お盆(盂蘭盆会)

 暑い夏の行事はいくつもありますが、ご先祖様をお迎えするお盆は、日本古来の伝統行事で、これからも末長く受け継いでいっていただきたいですので、お祀りの仕方をご紹介させていただきます。本来は、旧暦の七月十三日から十五日の三が日でしたが、昨今、当地方では、八月十三日からというのが主流です。

◆精霊お迎え

 ご先祖様のご遺骨が安置されているお墓や菩提寺に、線香・ロウソク・花・お供えを持って、十三日の午前中までにお迎えに行きます。なお、当山の場合、次の日程になります。

・平和公園墓地  8月12日
・潮音寺位牌堂  8月13日
 (時間は午前7時〜午後12時)

◆八月十三日

 仏壇の前に、マコモ(湿地に生える草)で編んだ筵を掛けた精霊棚を設けます。一番奥の向かって右側から、没年の古い順に、ご先祖様の位牌を並べて祀ります。

 ロウソク・花・線香を立てる三具足、あるいは五具足(ロウソクと花が一対ずつ)、どんぶりに浄水を入れて萩の花を添えたもの、お迎え団子(餡付き)を供えます。霊供膳として、祖霊の数の分、薄板の上に皿、オガラの箸を用意します。オガラとは皮をはいだ麻の茎のことです。精霊棚の左右に一対の盆提灯(廻転行灯)、軒先あるいは精霊棚上に岐阜提灯をつるします。

 また、蓮の葉の上に、ナス・キュウリを賽の目に切って洗米と混ぜ、一切の有縁無縁の精霊分の供物とします。単に、スイカ・ブドウ・トマト等、季節の作物を盆に盛って供えてもかまいません。

 そして、ぜひ作っていただきたいのが、キュウリの馬とナスの牛です。足はオガラを折って用います。由来はいくつかありますが、ご先祖様がこの世に来るときには、キュウリの馬に乗って急いでおいでになり、帰りはナスの牛に乗ってゆっくりお帰りになるという説、お盆が終わりご先祖様がお帰りになるとき、自分はキュウリの馬に乗り、荷物はナスの牛に載せて帰っていくという説が有力です。ワラで馬と牛を作る場合もあります。

 以上のようなお飾りやお供えを午前中に済ませ、夕方に縁側の軒先や精霊棚につるした盆提灯に灯をともします。盆提灯は、ご先祖様の霊が戻ってくるための目印になります。

 玄関先では迎え火を焚きます。素焼きの皿にオガラ、あるいは松の割木を折り重ねて燃やします。迎え火の煙に乗って、ご先祖様の霊が戻ってくるのを迎えます。

 夕食として、豆ご飯・ナスの味噌あえを用意します。

◆八月十四日

 【朝】ご飯・カボチャ・ナス・あげ・ ササゲの煮付け
 【昼】トウガン汁・キュウリもみ・ ズイキ
 【夕】あげ寿司・(お小遣い)

◆八月十五日

 【朝】お小遣いを持ってヤサカ の市に買い物。献立はなし
 【昼】そうめん・スイカ・とこ ろてん
 【夕】ご飯・すまし汁・センゴ ク豆・焼き豆腐・送り団子(餡 なし)

 夕方、迎え火をした場所で送り火を焚き、ご先祖様たちを彼岸の国に送ります。精霊棚にお供えしていた物をマコモで包み、精霊送りをします。当地域では、「七里の渡し跡」にお持ちいただく方が多いです。

◆初盆(新盆)

 故人の死後、初めて迎える初盆の供養は丁重に営みます。亡くなって四十九日(忌明)を迎える前に、お盆が来たときは翌年になります。

 初盆に限り、白い提灯を使うのがしきたりですが、最近は、いつまでも使える色物を調える方も多くなりました。形や柄にきまりはありませんが、秋草模様などが無難です。

◆盆施餓鬼会

 死後、特に餓鬼道に堕ちた衆生や三界にさまよう精霊のために、食べ物を施す法会を施餓鬼会といいます。当山では、八月十九日(午後1時30分〜午後2時30分)に厳修いたします。

 なお、初盆の場合は、「角袋」を納めます。この袋は晒木綿の正方形の布を三角に折り、一辺を縫い、もう一辺は半分ほど縫い、中へ白米を入れて閉じます。

(2009/6/18)