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月経不順と不正出血Q&A


どうして月経が起こるのか、教えて下さい。

女性には1つの「子宮」と左右2つの「卵巣」があります。卵巣の中には多数の「卵子」があり、その卵子はみな「卵胞」という袋に包まれています。それぞれの卵胞からは「卵巣ホルモン」が分泌されます。

脳から出るホルモンの影響で卵巣の中の卵胞が大きくなることを「卵胞が成熟する」と言います。卵胞が成熟すると、そこから分泌される卵巣ホルモンが増加します。卵胞が約2cmの大きさになると、「排卵」(卵胞から卵子が出ること)が起こります。排卵した卵胞はその後「黄体」に変化します(排卵すると基礎体温が14日間高温になります)。その黄体は14日後には消失し、次の新しい卵胞が成熟していきます。このような変化を、毎月卵巣のなかでくり返して いきます。

卵胞の変化に伴い、卵巣ホルモンも増えたり減ったりします。その卵巣ホルモンが子宮の中にある「子宮内膜」に影響を及ぼし変化させます。卵胞が成熟 すると卵巣ホルモンが子宮内膜を厚くします。排卵すると子宮内膜は分泌期の状態に変化しますが、黄体が消失すると子宮内膜は薄くなって剥がれて出血します。剥がれて出てくる内膜と出血が「月経」です。かたまりが混じるのは内膜です。つまり毎月排卵が起こる結果、月経が繰り返し起こります。   

月経が起こるわけ(図をクリックで拡大)

排卵が定期的に起こるため、月経も定期的にやって来ます。排卵が不定期なら、月経も不定期です。排卵が起こらなくなると、月経もまったく来なくなり ます。つまり月経は卵巣の機能のバロメーターです。

さらに女性には「閉経」があ ります。閉経とは50才頃に卵巣機能が衰えて、卵巣ホル モンが出なくなり、永久に月経が止まってしまう状態をいいます。閉経前後に様々な症状が出る事があり、「更年期障害」と呼びます。また閉経後には骨がもろくなる「骨粗鬆症」や、動脈硬化による「心臓病」が増えます。

閉経と更年期障害(図をクリックで拡大)


月経と不正出血の違いを、教えてください。

本来月経とは排卵が起こった後に、子宮内膜が剥がれて起こる、定期的な子宮出血を言います。それ以外の不定期な子宮出血はすべて「不正出血」です。

月経の定義は、まず周期があること。正常の周期は25〜35日周期 がほとんどですから、それより早く起こるような出血や予定外に起こる出血は、不正出血(「無排卵出血」や「排卵時出血」、子宮癌や子宮ポリープ、炎症による出血など)の可能性があります。 さらに正常の月経であれば その期間はほとんど7日以内に終わります。したがって1週間以上も長く続く出血や止まらない出血は、すべて不正出血の可能性があります。

「無排卵出血」とは排卵が起こっていないにもかかわらず、見かけ上あたかも月経のような出血が起こることを言います。本当の月経と違って、月経痛も少なく、量も少なかったり、逆に多かったりします。基礎体温で診断できます。

「排卵時出血」とは、排卵時期に限って起こる不正出血を言います。月経と月経の中間の時期に起こり、基礎体温で診断できます。多くは特に治療に必要はありません。


妊娠ではないのですが、数カ月以上月経がありません。

数カ月以上月経が止まった場合「無月経」と診断します。その原因が妊娠でない時は、まず 無月経の程度(軽症か重症か)を検査します。採血で卵巣ホルモン(エストロゲン)の値を測定する方法か、または「プロゲステロンテスト」といってプロゲステロン(黄体ホルモン)を服用または注射して、その後出血(月経)が起こるかどうかを調べます。出血が起これば、 「1度無月経」(ある程度卵巣ホルモンが出ている軽症)と呼ばれ、出血が起こらない場合は 「2度無月経」(ほとんど卵巣ホルモンが出ていない重症)と呼ばれます。その結果を見て今後の治療方針を決めます。さらに他のホルモンの病気がないかどうか、血液検査で脳下垂体ホルモン(LH、FSH、プロラクチンなど)を検査します。

もし結婚していて子供を望んでいる女性は排卵誘発治療を行いますが、1度無月経と2度無月経の治療薬が異なります。1度無月経の場合はクロミフェンの服用だけで十分ですが、2度無月経の場合は、ゴナドトロピン(hMG-hCG)治療といって2種類の注射を使用します。しかし未婚女性には、すぐの排卵誘発治療は必ずしも必要でないので、排卵が無くてもまず月経だけを起こします。その場合も1度無月経と2度無月経とでは、多少治療方針が異なります。1度無月経の場合は黄体ホルモン剤だけで十分ですが、2度無月経の場合は、カウフマン治療といって、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の薬または注射を使用します。

また未婚の場合は、治療にピルを使用することが一般的で、ピルは不足している卵巣ホルモンを補充するというメリットがあります。 吐き気などの副作用も多少無いわけではありませんが、ほとんどは問題無く服用でき、服用中排卵が起こらないことは副作用ではなく、むしろ現在排卵が起こっていないため、卵巣ホルモンが出ていないことの方が問題なのです。

 追加:未婚で若年者の場合は、ピル以外にEP療法(エストロゲンとプロゲステロンの両者をコンビネーションで服用する)も多く行われています。吐き気などの副作用もなく続けられます。


妊娠すると、どうして月経が起こらないの?

