がんや肝障害、 高血圧の症状がある人、35歳以上で1日15本以上 たばこを吸う人らは使用禁止とされた。40歳以上 や、肥満の女性などは慎重に投与する必要がある。ピルの承認でエイズウイルス(HIV)など性感染症(STD)の拡大が懸念されていることから、今回の承認決定の過程では、添付文書のほか、服用者、医師向けの情報提供資料の内容も細かくを審議された。使用上の注意の冒頭で、STD防止のためにはコンドームの使用が有効であることを服用者に示し、STDの検査の実施を検討するよう求めている。

 低用量ピルは1987年に5000人の臨床試験が行われ、90年7月から91年9月までの間に製薬会社が承認申請した。しかし、92年には、HIV感染を拡大するなどの 懸念が出て、審議が突然中断した。承認を求める女性団体などの声を受け、審議が再開されるまで3年かかった。97年2月には、常任部会の下部組織である調査会が「医薬品としての有効性と安全性が確認された」との報告書をまとめた。しかし、STDのまん延を懸念する意見は根強く、公衆衛生審議会に意見を求めるという異例な手続きを踏んだ。公衆衛生審議会から「性感染症の拡大を予防するための対策強化が不可 欠」との意見が示され、同年12月からは常任部会で審議されていた。最近では、内分泌かく乱
化学物質(環境ホルモン)との関連で、ピルを服用した女性の尿から排出される女性ホルモンが環境に悪影 響を与えるのではないかとの懸念も示されたが、3月の常任部会で「ピルだけを問題にすることはない」との結論を出していた。

 低用量経口避妊薬 黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2種類の合成女性ホルモンが配合されている。生理の初日から21日間または28日間毎日1錠ずつ飲むと、排卵が抑制され、避妊の効果がある。正しく飲めば、避妊効果は100%に近い。
 


ピルの実質的な審議終了、6月に承認が決まる見通し

(平成11年3月4日付朝日新聞)

   中央薬事審議会(厚相の諮問機関)の常任部会が3日開かれ、低用量経口避妊薬 (ピル)についての実質的な審議を終了、6月に開かれる同部会で承認が決まる見通 しとなった。承認申請が出されてから9年。安全性、有効性の確認後も、エイズウイ ルス(HIV)感染の拡大懸念や内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の議論が出 て、長年先送りされてきた結論にようやく終止符が打たれる。世界の先進国で唯一、 ピルを認めていなかった日本の女性たちは、早ければ秋にも医師の処方のもとで、使 えるようになる

  常任部会はこの日、ピルの環境ホルモンとしての評価と性感染症まん延防止対策に ついて審議。服用した女性から排せつされるホルモンの量は、服用していない女性か らの量と同程度で、現段階では服用だけを問題とする必要はないとの結論を出した。

  さらに、常任部会は、医薬品を承認審査する立場からの性感染症対策としてピルが 性感染症を防止するものではなく、感染防止にはコンドームの使用が有効であること を、添付文書や医師、服用者向けに資料で注意喚起することで合意した。具体的な添 付文書などの内容については再度詰める必要があるとして、この日に結論を出すこと は見送られた。

 低用量ピルをめぐっては、86年に厚生省の研究班が臨床試験を認める報告書をま とめ、翌年から約5000人の女性が協力して臨床試験が行われた。それを受けて、 90年以降9社16品目の承認申請が出ていた。

 しかし、92年には、ピル承認はHIV感染の拡大を招くなど公衆衛生上の不安が あることから、常任部会は突然審議を中断。96年に当時の菅直人厚相が認可の見通 しを語り、審議が再開した経緯がある。


ピルの安全性と有効性めぐり中間とりまとめ―厚生省

(平成10年12月3日付朝日新聞)

  経口避妊薬(ピル)の承認を審議している中央薬事審議会(厚相の諮問機関)の常任部会は2日、ピルの安全性、有効性についての中間とりまとめを初めて公表した。1990年7月に製薬企業が承認申請してから審議が続いているが、厚生省審査管理課の平井俊樹課長は主要な論点は網羅したとして、「後は一般の人の意見になると思う。使うことのリスクと利点の関係をどうとらえるかだ」とした。

 中間とりまとめは、国内外の105の有力な文献や報告を集めた。それによると、ピルを飲んでいる女性は飲んでいない女性と比べて乳がんになるリスクが1.24倍高かったほか、子宮けいがんのリスクも1.3倍から2.1倍高かった。血栓症になる危険性も3倍程度高かったが、ピル服用者の中でも年齢や喫煙の有無がかなり関係 しているとした。

 ピルを服用していた人の子どもに先天性異常がある危険性については、ほとんど関連がなく、服用中止後の妊娠機能への影響はほとんどないとされた。

 一方、卵巣がんや子宮体がんになる危険性は半分程度になるほか、月経異常の減少などの有効性も確認された。

 同審議会は、ピルは内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)として環境を汚染するものではないとして、今後は医師と服用者への情報提供のあり方などについて検討するとしている。

