Songs  山下由


So long so long song


また初めから話し始めなくちゃいけなくて
顔がクシャクシャになるんだけど 
いつものお話で眠くなるんだけど
子牛が窓の外を見ていて
星がザアザア降っているので
お話を始めましょう
So long so long song

桃の木の下で生まれた女の子が大きくなって
バレーボール部のロッカーの中は
海のような有り様だった
そう お父さんのお爺さんが漁師だったんだ
わかるだろう
So long so long song

あばよと言ってもついてくる夕日が
電柱のかげにしゃがんだよ
金魚に餌をやらなくちゃ
洗濯物を入れなくちゃ
コロッケがおいしくこげる前に
So long so long song

眠る眠る熊はドアの音で
ドーナッツを焼いている
昔 恋人がくれたコインが
夕暮れにマリアと歌ってる
帰っておいで スープができたよ
So long so long song

メトロノームのように正直に
水仙の花が咲いた
いつでも花が摘めるように
地球が咲いていた
毛布の中に答を見つけた
So long so long song

So long so long song


12 December, 2003

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なんて自由なんだ



なんて自由なんだ
よぼよぼの顔をして
3cm先を俺が歩いてる
死ぬようなエレキギターが
基地に落ちる音が聞きたいもんさ
どうしょうもなく自由なんだ

家賃は銀行に振り込んで
次の日はコンビニ強盗だ
その次の日はクリスマスで老人ホームの慰問
そのその次の日は群馬まで歩こうとして
埼玉であきらめる
なんてなんて自由なんだ

とは言えあきらめない方がいいと思うのは
未だに金のニワトリが盗まれたまま
国の金庫に入ってるから
けちな泥棒で満足してる場合じゃないぜ
心にそっくり鍵がかかって
国連の金庫で寝てるのさ

ミカエルもガブリエルもラッパを吹いた
もう何年前だろう
第6432287225番目の天使もラッパを吹いて恥をかいた
ニワトリには聞こえないし 
酔っ払いが凍え死ぬばかり
なんて自由なんだ

で 目がさめた野原には
草より柔らかい女が隣りにいて
牛の話をするのだった
もつれるばかりの靴ひもを 毎日食べる牛のお話
いつでも自由の中で目がさめて
僕らは泣いた

目覚めることができることについて


AM 4:11, 12 December, 2003

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ブースターのブルースマン



金色の悩みをいっぱい抱えて
洞窟は骨だらけ 優しいあの娘は
キリストを口説こうとしているよ
マーモセットのサービスのついたレストランで
昼間から愛を語るのは大変だけど
なんか始めなくちゃね

ドクター・フリーもメーソン大王もみんな知る
俺は床の間の竜の彫り物で 食べられる男なのだと
でも洪水の中で借金と儲けの区別もつかず
手をつっこむポケットもないのはどうなんだ
可愛いアヒル 正しいガチョウと言えるだろうか
さっさと逃げ出せよ

そうもできないのが分かっていて
天使はスープをゆっくりとこしらえ
そうだ! 本を読まなかった奴の勝ちだ
金を数えなかった奴の勝ちだ
欲望でロバをとばして馬鹿に会いに行って
幸福を祈るんだ 服だけが俺のもの

姉ちゃんたちは今も優しくしてくれる
内ポケットの十字架の刺繍にさわって
地球じゅうに響くベルの声でしゃべれ
草原は緑色に燃えてるぜ
海はてれてれと打ち寄せる

心配すんな みんな昔のまんまだ


12 December, 2003

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マングローブ・ブギ


オヒルギとメヒルギの
ダンスに誘われ
シオマネキに招かれて
深い深い泥の中
ウー マングローブ・ブギ
マングローブ・ブギ
マングローブ・ブギ ズボン

優しい優しい黒い眼の
女が森の中にいる
オヒルギとメヒルギの
ダンスは誘う
ウー マングローブ・ブギ
マングローブ・ブギ
マングローブ・ブギ ズボン

マヤプシキ この不思議
僕はまだまだ生きている
オヒルギとメヒルギの
ダンスは誘う
ウー マングローブ・ブギ
マングローブ・ブギ
マングローブ・ブギ ズボン


18 March, 1996

*西表の精霊たちに愛をこめて.


