01.11.6
はがゆい満席


夜の地下鉄。
杖をついたおばあちゃんが乗ってくる。
あいにく席は満席。

若いサラリーマンの前に立つおばあちゃん。
彼はなかなかのガタイの持ち主。
元ラグビー部って感じ。
が、夕刊フジに見入っている。
席を譲らない。
おばあちゃん、ふう、と深い溜息。
その溜息は「まったく最近の若い人は」と嘆いているかのよう。

私は、おばあちゃんの隣に立っている。
ヘッドホンの音楽に体を揺らせていたところ。
ちなみに曲目は、電気グルーブのガリガリ君。

おばあちゃん、私の顔をチラリ見上げて、また深い溜息。

え? もしかして、私も「最近の若者」の同類に?
同類にしたでしょ今。ねえ、おばあちゃん!




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