04.09.06
ストッパーソルジャー





普段息潜めているくせに、
私がある部類の失敗やらかすと、わっと湧き出て攻撃してくる特殊部隊。
「あなたは人の気持ちを考えていない」
「あなたは自分の思い通りにならないと気が済まない質だ」
「よく言えば情熱的だが、悪く言えばワガママ」
こういったセリフを連発し、我が心を確実に衰退させてゆくソルジャー。

いやはや。会社にいたよこのソルジャー。とんだ伏兵だった。

会社でね、辞めちゃう人がいて。
その人、本当は辞めたくなさそうだったから、
私が各方面当たって、なんとか辞職の一件を「無し」にしてしまおうとしていたわけだ。
で、結局失敗に終わった。うまくいかなくて、私はガッカリしていた、そのタイミングでだ。
例のソルジャーが、突然私を攻撃してきたのだ。

「人は人。辞めたくないなら、その人が自分で動けばいい。あなたが動くのは間違い」
なんて急に言い出すソルジャー。
「いやいや、その人とは仲良しだったし。辞めて欲しくなかったから」なんて私が答えると、
「私ならやらない」と、鼻息荒くふんぞるソルジャー。
ソルジャー曰く。人は人、自分は自分、なにかもめ事があった場合、自分に降りかかる火の粉以外は、首を突っ込むべきではない。もしかしたら当事者はそっとしておいて欲しいのかもしれない。そういう可能性がある限り、第三者が首を突っ込むのは、勘違いも甚だしい。

一通り聞いて、私が「でもさ、自分がもめ事の渦中にいる場合、第三者に止めてもらえると嬉しいじゃん。つか、近くにいる第三者に(早く止めろよ)って思ったりしない?」と言うと。
ソルジャー、軽蔑しきった顔で「へえ。そういうところだけ、人に頼るんですか」

ぶん殴ってやろうかと思ったけど、さすがにそのソルジャーは女性なのでやめておいた。
けど、このストッパー人種はまったくもって腹が立つ。
いいじゃんか。それこそ、私が何やろうと、お前のような人種には関係無いでしょうが。
こちらのスタンスから見れば、お前さんのような人は、冷酷きわまるつまらん傍観者なのだよ。
関係あるにしろ無いにしろ、なにか自分に出来ることあれば、動いておきたい私であり、動かなかったら後で後悔するのだよ。なんて言ってもアンタにはわからんだろうよムキー!

とタバコ室で一人ひとしきりぼやいて、水に流した。
まあ、わかるし、そういうスタンスも。こっちだって反省もしてるし。今回の一件は失敗してるわけだし。
ただし、割り切れん。彼女には、それこそ私が首突っ込んで、良い思いをさせているはずだ。
夜勤務が嫌だっていうから、なんとか昼勤務に移してやったのは私だぞムキー!

また腹が立ってきた。くそ、こいつ夜勤務にもどしてやろうか。
なんて大人気ないことはさすがにしない。けど、向こうは私に勝った気でいる現状もイヤ。
あーくやしい。

この手合い、私の人生において、へこんだタイミングでチョロチョロ顔出す。
きっと、この人種から見た私のスタンスは、度し難いほどにウザくて嫌いなんだろうなあ、と推察される。
ゆえにこちらがヘコむとわっと襲いかかってくるのだろう。

どーなんだろ。どちらが正しいとかではなく、単にスタンスの問題なんだろうけれどね。
なんか卑怯にみえるよ、あっちのスタンスは。
……ムキー!また腹立ってきた。くそ、どうしよう。バンジージャンプくらいしないと気分を転換出来なそう。
そうだ、マザー牧場行ってこよう。

……くそ、本当に行かなきゃ気が晴れなそうだぞ!





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