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涼しいブギ


さて陽気なメシヤが
黒いガムを噛んでいる
機械のような笑い声を
外に放り出してるよ
シベリアは零下30度

親友の家で
豚の声を数え
とんがった帽子を
ヒマラヤ杉に干している
とっても寒いよ

ポケットの中に
熊の手袋
やりやすいように
やったんだ
誰でも出来ると思うけど

なんか真似をして
今日もしゃべってる
誰の真似かも
ようわからん
寒いこった


29 January, 2003


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どこかに誰かがいる


キリストの影を掘って
声が旅をしている
鳥の世界に捨てられた夢を
今夜 干草の中で見る
たしかに
どこかに誰かがいる

アル中でも説明できる
低い世界を
機械の蟹が渡っていく
私はもう一度埋められたのだ
そして
どこかに誰かがいる

母親の花が咲いている谷間で
僕らは出会い
いとおしい美しい葡萄の樹の下で
恋をした

6種類の聖書を読んでいる
人間が夢から目覚める日は来るのか
飛行機は飛び立つ
母親になる人たちをあなたは殺す
どこからでも人は見ている
今朝届く朝刊のように我々は神のように知っている

心臓を繰り返し組み立てる永遠が
必要だろうか
いま生きている世界と
彼女の微笑みで充分なのに
手招きしているのは誰か
破滅の時計は何時だ


4 February, 2003

*破滅の時計は何時だ:ホロコーストを人間は永遠に繰り返すのかと言う意味。チェルノブイリのような警告も、今の人類には聞こえない。

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FIREBIRD WOMAN


彼女は火山で待ち構え
借金を魔法のように倍に増やし
記憶に愛を与えず
シャープペンシルを地獄に落とし続ける
大変だよ ウサギに追い抜かれるよ

そして世界で一番しなやかな洞窟が
青い海の底の花畑へ続いていて
男たちがどこか一ヶ所でも
誤りがないかを探している
救いようがないよ かわいそうに

狼は火山のてっぺんで
たった一滴の雨を待つ
ストロベリーな遠吠え
それが彼女の
たった一滴の雨

彼女は彗星を作り変えた
海原に子供のベンチを置いた
男たちを荒野へ追い出した
一口目のコーヒーを発明した
彼女の魔法よ永遠に

彼女の魔法よ永遠に


29 January, 2003

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天使に生れて
(BORN TO ANGEL)



あなたの枯葉の家に
天使がやって来る
古い木のドアをノックするのは
あなたの光
天使が生れるよ

昔の昔のずっと昔の海を
君と泳いでる
あの海の子供の僕が
笑ってらぁ
天使に生れて

自然の掟も僕にはなくて
神様の財布から金貨をこぼすだけ

おいで 見てごらん
僕の子供たち
葉をくいしばってさ
聖ニコラスが働いているよ
天使に還る道で

ロシアもアメリカも滅びて
釣り上げる魚もいない
今夜 カーバイト倉庫に
言葉が生れる
初めに君ありき

自然の掟も僕にはなくて
神様の財布から金貨をこぼすだけ

休んでごらん
僕の枝にぶらさがってごらん
父は君のブランチ(昼ごはん)だよ
ママの目が細くなるよ

天使の声を聞いてごらん
恥ずかしがらずに命に聞いてごらん
僕のベイビーが僕に教えてくれるように
僕は神様に言いたいことがある
天使に生れて

All people, yeah!
Your angel comin' now!!


