Oriental ABBAland

BBコンサート・イン・シャンハイ

ticket of BB concert in Shanghai  1999年3月10日,中国シャンハイで行われたビョルンとベニー作品コンサート『’99瑞典ABBA作品音楽会』を,友人3人と聞きに行って来ましたので,そのようすをレポートします。

ビョルンとベニー作品コンサートについて

 ビョルンとベニー作品コンサートは,1998年9月から10月にかけてスウェーデンで3回だけ行われています。ビョルンとベニー自身がプロデュースし,スウェーデン屈指のオーケストラGöteborg Symphony Orchestra,コーラスGöteborg Symphony Choir,そしてスウェーデンで有名な民族音楽グループOrsa Spelmänをバックに,ビョルンとベニー作品が次々に披露されました。

 BBコンサートのメインボーカルは,次の4人です。

トンミ・ショルベリ(Tommy Körberg)
ビョルンとベニーが書いたミュージカル『チェス』でロシア人役をやり,「Anthem」などを歌った。
カーリン・グレンマルク(Karin Glenmark)
1980年代半ば,弟のアンデシュとともにジェミニを結成し,ビョルンとベニーがプロデュースした『双子座の誓い』(Gemini),『Geminism』の2枚のアルバムをリリース。透き通るような美しい声が魅力だ。
アンデシュ・グレンマルク(Anders Glenmark)
カーリンの弟。ジェミニ結成前からアバのバックバンドとして活躍。アバの代表作『アライバル』にも彼の名前がクレジットされている。
ヘレン・ヒョホルム(Helen Sjöholm)
ビョルンとベニーがミュージカル化した『Kristina från Duvemåla』でクリスティーナ役をつとめ,「Du Måste Finnas」がヒット。カーリンとは対照的に,ハスキーな声が魅力だ。

 なお,スウェーデンで行われたこのコンサートは,ソニー・ミュージック・スウェーデンからライブ盤が発売され,アルバムチャートの3位にランキングされるほどのヒットになりました。

シャンハイでのコンサートの位置づけ

 『’99瑞典ABBA作品音楽会』は,シャンハイで行われていた『瑞典周』(Swedish Week)のイベントの1つとして開かれました。
 私たちはコンサートを聞くことが主目的だったので,他のイベントは見ていませんが,街を歩くとスウェーデン人をたくさん見かけました。ふだんシャンハイにはスウェーデン人は100人程度しか住んでいないそうですが,このイベントのために500人ほど来ていたということです。
 私たちが泊まったホテルにも,たくさんスウェーデン人がいました。レストランやバーラウンジではスウェーデン語が行き交い,中国に来たのにまるでスウェーデン旅行をしているような錯覚さえおきました。

 シャンハイ公演に先だち,3月4日にはペキンでもコンサートが開かれました。日本を立つ前,このようすを伝えるスウェーデンの新聞社のウェブサイトを見たのですが, 万里の長城を背景にしたビョルンの写真 がでかでかと載っていて,胸が高鳴る思いでシャンハイに旅立ちました。

シャンハイ・コンサートのレポート

 それでは,みなさんお待ちかねのコンサートレポートです。

 コンサートは,1999年3月10日19時30分(日本時間20時30分)から,上海国際体操中心(Shanghai International Gymnastics Center)で開かれました。

 会場は,5000人くらい収容のホール。このコンサートを友人2人がアリーナの5列目で,もう1人の友人と私はスタンド1階席の1列目で聞きました。スタンドと言っても日本のように高くはなく,アリーナより30〜40センチほど高いだけです。ステージに向かって右側のスタンド,ステージからは至近距離の席で見ることができました。

concert program of BB concert in Shanghai  さて,会場は,開演の10分くらい前にはまだ空席も目立ち,ほんとに満席になるんだろうか疑問に思ったのですが,直前になってほとんどの席が埋まりました。中国の人たちは,1時間も前に行って待っていたりしないんですね。

 ベニーがステージに立って英語であいさつを始めたのが19時40分すぎ。ステージには中国語への通訳をするおじさんも。「こんばんは。ベンニ・アンデッションです。昔はポップスターだったけれど,今はこのショーのプレゼンテーターです」

 中国語はわからないので,私はベニーの英語を聞いていました。ときどきジョークを飛ばして,場内が笑いに包まれることも。ベニーの英語で場内が笑い,そのあと中国語に訳されたときにも時間差で笑いが起きるのがおかしかったです。

