<第一回 離婚してはいけないの?>
1.結婚は神の定めた神聖な制度です
教会で結婚式を挙げようと考えている方も多いと思います。カトリック教会では結婚についてどのように考え、教えているのでしょうか。
カトリック教会では結婚を、根本的に社会の制度であるだけでなく、神に定められた神聖な制度であると考えています。聖書を見ると、わざわざ「結婚は神が定められたものだ」と記されています。人の定めたものではありません。
神は御自分にかたどって人を創造された。
神にかたどって創造された。
神は彼らを祝福して言われた。
「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。
男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。
このような聖書の言葉に基づき、教会ではすべての結婚は一夫一婦制すなわち一人の男性と一人の女性との不解消の契りなのだと、考え、教えています。
教会での結婚式の中には、次のような意味深い「誓いの言葉」があります。
「私たちは夫婦となって、順境においても逆境においても、病気の時も健康なときも、豊かなときも貧しいときも、生涯愛と誠実を尽くすことを誓います。」
この言葉は結婚に対する教会の考えをよく表しています。
2.離婚は神によって禁じられています
それではカトリック教会では離婚を禁じているのでしょうか。
旧約聖書では離婚が認められる場合がありました。だが、イエズス・キリストはこのことについて聞かれたとき、こう答えられました。
「あなた達の心が頑固なので、モーセは妻を離縁することを許したのであって、初めからそうだったのではない」(マタイ19.8)
「天地創造の初めから、神は人を男と女にお造りになった。それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。だから二人はもはや別々ではなく、一体である。したがって、神が結び合わせて下さったものを、人は離してはならない。」(マルコ10.5〜8)
旧約でモーセが言ったことは初めからの神の計画ではない、とイエズス様はおっしゃっています。結婚は神の制定によるもので、離婚は神に禁じられていると、教会は教えています。
また、離婚が禁じられることによって夫婦、子供、家庭を守ることになるとも考えています。
3.理想に対して、現実に苦しむ人には、まず救いの手を差しのべます
教会の理想とする結婚に対して、現実に結婚生活に破綻をきたしている人に、教会はどう対応するのでしょうか。
離婚に対する教会の原則的対応は以上ですが、現実には様々なケースがあり、すべてに同じ対応をすることは出来ません。イエズス・キリストは一方では非常に高い理想を私たちに示されましたが、また一方で私たち人間が非常に弱い存在であるということもご存じでした。
夫婦は最後まで大切にし合わなければならないという、高い理想は理想として教会は高く掲げていきますが、また一方では、現実に行き詰まり苦しむ人々に、救いの手を差しのべていかなければならないのも、教会の役目です。
4.離婚した人を教会は排除しません
不幸にして離婚をした人、また、よい相手に巡り会って再婚した人に対して、教会はどのように対応するのでしょうか。
カトリック教会内には、受洗して信者になった人々を指導するために、教会法というものがあります。その中に結婚に際しての形式や手続きなどの規定があります。カトリック信者はこの規定に従って結婚しなければなりません。
しかし、民法上の離婚をした受洗者や、離婚後教会外で再婚した受洗者など、どんなことがあった兄弟姉妹についても、教会住所録から抹消されたり、除名されることはありません。むしろ、この兄弟姉妹の痛みや悩みに共感しながら、どうやったらこの苦しみを取り除くことが出来るか、助けることが出来るのかを考えることが、今の教会の態度です。
5.教会は救いのためにあります
離婚歴のある受洗者・未受洗者の教会での結婚については、いつでも許されるか、あるいは絶対許されないかをいうことは、私には出来ません。原則としては許されないということは言えるでしょうが、ケースによっては許されることもあると、言うこともできます。
たとえば、自由を奪われ、強制された結婚だった場合、初めから結婚は成立していなかったとみなされ、新しい結婚が認められることがあります。
ですから、このような悩みを持つ人は、教会の司祭に相談することをおすすめします。相談された司祭は、前の結婚に始めから何か障害があるように思われた場合、教会内の結婚問題を専門に扱う人たちに頼んで考えてもらい、指導してもらうようにします。
いずれにしても、教会は人を裁くのではなく、人を救うことを目的にしているということを、私たちは忘れてはいけないと思います。
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