25 January, 2003

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泡瀬で会おう


地球に出かけていく
僕らの魂が待ってる場所へ
子供のような海が裸足にさわっている
明日も朝凪が来るだろな
泡瀬で会おう

海草の野原で昼寝
パパ・ハボウキが笑ってる
こんな場所がどこにでもあった
昔のあんたの故郷にもね
泡瀬で会おう

ミナミコメツキガニを呼んで
ルリマダラシオマネキを呼んで
アバサーにも酒を飲ませよう
満月 満月の
泡瀬で待ち合わせ

札束の紙吹雪と政治
知らない人たちがパレードしてる
海と風のやすらぎを忘れて
チュラマブイを落として

生れた海の匂いに
僕は帰る
それは母親が干す暖かいシーツの匂い
ずっと僕らを育てて来た地球の海の
泡瀬で会おう

泡瀬で会おう


9 October, 2002

*泡瀬干潟は沖縄市にあり埋め立て工事が行なわれているが、現在その反対運動を継続している。ハボウキ:泡瀬に生息する大型の二枚貝。アバサー:ハリセンボン。チュラマブイ:美しい魂。この歌を地球上の恋人たちに捧げる。

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MP Blues


朝起きて メールを読んでるよ
パソコンをパンに挟んで
あの娘の作ったハムを食べてるんだ
俺はミシシッピ−の生れ
フムフム ワニワニ

朝起きて メールを読んでるよ
健康のためにやってるんだ
世界の船に乗り遅れないようにな
俺は瀬戸内で生れた
フネフネ タイタイ

朝起きて メールを読んでるよ
夢の中のゾンビの生徒
教室に詰まったミイラの心の山
俺はテムズ川で生れた
ロンドン橋の下で

死ぬことにももうあきた
樽いっぱいのバーボンと葉巻
「世界」と繋がることへの嫌悪
笑顔をおくれ
俺は糸満の漁師


9 Oct, 2001

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WHITE THINK


昔はいつも思ってた昔は
女の子の大工さんが建てる家で
ただなにもない庭を見て暮す
そこに君がいるから

ドアが風に吹かれて
僕たちに告白している
人口の何分の一かは
幸福になれると

あーあ 白い まっしろ

俺にはアリバイがあって
この峠に立って
あと何センチで落ちるのか
計ってる

でも Happyのために
産着はあるし
俺のおふくろも
なんにも望んじゃいない

白い城に住んでいる

クィーンは今でも
告白するし
池には鯉がいて
僕らは自由

二分の一のサンドイッチに
署名する自由
さて 朝から雨が降っている意味は
あいつにしか分かるめえ

白い城の王様

昔はいつも思ってた昔は
女の子の大工さんが建てる家で
ただなにもない庭を見て暮す
そこに君がいるから


26 June, 2002

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オルガンのうた


雨があがって
蛙がハモンドしている
靴を道で叩くような故郷には
音楽が鳴っている
赤い傘が落ちてるよ

海の手前のお店で
なんかクジをひく
俺の叔父さんはクーリーで
どこでも乗っけてってくれたっけ
たっけ けかけか

外をごらん
オルガンが歩いてるよ

生まれた!のは
ニシンもよく知ってる
梟の首が12時を指して
涙も
牧場に寝転びにいった

ついでに僕のママと
君のママが
祝福するのは そうだ
花が咲いているから
いつも咲いているから

外を聞いて
オルガンが鳴ってるよ

外を聞いて
オルガンが鳴ってるよ

9 March, 2002
 

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美しいもの


僕が出会った美しいもの
地球の全ての花々
季節は一時に流れ
昔はいつまでも優しかった
今夜もホーボーが歌う

僕が出会った美しいもの
地上の全ての動物たちが
お話を作った
僕は君を探して旅をした
今も旅をしてる

僕が出会った美しいもの
全てのものは美しく 
完全だった
僕は火を呼吸して歩き
丸まって眠る獣

血の虹がかかる日
未来は波打ち際で
泡のように笑っている
僕は僕の貝殻を
拾うことができるかしら


1 March, 2002

*ホーボー(Hobo)は,アメリカ大陸を旅する自由生活者.

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My Dignity


竹垣に有刺鉄線が張られ
畑の境界には神経質な犬
犬と狼の違いを考えてきた
そんなふうに何故?
自分が正しいと思わなければいけないのか

この枕も毛布も
あなたの安らぎのためにある
夢はあなたを待って
地球の海で呼んでいる
何故? 自分が正しいと思わなければいけないのか

メールを読み返す
詩を読み返し
自分の行為を振り返る
城壁をいくら高くしても
愛はあふれて水びたしになるだろう

天秤の1と2
銀と石を交換してはいけない
笑顔は分析できない
最も強い元素だ
自尊心? 退屈に挨拶をするのか

私の兄弟や親戚は皆
本当の自尊心を持ち
地球のどこへでもボールを投げる
それは自分に落ちてくる
とても単純な世界地図だ

自分の居場所の確認に永遠の時間を使うほど
我々の日常は弱いものなのか?

