そくべん    みしょう

即便微笑


【出典】『観無量寿経』
 王妃ヴァイデーヒーは、大地に身を投げ、号泣してブッダに「苦悩や憂いのない世界を説いて下さい」と懇願します。ブッダは、にっこり微笑まれ、阿弥陀仏の国土について語り始められます。
 「あなたは知っているであろうか。阿弥陀仏のいられるところがここから遠くないことを……」


ひとり
幼子

ただ
母を見つめ
黙して語らず

母と子の
一時の静寂

それは
幼子の
小さき
胸を張り裂く
ながき
長き時間

やがて……
「ごめんなさい」
その一言が

母は微笑み
幼子は涙し
苦しみの呪縛を
解き放つ