スピーカーの内振り角度について


オーディオを趣味とする場合、いい機器を揃えるというのはスタート地点にすぎないわけで、そこから勝負が始まります。スピーカーの位置に始まり、アンプやプレーヤーの設置、振動対策等々…。基本的には「こうするのが正解」というのがいまいち確立されていない世界のようで、様々な説が飛び交っております。それを、とりあえず理想条件は何かという観点から見直してみようかな、と思ってみたりしたわけです。そんなわけで、今回はスピーカーの内振り角度について検討してみました。何分、素人の足らない知恵を絞って出した答えなので、おかしい点が数あるかも知れませんが、お許しを。

まず、理想的なスピーカーとは何か?ということから考えると、一般的には点音源と言われてますね。即ち、図のようにある一点から360度均等に音が放出される状態です。

これが二つでステレオの2チャンネルを形成するわけですね。

次に、スピーカーから放出された音が耳に届くまでを考えてみましょうか。ヘッドフォンと違い、片方のスピーカーから出た音は両方の耳に入ります。単純化するとこの図のようになるでしょうか。

赤線の部分が音路差(?)ということになりますね。この分だけ位相がずれるので、ヘッドフォンと違い、前に音が定位するわけです(よね?)。

で、理想的なスピーカーの話に戻ると、音は全方向に均等に放出されているわけですから、このようにスピーカーを中心としてぐるっと-180度から180度まで決めてやると、

等距離での音圧分布は次のようになりますね。

全方向に均等ですから、等距離であればどの方向においても音圧は変わらないわけです。つまり、前でも後ろでも、右でも左でも同じように音が出ているのです。

では、実際のスピーカーはどうでしょう?スピーカーの周りをぐるぐる回ってみれば分かりますが、当然と言うべきか、前の方が音がよく聴こえるはずです(後ろ向きにユニットがついていたりする特殊なものはとりあえず除外)。ユニットが前を向いているので、まあ、当たり前ですね。とすると、等距離での音圧分布は大体こんな感じになっていると見ていいのではないでしょうか。

さて、ここからが本番です。何故こんなことを気にしているのかというと、内振りの角度によって理想と違う現象が起こるからです。断っておきますが、理想に近づくことが全てと言いたいわけではないです。あくまで、検証してみると、こういうことかなぁ、というだけのことです。話を戻しますと、理想的な内振りの角度は両耳に対して理想音源(点音源)の場合と同じように音が届くような角度です。即ち、この図のαとβを等しくするような条件(内振り角度)にしてやればいいことになります。

要するに先ほどの音圧分布の図で、Aのようになればいいわけです。

これよりも内振り角度が大きかったり小さかったりすると、BやCのようになり、一本のスピーカーから両耳に達する音が位相差による違いだけでなく、音路差(?)分の減衰よりも大きくまたは小さくなってスピーカーから遠い側の耳に届くことになります。これがどのような影響を及ぼすかまでは私には断言しかねますが、多分、音像が本来より左右に引っ張られたり、逆に中心に寄ったりすることになるんではないかと思います。

最後に、一応私も理系の端くれなので、理想的条件を与える(であろう)内振り角度の導出式でも書いてみることにしましょうか。内振り角度がΘ、スピーカーからの垂直距離がL、スピーカー間の距離がW、両耳間の距離がDです。

tan(Θ-α) = 0.5(W-D)/L
tan(Θ+β) = 0.5(W+D)/L
より、
α = Θ-arctan(0.5(W-D)/L)
β = arctan(0.5(W+D)/L)-Θ

α = βから、
Θ = 0.5(arctan(0.5(W-D)/L) + arctan(0.5(W+D)/L))
これでいいんではないでしょうか?間違ってたらすいません。

別にこれが絶対、というわけではないんだと思います。部屋の状況やらスピーカーの能力やらで必ずしも上記条件が最適じゃないでしょうから。でもまあ、出発点としては悪くないんじゃないでしょうか?ま、私にできるのはこんなところですね。次回は…あるのかな?










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