何故? 自分が正しいと思わなければいけないのか
そんな時間はあるのか?


16 January, 2002


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アラバマは若い


なんだか知らんが機械の神様は
ハッピーにマニアを集めてる
俺の空中の恋人は
シーツをエメラルドに変えている
おー アラバマは若い  
あんたの姉ちゃんよりも

クリスタルのブルーは明日やって来て
楽しい料理を作るという
俺のニジマスのような野望が
学校新聞に載るといいな
おー アラバマは若い  
あんたの姉ちゃんよりも

ちょうどダイヤモンド時刻に
不正確バッターが現れて
ピノキオの小包を食べてしまう
せっかく森があるのになあ
おー アラバマは若い  
あんたの姉ちゃんよりも

みんなサポートの準備で忙しく
俺はリスと約束があり
57番街へ行かなければならない
赤いガラスの中のハートを見るために
おー アラバマは若い  
時間が始まった頃よりも


27 September 1998


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楽しみは果てしなく
(It takes lot of laugh for enogh ships)


脳みそが突き抜けていて
もう あっち側へ帰れないのさ
サファイアのウインクで
俺は死んだのさ
今も 椅子がぎしぎし言ってるぜ

考えることも思うこともない
冬はベジタブルなストーブ
俺の彼女がエビを茹で揚げ
地球を自由にしてくれる
今でも ドアがバタバタ言ってるぜ

あー 顔を洗うスピードで
俺に追いつこう
ほっとくと死んでしまうからな
ガラナの香りの春が来る
いつでも 犬が土と遊んでる

さて 迷ったルビーは霧の中
俺には本当の仕事があって
誰にも打ち明けたことがない
ただ君に優しくするために
船にミルクをうんとかけるんだ


12 December 2001

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Let's go Buldeung!


ああ 夕日が沈みかけて
暑かった一日が終わろうとしている
話しかけた全てのものが
もといた場所に帰ろうとしている
Yeah! Let's go Buldeung!
This is THIS!

浜辺には古い船
二人の小さな女の子
世界が金色に変わる時間に
みんな もといた場所に帰る
Yeah! Let's go Buldeung!
This is THIS!

この夕暮れを飲もう 歌おう
メッチュ チョセヨ
ソジュ チョセヨ
俺も昔 ここに住んでいた
Yeah! Let's go Buldeung!
This is THIS!

風景は変わる
住んでる人の顔もそう
でも 二人の小さな女の子が
いつまでもこの夕暮れの浜辺に帰れますように
Yeah! Let's go Buldeung!
This is THIS!


21 November 2001

*Buldeungは干拓計画の迫る韓国西海岸セマングムの小さな漁港. 「THIS」は韓国の煙草の銘柄.

「This is THIS!」は偉大なる原始人・ゴルチョ・韓国の朋友・北さんの名文句。

「メッチュ チョセヨ」は「ビールをちょうだい」。ソジュは焼酎。ここはヨギ!!


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ダダの男(Man of DADA)


生まれは火星の砂の上
育ちは月の屋根の上

砂の嵐を産湯に使い
虚数を育ての母となす

プルトニウムかウランの花か
僕らの恋のせつなさは

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WAR


支配形態の変化のゲームに
酒でも飲むようにつきあわされて
紙切れのように殺されていく
戦争はなくならない

どっかの男の作った教えに
何千年も閉じ込められて
土地にのびる草も見えない
戦争はなくならない

民族の旗が君の血につけこむ
やっと見つけた最後の正義
正義のために滅びる人々
戦争はなくならない

未来の平和へ 世界の完成へ
神よ 私を行かせて下さい
あらゆる神が滅びるまでは
戦争はなくならない


*全ての国民が神になる日まで、この戦いは続く。

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