ブレーキ・アキュムレーターの交換



ブレーキア・キュムレーターはパワーステアリング装着車にのみ付いています。

パワーステアリング装着車はハンドル操作時に大量のLHMオイルが流れます。
通常はメイン・アキュムレーターに蓄圧されたLHMから補給されますが、メイン・アキュムレーターのガス圧が低下すると蓄圧されるLHMの量が不足するようになり、ハンドルとブレーキの同時操作時に圧が不足してブレーキ能力に悪影響が出る恐れがあります。
このような状態を回避する為の予備の蓄圧器としてブレーキア・キュムレーターが設けられています。

また、高圧回路に不具合が生じた場合でもブレーキ回路だけは生残る安全設計にもなっています。
この為に、ブレーキア・キュムレーターのメインボディには下図の様にワンウェイバルブが内装されています。
従って、プレッシャー・レギュレーターのブリードスクリューで高圧回路の圧を抜いてもブレーキ回路には圧が残るので、ブレーキア・キュムレーター交換時に不用意に作業を行うとプロでもLHMの顔面噴射を受けることになります。判っていてもついやってしまうミスの一例です。


 交換時期 :   2〜4年毎でメインアキュムレーターと同時が望ましい。
              ハンドル操作時に急に重くなる場合はメイン/ブレーキ共即時交換が必要。

 交換部品 :   アキュムレーター  品番 5451376  メインと同じ部品
             パイプシール(M)  品番 96085784   3個  

 使用工具 :    8mm及び9mmのオープンエンドレンチ
             ドライバー
             フィルターレンチ



 交換作業 ----作業時間  約2時間

  • 交換作業の前にブレーキアキュムラーターを車体に固定しているホースバンドのクランプ部が上に来ていることを確認します。
  • クランプ部が車体下側にある時は、車高を上げて先に外してしまうか、上方に廻しておきます。
  • 車高調整スイッチを最低にし、車高を下げる。
  • メイン・アキュムレータが固定されたプレッシャーレギュレーターのブリードスクリューを12mmレンチで半回転ほど廻し、LHM高圧回路の圧を抜く。
  • ブレーキ・ペダルを一杯に踏んで、ヒュ−という音がしなくなるまで繰り返えし、ブレーキ回路の残圧を抜く。
    注意--最後にはブレーキペダルがブラブラになるまで根気良く踏まないと、LHMの顔面噴射を浴びることになります。
  • LHMの顔面噴射をどうしても避けたい人は、ブレーキのエア抜きを兼ねてブレーキ本体のブリードスクリューを緩め、左写真の様にブレーキを踏んでLHMを排出すると、ブレーキ回路の残圧を完全に抜くことが出来ます。
  • 作業のスペースを確保する為に、バッテリーを下ろします。
    ケーブル配線を外す時に、バッテリー廻りについたコネクター類が外れたり、緩んだりしますので元の接続状態を良く確認しておいて下さい。
  • 外した配線は紐で寄せて、作業のスペースを広くします。これで上から交換作業が出来ます。
  • 作業はまずメインボディに接続された3本の高圧配管を外します。
  • Aはメインアキュムレーターからの配管で、Cから出て行きます。プレッシャーレギュレーターのブリードスクリューを緩めるとこの配管には圧は残りません。
    この2本のパイプ・ユニオン・ナットは9mmのレンチで緩めます。
  • Bはブレーキ配管で、2段ナットの小さい方を8mmのレンチで緩めます。
    ブレーキ残圧が残っていると、ここから外したとたんにLHMのシャワーが吹出します。
  • 高圧配管のパイプ・ユニオン・ナットはキツク締まっているいる場合が多いので、専用工具を使うと安全です。オープンエンドレンチの場合はなめない様に慎重に廻してください。
    1回転すれば大丈夫です。
  • 高圧配管用の専用レンチの8/9mm用は入手が困難です。
    そこで、同サイズのボックスレンチ(メガネ)の先端を金鋸で切り取り、ヤスリで仕上げて自作しました。
  • 簡単に作れて,重宝しています。
  • 緩み始めたナットはプライヤーで軽くつかみながら廻すと作業がはかどりますが、ナットをいためない様に注意が必要です。
  • ナットが外れても配管が食い付いて、引張っても配管が外れないことがあります。その時はメインボディとナットの隙間にラジオペンチの先を差込んでこじると簡単に外れます。
  • 配管が外れたら、ブレーキアキュムレーターを取出し易いように配管を少し逃がしておきます。
  • 高圧配管は銅管より少し固い程度なので簡単に曲がりますから、1個所で折れ曲がらない様に注意してください。
  • ホースバンドを緩めて外し、ブレーキアキュムレーターを後方にずらす様に取出します。
  • 取出したブレーキアキュムレーターは、左写真の様にメインボディをパイプレンチ等で固定し、フィルターレンチで緩めてから外します。
  • 外す時、多少残ったLHMが出てきますのでウェースを敷いておくと良いでしょう。
  • 外したメインボディにはゴミが入らないように良く洗浄します。CRCが便利です。
  • 中央の穴がワンウェイバルブ部分に接がっています。
  • 新しいブレーキアキュムレーターの取り付けには新品のシールリングを使います。リングにはLHMを塗っておきます。
  • 再組立ては、基本的には取外しの逆手順ですが、ブレーキアキュムレーターを車体にホースバンドで固定する前に、高圧配管を先にメインボディに取りつけます。
  • 配管はCの順に組付けると上手くいきます。
  • 配管の組付けは下欄を参考にして下さい。
  • ブレーキアキュムレーターをホースバンドで車体に固定します。
  • バッテリーを戻し、各コネクターが確実に接続されているか確認します。
  • エンジンをスタートし、プレッシャーレギュレーターのブリードスクリューを締めます。
  • 車高がノーマルポジションにし,車高が上がったらブレーキペダルを何回も強く踏み、ブレーキ回路のエア抜きをします。テスト走行でエアが噛んでいないことを確認してください。



   LHM高圧配管の取付け方法


高圧配管の取付けにはコツが必要で、失敗すると後でLHM漏れの原因となります。
プロでも失敗しているケースがあります。
この作業には慣れが必要ですが次のポイントに留意してください。

       
  1. パイプの先端 部が潰れていないか確認します。先端が 穴に正確にはまっていないまま強引に締めつけられて変形している場合があります。変形は修理します。
  2. パイプ先端に新しいパイプシールを膨らみ部まで嵌め、パイプを持ってシール穴 a部に差込みます。
    シール穴の中心とパイプの芯を合わせるように軽く押しながら探ると先端がカチッと入るポイントが感じられます。この感覚を覚えてください。
    上手く入ったと思ったら、パイプを押しながら振る様にして下さい。パイプが動かなければ成功です。多少とも先端が振れるように感じるときはやり直しです。
  3. パイプ先端が嵌合したら、ナットをネジ穴に合わせ手で廻します。上手く山が合って入っていくことを確認してください。ナットのネジ山とネジ穴に異常が無くても入らないときはパイプ先端が曲がっていますので修正してから再トライしてください。
  4. ネジが上手く合ってナットが締め込まれて行く様であれば、急に固くなるところまで締めこみます。
    そこはパイプの膨らみ部にナット先端が当たるポイントです。それ以上締めこむ必要はありません。
   




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