ダンパー構造と乗り心地



さんのシトロエンの乗り心地のイメージは・・・・・?

Hydro
CITROPOLIS No13より


もちろんエアークッションなどと?

DS




fig1よく目にする右図のような説明をみると誰でもそんな気になりますよねー・・・
それにスフェアーのガス圧が下がるとクッションも悪くなるしー・・・


ということでガス圧が大事ということになりますが、他にも忘れてはならないのはダンパーの存在です。


ハイドロ車のサスペンションのバネに相当するのがニュウ(Pneu 空気)の部分、すなわちスフェアー内部の窒素ガス室ですが、そのメリットは格段にコンパクトながら大きなストロークの取れる非線型スプリングになることです。
このスプリングに車体の荷重を伝えて支えているのがハイドロ(Hydro 水)=油の入った油圧シリンダーですが、この荷重(タイヤからの入力)の伝わり方をコントロールしてスプリングの特性を生かした乗り心地にしているのが、スフェアー入り口にあるダンパーです。




ダンパーの位置

fig2

右図はスフェアーの断面ですが、ダンパーはスフェアーの首のネジの部分(赤矢)に組み込まれています。

因みに、ダンパーが組み込まれているのがスフェアー、ダンパーの無いものがアキュムレーターと呼ばれ、構造は似ていますがその役目はまるで異なります。












ダンパーの構造

fig3

右の写真がダンパー部の外観です。構造が解り易い様に板バネの部分を曲げて持ち上げてあります。
その構造は下図に示す様に、8ヶ所の補正流路穴(6)の明いた円筒のバルブボディー(1)の両面に、プレートバルブ(2)となる丸い板バネが数枚づつ、中心にセントラルポート(4)を持つ止め金具リベット(5)で絞められています。




fig4






ダンパーの働き



ダンパーは、タイヤの上下運動によってサスペンション・シリンダーが伸び縮みするのに伴ってスフェアーに出入するLHMオイルの流量をコントロールしています。

タイヤの上下運動がゆっくりの場合、すなわち道路のうねりなどを通過する時には、主にセントラルポートを流出入するLHM(紫矢)の量を制御するだけで車体の揺れは抑えられています。
ところがタイヤの上下運動が急激な場合、すなわち道路の凸凹などを通過する時には、多量のLHMを流出入させてやらないとそのショックが車体に伝わってしまいますので、流路面積が格段に大きい補正流路を開いてやってそのショックを吸収しています。

この時の流路開閉のチェックバルブの役目をしているのがダンパーの上下にある板バネで、普段は補正流路穴を塞いでいますが、反対側からのLHMの圧力がかかると下図の様にしなって穴との隙間を作りLHMを逃がしています(赤矢 及び 白矢)。

両面の板バネはそれぞれ反対側からの入力に対して働くように、上下対称になっています。従って、補正流路穴は伸び縮みそれぞれ4ヵ所づつとなります。
この板バネは上下及び車種により枚数が異なります。

fig5



ダンパーに対するLHMの流出入の様子を下の写真で説明します。

うねり通過時などのLHMの流出入は、赤矢印のようにセントラルポートで起きます。

凸凹通過時などのLHMの流出入は、
まずサスペンションが縮む時には、黄矢印のように補正流路穴にLHMが流入しスフェアー内側のプレートバルブを押し上げてスフェアー内部に侵入します。
逆にサスペンションが伸びる時には、青矢印のように補正流路穴からLHMが窒素ガスの圧力で押し出され、プレートバルブを押し上げてシリンダーに戻ります。

写真はCXフロントのダンパー部ですがLHM戻り側のプレートバルブが4枚の板バネで構成されている事がわかります。

fig6






乗り心地への影響



(1) セントラルポートの直径
   この部分で長周期の振動を吸収します。
   


(2) プレートバルブの硬さ(バネ特性)
   この部分で短周期の振動を吸収します。

fig7 fig8
純正品 社外品





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