福祉サービス利用者援助事業
愛称“あんしんサポートネット”
− 契約締結審査会について −
山本 進
地域福祉権利擁護事業(以下本事業という)は、昨年10月にスタートした新しい事業です。本事業は、現在改正が予定されている、社会福祉事業法の中でも「福祉サービス利用援助事業」として位置づけられているものです。また、本事業は、判断能力が十分でない人が福祉サービスを利用する際に、自己決定をできる限り尊重し、その意思の実現を援助することを趣旨とする事業です。
埼玉県では越谷市、大宮市、東松山市、秩父市、熊谷市および久喜市の6地域センターが各地域毎に生活支援員を配置し、広域的に実施されます。埼玉県における本事業の内容は、類型Tに相当する生活支援員による利用者の生活状況の見守りのほか@福祉サービス利用相談A福祉サービスに関する情報提供・助言B福祉サービスの手続きの援助(申込手続き同伴、代行、契約締結)C福祉サービス利用料の支払い等D福祉サービスについての苦情解決制度の利用援助となっています。なお類型Uに相当する金銭管理や書類の預かり等は、既に権利擁護総合相談センターで行われていますので含まれていません。
さて、本事業は、契約を締結することによって開始されるものですから、利用者の契約能力がなければ利用することはできず、成年後見制度の利用を含め他の適切な方法の選択などについて援助しなければなりません。しかし、実際には契約能力があるかどうかを判断しかねる事態を生じることが予想されます。このとき生活支援員は地域センターをとおして県社協が運営する契約締結審査会にその判断を仰がなければならないことになっています。埼玉県の契約締結審査会には、弁護士2名、医師2名、有識者2名そして本会の菊地副会長、山本の2名が社会福祉士として参加しています。
委員会は、まだ第2回目の会合が開かれたところです。初回は県社協のスタッフによる本事業の説明、2回目は権利擁護総合相談センターに寄せられた事例を参考に契約についての検討を行いました。自立できている方々と契約能力のない方々との狭間を埋める事業ですから、契約に関する判断には慎重な対応が必要ですが、福祉サービスを必要としている方々が安心していただける事業に育つことを願っています。