手に兔角の弓を把り
無明の鬼を射んと擬す

【出典】
 『寒山詩』
「身着空花衣、足躡亀毛履、手把兔角弓、擬射無明鬼」による。
寒山が、一切の執着を離れた「無相」の境地を述べたもの。

潮音寺蔵 立雛図


無明
暗ければ

身に空花で織った
衣をまとい
足に亀毛で編んだ
靴を履き
手に兔角で作った
弓を引き
心 怯え戦き
幻影の鬼を射んとす

無明
明ければ

身に空花で織った
衣をまとい
足に亀毛で編んだ
靴を履き
手に兔角で作った
弓を取り
心 自由自在に
無明の鬼を射倒さん