 中間とりまとめは旧厚生省のホームページ中「報道発表資料」でも公開される。


ピル解禁先送りー排泄物中の合成ホルモン安全性を再検討ー(中央薬事審)

(平成10年3月3日付讀賣新聞)

 ホルモン量の少ない低用量の経口避妊薬(ピル)の解禁問題を検討している厚生省の中央薬事審議会常任部会は、2日、ピルの服用者が排出する合成ホルモンが生態系に及ぼす影響などを検討したうえで、解禁の最終判断を下すことを決めた。これにより、当初は今春にも実現する予定だったピルの解禁は、大幅に遅れる見通しとなった。

 「内分泌かく乱物質(環境ホルモン)」の自然界への影響が問題となる中、ピルの服用者の尿から排出される合成ホルモンについても、市民団体などが、環境に悪影響を及ぼす恐れがあると指摘している。

 このため中薬審は、排出された合成ホルモンが河川などを通じて人体に及ぼす影響を中心に、海外の研究結果などを検討。安全性を見極めたうえで、最終決定をすることになった。


低用量ピル審議で臨時の常任部会開催へ

(平成9年12月19日付日刊薬業新聞)

 中央薬事審議会常任部会は17日低用量ピル(経口避妊薬)の審議に入り、(1)2月に低用量ピルの審議を行う臨時の常任部会を開催する、(2)次回の審議から解禁問題で、産婦人科医などを参考人として招き、意見を聞くーことを決めた。この日は、低用量ピルの安全性・有効性、性感染症(STD)蔓延の予防、国民からの意見聴取などについて意見が交わされたが、はじめての審議ということもあり、突っ込んだ議論には至らなかった。

 臨時に常任部会を開催するのは、年4回開かれる定例の常任部会だけでは十分な審議時間が取れないと判断したため。臨時の部会の審議事項は低用量ピルに限定する。また、常任部会の委員に産婦人科などの専門家が含まれていないことから、産婦人科の専門医、担当調査会の座長のほか、青少年の性教育に詳しい専門家などを参考人として招へいすることにした。今後、部会長と事務局で人選を進める。

10月に開かれた特別部会は、低用量ピルに対する社会的関心が高いことなどから、国民に審議経過などを公開して意見聴取するよう提言した。この日の部会では、国民から意見聴取することに異論は示されなかったが、「いつ、どういう対象に、どのようにやるのかが難しい」との意見もあった。具体策は次回以降検討する。


条件付きで解禁容認

(平成9年10月29日付朝日新聞)

 低用量ピル(経口避妊薬)解禁問題で、中央薬事審議会(厚相の諮問機関)医薬品特別部会は28日、ピルの有効性と安全性を認めた上で、医師が副作用と性感染症防止のために十分な説明をして処方することや、製薬会社が市販後に副作用と性感染症の調査を実施することなどを条件として、解禁に踏み切ることが妥当とする意見をまとめ、上部審議機関である常任部会に提出することを決めた。常任部会は12月にも審議を開始し、国民の意見を聴いて最終判断する。

 同部会はピル解禁の条件として、医師に対しては(1)ピルの服用希望者の問診、検診を通じて血栓症、脳卒中などの副作用のおそれがないかどうか判断する(2)ピルは性感染症予防には役に立たないことを説明し、性感染症の検査やコンドームを継続使用することを勧める(3)服用希望者から文書による同意を得るーなどを義務づけることを決めた。

また製薬会社に対しては、HIV(エイズウイルス)抗体検査を含む性感染症検査を受けることに同意した人について、ピル服用後数年間は継続して追跡調査しその結果を国に報告することを義務づけることにした。 


検査項目なお検討ー解禁、来年にずれこみか

(平成9年8月13日付毎日新聞)

 低用量ピル(経口避妊薬)承認の可否を審議していた厚生省の中央薬事審議会医薬品特別部会は12日、ピル承認の条件として、服用後の性感染症の動向調査を行うことを決めた。しかし、検査項目など具体的内容についてさらに審議が必要と判断し、次回10月末の部会に結論を持ち越したため、ピル解禁は来年にずれこむ可能性が出てきた。

 この日の審議ではピルの有効性、安全性は改めて認められた。一方、同省の公衆衛生審議会が「性感染症予防への認識が低い現状でピルが使用されると、HIV(エイズウイルス)感染症など性感染症増加の要因になる」と性感染症対策の必要性を指摘した意見書をすでに提出しており、薬事審特別部会は意見書を受けて具体的な予防策を協議した。

 その結果、医師の処方で投与した後、使用者に性感染症の検査を勧め、製薬会社が行う副作用の市販後調査でも性感染症の動向調査を盛り込むことが決まった。しかし、検査する性感染症の範囲や検査方法、予防啓発の仕方などについてさらに詰める必要があると判断した。