卵巣の働き(排卵)の周期的な変化に応じて、子宮内膜が剥がれて出血とともに出てくるのが月経です。

もし排卵時期にSEXをした場合、排卵した卵子は卵管の中で精子と出合い、受精します。受精した卵子(受精卵)が数日後に子宮内膜にくっつく(着床する)と、その場所からたくさんのホルモンが分泌され、また卵巣からの黄体ホルモンも出続けるため、子宮内膜が剥がれずにそのまま維持されます。したがって、出血が起こらず月経が起こりません。子宮内膜の中に受精卵が埋め込まれてそこで胎芽(胎児)に育つと妊娠です。排卵してから14日後になると妊娠反応検査で陽性になります。基礎体温では高温期が14日以上続きます。


月経が不順です。治療が必要ですか?

思春期から起こる卵巣の働き(排卵)の周期的な変化に応じて、子宮内膜も変化します。子宮内膜がはがれて出血とともに出てくるのが月経です。

卵巣の働きはストレスやダイエット、ある種の薬(胃潰瘍薬や精神安定剤など)、ホルモンの病気などの影響で、狂いやすいのです。まず月経不順の原因が何かを調べるために、排卵が正常に起こっているかどうかを知る目的で基礎体温の測定をしてください。必要なら採血でホルモンの検査を受けてください。明らかな原因があれば治療も必要でしょう。


ダイエットして月経が止まりましたが、どうしたらいいの?

ダイエットなどで体重が減って月経が止まったのであれば、ほとんどが 重症の2度無月経です。2度無月経とはまったく卵巣ホルモンが出てい ない状態であり、いいかえれば女性ホルモンが出ていない異常事態です。 薬を服用しても排卵しません。無月経になる理由は、脳の視床下部ホルモンが出なくなり、さらに下垂体ホルモンも出なくなり、その結果卵巣ホルモンも出なくなります。

排卵が起こるメカニズム(図をクリックで拡大)

まず、カウフマン治療による卵巣のホルモン補充療法を続ける必要があります。それは排卵誘発ではなく、卵巣から出るべき女性ホルモンを補う治療です。長い間月経がない状態を放置すると、子供が出来ないだけでなく、閉経したおばあちゃんと同じ状態ですから、 骨ももろくなり、骨折を起しやすくなります。病気を起さないように早くホルモン治療を受けるべきですし、体重がもとに戻れば排卵できるようになりますが、体重を戻して月経が正常に戻るまで数年かかることもあります。しかし体重さえ戻れば必ず卵巣機能は戻りますので、あせらずに、体重を戻して、ホル モン補充療法を受けましょう。その治療が またすこしづつ卵巣機能を回復させる手段でもあるのです。  

月経不順で薬で月経だけを起こしていますが、排卵が起こりません。このままでいいの?

薬で月経だけを起こす方法は、カウフマン治療(エストロゲンとプロゲステロンによる卵巣ホルモンの補充治療)が一般的です。まだ未婚の女性であれば、この方法でも充分な治療になります。あせらずに、結婚が決まったら、排卵を起こす治療を行えばいいでしょう。


排卵の時は、基礎体温が必ず下がるのですか?

いいえ、必ずしも下がりません。この質問は多分、体温計などに付録で付いている表例を見て勘違いしているのでしょう。排卵日に下がるとはどこにも書いていないはずです。下がることもありますが、下がらなくても高温相になっていれば大丈夫、ちゃんと排卵していますので心配はいりません。つまり、一番下がった日が排卵日とは限らず、高温相になる直前、つまりこのホームページの基礎体温で、矢印の日が本当の 排卵日なのです。


月経とは違う出血がありますが、どうしたらいいの?

不正出血の原因には、子宮癌やポリープなどの腫瘍、妊娠、炎症、そして卵巣ホルモンとの関わりで起こる機能性出血などがあります。詳しく原因を調べるために検査を受けてください。原因のほとんどが卵巣ホルモンとの関わりですので、基礎体温をつけるとよく分かると思います。


旅行と月経が重なるのですが、月経をずらせますか?

月経をずらすためにはピルを使用します。通常は1週間から2週間くらいピルを服用します。早めに相談すれば月経を早めることも可能ですし、遅らすこともできます。(FAQのページのピルの項目を参照して下さい。)ピルを服用できるかどうかは婦人科に相談してください。


通常7日で終わる月経が、12日間続いています。月経痛もほとんどありません。

月経が12日間続くのは正常とは言えず、多分無排卵月経(排卵 がないまま月経様出血がくること)と思われます。無排卵月経は痛みがほとんどありません。もし基礎体温があれば無排卵月経かどうかがわかります。まず無排卵月経を疑いますが、もし30歳以上で子供のいない人であれば、念のために子宮癌(とくに体癌)検診を一度は受けることを勧めます。