報告

公開研修会

福祉サービス利用者援助と消費者(サービス利用者)保護

サービス利用者の視点から

 

平成12年2月26日(土)与野市コミュニティセンターにおいて約70名の会員が参加し、公開研修会が開催されました。

今回の研修は、介護保険が導入され、契約に基づく福祉サービスが提供されるとき、社会福祉士の果たす役割はサービス利用者の自己決定への援助や権利擁護など大きなものがあるという視点から、開催いたしましたが、参加者からは、大変わかりやすく、多くの示唆が与えられたとの感想が寄せられております。

講演1

「福祉サービス利用援助事業について−地域福祉権利擁護事業、成年後見などの新制度を見ながら−」

講師 日本医療社会事業協会  常任理事  田口 美和氏

社会福祉の制度が大きく変化する中で、契約を行い福祉サービスを利用することが基本となるが、その中で、意思能力などで社会的な支援が必要な高齢者や障害者などへの援助施策について学習をした。

地域福祉権利擁護事業の目的、社会福祉事業法での位置づけ、事業の対象者、事業の仕組みなどの概要の説明を受けた後、社会福祉協議会の果たす役割などの課題を説明された。

また、この事業を進める上でのソーシャルワーカーの役割や重要性について提言され、支援員の人材育成や資質の向上の必要性が強調された。

さらに成年後見制度との比較の中で、両制度の対象者の違いなどが示され、今後の制度の発展の方向なども検討された。

講演2

「法的視点から消費者(サービス利用者)保護を見る−福祉サービス利用者の保護を法政面から考える−」

講師 東京弁護士会  石黒 清子氏

これからは、契約でサービスを受けることとなるが、自分の意志で決定することは、自己責任が出てくる。自己責任の原則が成り立つためには、社会的弱者には、自己決定権の尊重と本人の保護が大切であるが、そのためには、それを支援するソーシャルワーカーには、法的な知識が必要であるとして、契約に関する基礎知識や誤って交わした契約への対応方法などを話して頂いた。

またこうした事態に陥らないための予防策を具体的な事例を交えて話された。さらに最近の新しい動きとして、消費者契約法の制定について今国会で立案されるのではないかとの見通しを述べられた。

              (研修委員会)