 通訳の時間も含め5分あまりのあいさつの後,本編が始まりました。

第1部

  1. Inledningsvisa / Klinga mina klockor

     4〜5人のおじさんたちが北欧の民族衣装を着て,アコーディオンをしょって現れました。ベニーもその中に入ってアコーディオンをひき始めます。気分が乗っているらしく,スウェーデンでのライブCDよりも早いテンポです。躍動的なメロディーになったところで,会場から自然と手拍子が起きました。おいおい,このあとオーケストラが入って,コーラスが入って,厳かな展開になるのに…。と心配しましたが,オーケストラが入ったところで自然に手拍子は鳴りやみました。

  2. I Have a Dream

     オーケストラとコーラスの迫力に圧倒された聴衆の拍手がちょうどなりやみかけたとき,おなじみのイントロが始まりました。向かい側に陣取ったスウェーデン人たちの方から歓声と拍手が起きます。ステージに出てきたのは,カーリン。アバのフリーダ同様,とてもやさしい歌い方をしていました。私は,早くもカーリンといっしょに口ずさみ始めました。

  3. Knowing Me, Knowing You

     これまたおなじみのイントロが,生ギターでかなでられ始めました。意外にもステージに現れたのは,アンデシュでした。えっ,この曲を男の人が歌うの?と思いましたが,そこは長年のアバファミリー。とってもよかったです。ずっと聞きほれていました。特に,オーケストラとコーラスがついた後半は,迫力でした。

  4. Money, Money, Money

     またまたおなじみのイントロで会場が盛り上がります。今度はヘレンが出てきました。スウェーデンでのライブCDを聞いたときから,ヘレンのこの曲には注目していました。だって,アバのフリーダとは全然違う歌い方をしていたので。シャンハイのステージでは,ライブCD以上にこぶしをきかせて,自分の歌として歌っていました。歌い終わってからの拍手に対して「謝々」とこたえた後,次の曲のバイオリニストを紹介しました。

  5. Dum Dum Diddle

     バイオリン1丁だけのメロディーに合わせ,ヘレンは今度は静かにやさしく歌いました。

  6. Födelsedagsvals till Mona

     また民族衣装のおじさんたちが出てきてアコーディオンを演奏しました。

  7. Guldet blev till sand

     拍手が鳴りやむのを待って始まった静かなイントロ。トンミが歌い出します。この曲は,『Kristina från Duvemåla』の中の曲。語りかけるように一語一語やさしく歌っています。CDで聞いていたのと何か違うなと直感したのですが,この時点では何が違うのか気づきませんでした。休憩時間にアリーナの友人に聞いてわかったのですが,いつもはスウェーデン語なのに,きょうは英語で歌ったのでした。

  8. My Love, My Life

     おなじみのイントロだけど,アバのより幻想的なアレンジで始まりました。カーリンの歌を聞きながら,そこにあたかもアバのアグネタがいて語りかけているような錯覚を覚えました。

  9. Pity the Child

     静かなピアノのイントロで始まるけれど,アンデシュの歌がだんだん盛り上がって。。エレキギターがかなでるメロディーは,ビョルンとベニーの曲独特の響きです。

  10. Ring Ring

     ここからはおなじみのアバメロディーの連続。まずはこの曲。スウェーデンでのライブCDと同様,スウェーデン語で歌っています。サビ直前の4小節は,アバのライブと同じように,両手を頭の上に持っていって手拍子。観客もみんなまねして盛り上がります。私は,サビでも右手で電話のダイヤルをまわすまねをしました。ヘレンと目が合ったときに,とりわけ大きく右手をまわしたら,気づいたようでにこにこしていました。

  11. Mamma Mia

     間髪を入れず,次の曲のイントロ。反射的に私は,『アバ・ザ・ムービー』や日本でのライブのときと同じように,人差し指を上に突き出すポーズの振りを始めました。隣の友人もそうです。こんなことをしているのは,私たちだけだけど,ここまで来て楽しまない手はありません。メインボーカルは,トンミとアンデシュの男性2人でした。

  12. SOS

     またまた間を置かずにおなじみのイントロ。メインボーカルは,アンデシュです。 アバの曲って,男の人が歌ってもいいですね。特にアンデシュは違和感がありません。

  13. Hasta Mañana

     拍手がなりやむのを待って始まったイントロ。この曲がライブで聞けるなんて! スウェーデンのライブCDには入っていなかったので,とってもうれしかった。だって,日本だけのシングルじゃない!! よく声の伸びるトンミがメインボーカルでした。

  14. Fernando

     今度はカーリンとヘレンの女性2人がメインボーカル。私と友人は,腕を大きく上げて,用意していたペンライトを左右にかざしました。またまた,こんなことをしているのは私たちだけです。でも,いいもん。この1曲のためにペンライトを日本から持ってきたんだから。アリーナで聞いていた友人に後で聞いたら,下からも私たちのライトはよく見えていたそうです。

