予定日を5日過ぎたその日、夜中に痛みで目が覚めた。何度も前駆陣痛にダマされてきたけど、今度のは明らかに今までのとは違う痛みだったので、陣痛の間隔をはかってみるとすでに15分間隔になっていた。産院に電話すると、すぐ来るようにいわれた。夜中の4時頃で街中は人気もなく、少し雨が降っている。母の運転する車の中で、「いよいよだー!」と、ちょっとわくわく。この時はまだ余裕があった。
産院に着き、内診を受けると子宮口は3cm開大。10cmまで開かないと産まれないので、まだ時間がかかりそう。
家を出る前にヒョロ男君に電話を入れたら、夜中なのに起きていた。なんだか寝付けなくて起きたところだったらしい。凄いぞ父のカン!すぐに会社を休んできてくれることに。遅くても朝7時にはこちらに着くはずなのに、待てども待てどもやってこない。途中で事故にでも遭ってたらどうしよう。波のように寄せては返す痛みの中で、だんだん不安になってきた。
9時になり子宮口も7cm大になって、先生にも「お昼までには生まれるね」と言われた頃、やっとヒョロ男君が来てくれた。なんでも、近道をしようと川沿いを走っていたら、調教に向かう競走馬に足留めを食らい、さらに首都高で事故があって通行止めで出られなくなっていたらしい。こんな日にそんな目にあうなよ。
とにかく、痛みはまずます激しくなり、子宮口はとうとう9cm大に!ところが、それ以降担当の助産婦さんが「ほとんどいいんだけど、あと少し残っているのよねー」とのんびりと言い続け、「残ってるって、何がだよっ!!」と心の中で叫びつつも、もうがまんできなくなってきた。
昼過ぎに、その助産婦に頼み込んでようやく分娩室に入れてもらったけど、まだ「おしいねー」とか言われ続ける(怒)。それから2時間、ほぼ10cm開大の陣痛に耐えた。その頃には、もう意識は朦朧として、疲労で眠ってしまい、陣痛の痛みで我にかえる、というのをくり返していた。経産婦である姉に、「陣痛中、空気は口ではいて鼻で吸え!」と教えてもらっていたので、それだけはがんばって実行していた。そのうち、様子を見に来た先生が触診すると、「何をやってるんだ、こんなにがまんさせて!!もう十分じゃないか!早く準備しろ!」と助産婦さん達を怒りはじめた。その声で、周りにいたスタッフがばたばたと動き始め、「いきんでいいよー」と言われて、3回目のいきみであっという間に生まれた。
すぐに胸の上に生まれたてチョロを乗せてもらい、ぱっちりと目を開けて不思議そうにこっちを見ているチョロの手を握った。産声は「ファー、ファー」というかすれた小さい声だったけど、まなざしは意外に力強かった。
子宮口ほぼ10cm開大の陣痛を、3時間以上耐えて疲れているはずなのに、ベッドに戻っても興奮で眠れなかった。ヒョロ男君も興奮でおかしな言動をしていたし。。。あとで、生まれた瞬間泣きそうだったと言ってました。
とにかく、うちのチームに新メンバーが加わり、新しい生活が始まりました。 |