年頭あいさつ

利用者中心の福祉サービスの担い手として

会長  青木 孝志

皆様におかれましては、健やかにミレニアムの新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。

”2000年”の数字の並び方から見ても想像を絶する大きな節目を迎えたような響きがありますが、まさにそういう一年になるのではないかと思われます。社会福祉の分野に限っても、介護保険制度が本格実施され、社会福祉事業法などの大改正を前提に、利用者の自己決定の尊重を基本理念とした各種の事業が展開されようとしています。

しかしながら、この改革をより確かなものとするためには、いくつかの仕組みが効果的に実施され、十分に機能する必要があります。

特に、判断能力に課題のある人々への支援策としての新たな成年後見制度(4月から実施)の円滑な実施と地域福祉権利擁護事業(昨年10月から実施)の充実が不可欠です。また、利用者の的確な選択を保障するため、福祉サービスについて多様な事業主体の参入を認めると共に、第三者の評価とそれらを含む必要な情報の公開が確実に進められなければなりません。さらには、福祉サービスに対する苦情解決の仕組みも県民に理解されるように、具体的な形で制度化される必要があります。それらと合わせ、質の高い専門職員の供給と継続研修の体制も十分に整備されなければならないことはいうまでもありません。

そして、私たち埼玉県社会福祉士会としても、これらの新たなシステムの構築や事業展開の過程に参画すると共に、当然のことながら、利用者中心の福祉サービスの担い手として、期待されている役割を十分に果たしていかなければならない状況にあります。

すでに、成年後見人については、研修受講会員も増加しており、その受任体制も整備されつつあります。また、県社会福祉協議会の地域福祉権利擁護事業契約審査会には本会から委員を推薦しています。今後は同事業の運営監視委員会、県社協に設置予定の苦情解決委員会などへの会員の堆薦も求められてくるものと思われます。

ところで日本社会福祉士会の会員は、本年中に1万人を越えることが確実な情勢になりました。しかしながら、我が埼玉県支部の組織率はこのところ全国でブービー賞の連続です。

ついては、支部運営についても、組織のあり方を抜本的に見直し、会員の帰属意識を促すことのできるような活動を精力的に展開する必要があると考えます。会員の意見が迅速に集約され、運営に的確に反映させられる体制の整備は緊急の課題です。

皆様方の英知の結集をお願い申し上げますとともに、利用者と会員の皆様にとって幸多い1年になりますよう祈念し、新年の挨拶といたします。