砂金きらめく立谷沢

  最上川(もがみがわ)が山形県の中央を流れて日本海へ向かい、庄内平野に入る所で、月山(がっさん)から流れてくる立谷沢川が合流します。

 

  この川は、昔から砂金がとれるので有名ですが、ゴールドラッシュは1622年に酒井の殿様が荘内藩主となって入部した頃で、200人もの人がどっと入ったそうです。立谷沢川の両岸に住む長南氏は、全国で最も大きいまき(血族団体)を作っており、今の立川町だけで100世帯あります。

 

  この人たちの先祖を調べると、最も古い長南忠左衛門(ちょうなんちゅうざえもん)家の1614年作成の先祖書に書いてある通り7代も昔に信濃国(しなのくに(長野県))から来た牢人(ろうにん)であることがわかります。

 

  この頃に、長南氏はどうだったかというと、前に書いたように、武田信長が長南の庄を実力で占領した1456年の事件が思い当たります。

 

  長南庄にいた長南氏のうち1部は、いち早く逃げ出して信濃を経てここに入ってきたのでしょう。そしてその道すじを海上城から逃げた長南氏も23年あとから通ったのです。武田の人質として信濃につれてこられた長南氏とも考えられます。(917頁)