【MT12・C3第1回個別】
(桜紫苑マスター)

(抜粋)

 静寂の炎の側にいた騎士が顔をあげた。
 ルカが隊長と間違った騎士だ。
 ぺこりと頭を下げる。
「ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ。ところで、落ち着きました?」
 どうぞと座るように促されて、ルカは騎士の側に腰をおろした。
「はい」
「‥‥私の父はね、昔、ヌシさまに命を救われた事があるんだよ」
 突然の話に、ルカは面食らう。
「誰も信じてくれないけど、私は本当の事だと信じてる」
 マーゲイ・マクウッドと名乗った騎士は、遠くを見るような目で話し続けた。
「ヌシ様の領域に入る道は、これから私達が進む道1本のみ。後は入り組んだ木々が壁となって人の足では入れない。なのに、どうやってヌシの領域に入り、ヌシに助けられたんだ‥‥と、皆が言っていた」
「なんだか、おとぎ話に出てくる女の子のような話ですね」
 樹海で迷っていた少女の話を思い出して、ルカが呟く。
「そうだね。‥‥私はヌシさまに会って御礼が言いたい。そんな私的な理由でこの探検隊の護衛として参加した。けど、私的だと言っても、樹海を荒らそうという気はないよ?」

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