フマンモス?

 四月十六日付の共同通信社が報じています。

 「中国・上海市での反日デモは十六日午後も続き、参加者は約二万人に達したもようだ。一部が反日スローガンを叫びながら石やペットボトルなどを総領事館に向かって投げ付けるなど暴徒化、窓ガラス十三枚が割れ、ペンキで外壁などが汚された。市中心部では日本料理店やコンビニなど十軒以上の日系店舗が壊され、日本人を追い掛け回すなど九日に起きた北京の反日デモを上回る最大規模の被害となった。(中略)日中関係のさらなる冷却化は避けられない情勢だ。」

 また、同日付で朝日新聞社が報じています。

 「十五日午後、ソウル市の日本大使館付近で、竹島(韓国名・独島)の領有権を主張し、日本の教科書検定に反対する元韓国軍特殊部隊員ら約三十人が大きな太極旗(韓国の国旗)を掲げて歩き、機動隊ともみあった。警察に強制的に解散させられる際、火薬のような物を投げようとしたり、猟銃を組み立て始めたりしたため、一部は警察に連行された。」

 このところ、連日のように、中国と韓国において、過激な反日デモが起こっています。日本の国民のひとりとして、このようなニュースを聞くたびに悲しくなります。もっとも、数十年前においては、欧米でジャパンバッシング(日本たたき)が頻繁に起こっていました。日本製の電化製品を叩き壊して気勢を上げている映像をよく目にしたものです。ただ、今回の場合は、大規模で、かつ、単に経済摩擦という理由からだけではなく、根はもっと深いようです。

 そして、このような兆候は以前からあったようです。昨年の十二月六日付上海発のニューヨークタイムズが、中国の教科書は「歴史をゆがめ、政治の必要に応じて、修正されている」とし、中国では歴史自体が政治の材料にされており、とくに日本に関しては「日本をたたくことが(中国の)国民的娯楽」と報道しています。

 米国のような立場の国から客観的に見れば、そういうことなのでしょうが、やはり、根底にあるのは、損得ということ、しかも、敗戦国である日本が得をしている、あるいは、得をしようとしているという不満からの反発でありましょう。

 そして、国でも個人でも同様、満たされている時は、おおらかに、寛容な態度をとれますが、満たされていない時は、何かと反発し、突っかかっていきたくなります。おそらく、中国の国民も韓国の国民も、いろいろな不満が蓄積しているのでしょう。ともあれ、このようなことが長引きますと、双方にとって不幸な結果を招きますので、解決の糸口を早くに見つけて頂きたいものです。

 話は換わりますが、先日、愛知万博へ行ってきました。暑くなるゴールデンウイーク前でしたが、それでも、人気館の整理券をもらうのに一時間、指定された時間に並んで待つこと三十分、なかなか忍耐がいります。それは、そんな苦労をして入った「グローバル・ハウス」、例の冷凍マンモスが展示してあるところで起こりました。

 ここでは、観覧の効率を良くするために、動く歩道に乗っての見学となります。わたしのすぐ前にいた六十代半ばの男性が、やおらビデオカメラを取り出して、マンモスを撮影し始めました。すぐさま、係(アテンダント)の女性が、「撮影は禁止です。お止め下さい」と制止しました。ところが、男性は無視して撮り続けようとしたものですから大変です。館内中に聞こえる「止めて下さい」の連呼に、さすがに撮影を中止した男性でしたが、

 「なぜ撮ってはいけないんだ!」

 「協会の取り決めですので」

 「理由が分からん。協会の責任者を呼んでこい!」と。

 こんなやりとりをしている間に、肝心のマンモスは通りすぎてしまったのであります。近くにいたわたしですら、気になってじっくり見学できませんでしたから、当の本人は、おそらく、何にも見てなかったのではないでしょうか。せっかく、苦労して並んだのに、後味の悪さだけが残ったことでしょう。

 物質的な満足を得る得ないについては、いかんともしがたいところはありますが、精神面での満足感は、教育、信仰によって補うことが出来るものです。願わくば、良い教育、良い宗教に巡り合って、心穏やかに生きていきたいですね。

(2005/4/18)