 ホルモン量を少なくし、副作用を弱めた低用量ピルは、日本では1990以降、製薬会社9社が厚生省に輸入、製造の承認を申請。しかし92年2月、同省がエイズ対策の一環として薬事審での審議を凍結。95年4月に実質審議が再開した。


「ピル」秋にも解禁

(平成9年6月17日付讀賣新聞)

 低用量の経口避妊薬(ピル)の解禁について検討していた厚生省の公衆衛生審議会伝染病予防部会(山崎修道会部会長)は16日、性感染症の予防を強化した上で、解禁を容認する報告をまとめた。厚生省では既にピル解禁の方針を固めており、部会が「条件付き容認」の見解を示したことで、解禁が凍結されてきた低用量ピルは、厚生省の中央薬事審議会の最終決定を経て、今秋にも承認されることが確実となった。

 副作用を抑えた低用量ピルについて、中薬審は今年2月「医薬品としての有効性、安全性が確認された」との結論をまとめたが、解禁のためには「公衆衛生上の観点からの審議が必要」として、公衆衛生審議会に検討を依頼していた。

 この日まとまった報告書では、性感染症予防に有効なコンドームが、日本では主に避妊目的で使用されているため、ピルが解禁されるとコンドームの使用率が低下する可能性を指摘。

 こうした状況のままでのピル解禁は、「エイズウイルス(HIV)など性感染症の増加の要因になると考えられ、解禁の前提として、性感染症予防についての国民の認識を高め、感染拡大を防ぐ対策の強化が不可欠」との見解を示した。

 報告書はその上で、具体的対策として、医師がピルを処方する際にコンドームとピルを併用して性感染症を予防するよう十分に説明し、服用者向けのピルの説明書にも併用の重要性を記載することなどを求めた。

 ピルは日本以外の先進国では、ホルモン量の少ない低用量ピルが避妊薬として普及している。日本でも1990年に低用量ピルの承認申請が出されたが、HIVの感染拡大などを懸念する意見が中薬審で出されて、承認が凍結。現在、月経異常治療薬の中・高用量ピルが、医師の裁量で避妊薬として代用されている。


ピル審査、情報公開へ――厚生省方針
 審議経過、資料も 国民の意見求める 

(平成9年6月26日付朝日新聞)

 中央薬事審議会(厚相の諮問機関)で検討中の低用量ピル(経口避妊薬)解禁問題で、厚生省は今年秋にも、審議経過や安全性に関する資料などを公表して国民から意見を求める方針を決めた。解禁に向けて審議が進む中、解禁によって、エイズウイルス(HIV)感染症をはじめとした性感染症の拡大が懸念されるとの専門家の意見も根強いことを重視したもので、厚生省は「医学、薬学の専門家だけでなく、広く国民の意見を聞いた上で判断するのが適当だ」としている。同省は薬事行政の透明化の一環として、新薬の承認後に中央薬事審議会の審査資料などを公開することを決めているが、審査中の薬について情報を公開するのは初めての試みになる。

 新薬を承認するかどうかの中央薬事審議会の審査は、調査会→特別部会→常任部会の三段階で行われる。低用量ピルの審査は今年2月、配合剤調査会が「医薬品としての有効性と安全性が確認された」との調査報告書を医薬品特別部会に提出し、「第2段階」まで進んでいる。今年秋にも同部会の結論がまとまる見通しになったことから、厚生省は承認審査の最終段階である常任部会での審議が始まる前に、これまでの調査会、特別部会での審議経過などを公表したうえで国民の意見を求め、常任部会での審議に反映させることにした。

 公表されるのは、低用量ピルに関する主要な臨床試験の結果や、すでに公表されている文献のリストなど。調査会、特別部会の審議経過は、要旨を公表する。インターネットの厚生省のホームページや国や自治体の広報紙などに掲載したり、厚生省が小冊子を作製し自治体の窓口などを通じて配布したりという方法が検討されている。

 ピルは2種類の合成女性ホルモンが配合された製剤で、正しく服用すれば確実に避妊できるといわれる。1960年に米国で認可された後、ホルモン含有量を抑えた副作用の少ない低用量ピルが開発され、現在日本を除くほとんどの先進国で認められている。90年7月以降、国内でも9社が承認申請した。しかし「コンドームの使用が減り、性感染症が拡大するおそれがある」として92年に調査会での審議が中断。女性団体などから解禁を求める声が高まったことなどを受け、2年前に再開した経緯がある。

 医薬品特別部会から今年3月、意見を求められた公衆衛生審議会(厚相の諮問機関)は、感染症の専門家らで構成する伝染病予防部会で3回にわたって審議。同部会は今月16日、ピル解禁で性感染症が増加する可能性に懸念を表明。解禁した場合は、感染症予防の徹底が必要との意見をまとめた。

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