初子:くすん・・・わたし、人・・・人を・・・
雪枝:うん?
初子:人を殺めた事が・・・あるんです・・・
すずめ:・・・。
彩狐:え?
初子:約束はしてくれなくても構いません・・・けれど・・・全部聞いた後で・・・それでもわたしを嫌わないでくれますか?(ぎゅっ)
雪枝:(にっこり)約束・・・するわよ♪
すずめ:聞くまでもないね。
彩狐:・・・(こくこく)
初子:さっきTVで言ってた事件の頃・・・わたしは、とある学校の中に住んでいました・・・空いている教室に結界を張って隠れていたんです。
雪枝:一人で?
初子:はい。わたしを育てる為に力を使い果たした母さんは、永い眠りに入る為に山の祠に行ったんです。
彩狐:お母さん?初音さんの事?
初子:ううん、母さまが本気で愛した人・・・母さまの為に人間である事を捨てた女性です。
母さまは一度死んで・・・滅びているんです。その時、自分の卵をその女性に託しました・・・それがわたしです。

彩狐:そんな事があったんだ・・・
初子:詳しい話はわたしも知りませんけど・・・
初子:しばらくの間は教室で静かにしていたのですが、退屈なのでたまに学生さんに混じって授業を受けたりしていました。
すずめ:よくバレなかったな?
初子:結界を学校全体に広げれば、その程度の誤魔化しは出来るんです。
彩狐:初子ちゃん、すご〜い!
初子:その結界はわたしが張った訳ではなくて、母さんが張ったものを利用していただけなんですが・・・わたし自身はそういう複雑な事は未だに出来ません。
彩狐:ふ〜ん・・・
初子:・・・そんな事をしているうちに友達が出来ました。
明るくてとても優しいコでした・・・でも・・・
初子:学校の近くで通り魔事件が起こり始めたんです。
狙われたのは全てわたしの学校の女生徒でした。
被害者は5人、全員髪の長いコだったんです。

すずめ:その事件知ってる・・・
雪枝:私達の街からは離れていたけど、同年代の女の子が犠牲になったから、よく覚えているわ。
初子:後から知った話ですが、その犯人はわたしを・・・いいえ、「比良坂 初音」を狙っていたんです。
彩狐:ママを・・・じゃなかった、初音さんを!?
初子:はい・・・これも後から聞いたのですが、昔、母さまが殺めた人が怨霊となって人に憑依して事件を起こしていたんです・・・
彩狐:き、聞かなきゃ良かったカナ・・・(;_;)
初子:その犯人が6人目に選んだのが・・・わたしの友達でした・・・
彼女は何とか学校内に逃げ込んだのですが、追い詰められてしまって・・・


静:いや・・・来ないで!
通り魔:へ、へへへ・・・ひ〜ら〜さ〜か〜・・・
静:誰か・・・誰か助けてぇ!!
がららっ!ばん!!
初子:しーちゃん!!

初子:彼女が傷つけられる前に、間に入る事が出来たのですが・・・
静:み、深山さん!?
初子:しーちゃん逃げて!
静:何で・・・だめだよ!一緒に逃げよう!!
通り魔:へへ・・・逃がすものか・・・お前に殺された恨みは・・・まだ晴れていないからなぁ・・・
初子:な、何を言ってるの!?アナタなんか知りません!
通り魔:は・・・深山も居るのか・・・はは・・・まだ乳繰り合ってやがる・・・ちょうどいい・・・まとめて殺して・・・それから犯してやろう・・・あははははは!
静:まともじゃ無いよ・・・
通り魔:死ねぇ!
初子:だめぇ!!
どん!
静:ひっ!
通り魔:ぐお!?
初子:あ・・・?

初子:そんな事が出来るなんて思いませんでした・・・けれど・・・わたしの手は彼の胸を貫いていたんです。
殺すつもりなんて無かった・・・彼女を守りたかっただけなのに・・・
彩狐:もういいよぉ!もう・・・ぐすすっ
初子:彩ちゃん・・・
雪枝:続けて。
彩狐:(きっ!)ユキ姉!?
雪枝:おだまり!・・・初子?
初子:はい・・・
初子:しーちゃん・・・大丈夫?
静:ひぃぃ!?近寄らないでぇ!!
初子:しーちゃ・・・
静:バ、バケモノぉ!!(ずるずる・・・)
初子:なんで・・・なんでそんなコト言うの・・・?
静:きゃあぁぁ!人殺しぃ!!!(だだだだだ・・・・)
初子:しーちゃん・・・わたし・・・しーちゃんを・・・
ガタン!
初子:はっ!?

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