百花
誰が為にか開く

【出典】『碧巌録』。宋の宜和7(1125)年完成。雪竇重顕がまとめた頌古百則に、圜悟克勤が自在に評釈を加えた書。雪竇の文学的表現と圜悟の哲学的手腕が渾然一体となって、宗教書であると同時に、秀れた文学書ともなっている。

撮影:沐魚 可睡ゆりの園(静岡県袋井市)


ああ
爛漫と咲く花よ

なんじ
なにゆえ
それほどに美しく

誰がために
開きたるや


虫を誘い
結実し
種を
存らえるためのみや

いな

あなたの
美しい心を
引き出すため

あなたの
慈しみの心を
育むため