  15. Honey, Honey

     アバの静かめの曲が続いた後は,またご機嫌なメロディー。カーリン,ヘレン,トンミ,アンデシュの4人が,本家アバのイメージそのままに歌いました。

  16. Waterloo

     この曲のイントロで,私たちの向かい側の陣取ったスウェーデン勢からも歓声が起きました。でも,だれも立たないので,私はしかたなく座ったまま大胆に腰を左右に動かして踊りました。ちなみに1980年の日本でのアバのライブでは,「Waterloo」を「Tokyo」や「Osaka」に変えて歌っていましたが,シャンハイではそういったサービスはありませんでした。

休憩

 第1部の後,15分くらい休憩がありました。アリーナで聞いていた友人が私たちのところに来て,スウェーデン語のはずの「Guldet blev till sand」が初めて英語だったとうれしそうに話してくれました。

第2部

  1. Anthem

     第2部の始まりを知らせるブザーが鳴ってもしばらくざわざわしていたのですが,イントロが始まったら少しずつ静かに。トンミが出て来て,やさしく歌い始めました。『チェス』での自分の持ち歌だけに,後半の迫力はものすごい。オーケストラとコーラスも入って,さらに盛り上がりました。

  2. Mio min Mio

     カーリンの声って,高音が伸びてとってもきれいですね。実は私はこの曲が大好きで,この曲をカーリン自身が歌うのを聞けるというだけでシャンハイに行こうと思ったんです。休憩後,中国の人たちにはなじみのない曲が続いているためか,まわりでおしゃべりの声がして気になりました。せっかく私のお気に入りの曲をやってるというのに。

  3. Heaven Help My Heart

     静かな曲が続きます。難しい歌だと思うんだけど,途中高い音から低い音に飛ぶところも,何とか無難にこなすヘレン。ちょっと音探していたけど。

  4. Arrival

     また民族衣装のおじさんたちが出て来て,おなじみの曲を演奏。会場からは,手拍子と足踏みが起きました。

  5. Sunny Girl

     アンデシュと,もう2人若い男性が出て来て歌いながら演奏も。終わりの方で歓声が上がったのは,最後のセリフ「She's mine」を中国語で話したからかな?

  6. The Winner Takes It All

     事前にスウェーデンでのライブCDを聞いていた私は,ストリングスのスローなイントロが始まってすぐにこの曲だとわかったけど,聞いたことがなければトンミが歌い出すまで「ザ・ウィナー」だとわからないような始まり方。実際,イントロではみんな「これ何の曲?」と考えたようで,拍手はトンミが歌い出して,歌詞で「ザ・ウィナー」だとわかってから起きました。トンミの熱唱が終わって,会場の拍手と歓声がすごかったですよ。

  7. I Know Him So Well

     カーリンもヘレンも声がきれいで,2人のハーモニーが胸に染み入るようでした。感激のあまり,涙がこぼれそうでした。私は『チェス』のエレーン・ページとバーバラ・ディクソンよりも気に入ってしまいました。

  8. One Night in Bangkok

     オーケストラが音合わせをしているような始まり方をするので,曲が始まってもまわりがざわざわしていました。でも,パーカッションが出てくるところで,みんな静かに聞き始めました。アンデシュの歌が入って,会場は手拍子。私も体を左右に揺らしながら聞いていました。「Pity the Child」でも思ったのですが,アンデシュって人の歌をこんなにうまく歌えるなんて,役者ですよね。もっと評価されていいと思います。

  9. Du måste finnas

     待ってました! 会場シーンとして,ヘレンの歌に聞き入っています。スウェーデンのライブCDより,ずっと力がこもっていてよかったですよ。きっと,まだミュージカルを見ていないスウェーデン人も満足だったのではないでしょうか。

  10. Take a Chance on Me

     ティンパニの連打と低い弦の音。何の曲が始まるかと思うやいなや,おなじみのサビのコーラス。ノリのいい曲が始まって,アリーナの前の方の人たちが我慢できずに,立って踊り始めました。それを見た隣の友人と私も,スタンドで最初に立ち上がりました。初めのうち私は,後ろの人たちに遠慮して中腰だっだのですが,もう周りはどうでもよくなって,まっすぐ立って踊り出しました。そのうち会場は,アリーナもスタンドも総立ちに!!!

  11. Gimme! Gimme! Gimme! (A Man after Midnight)

     アバのヒットが続きます。ひときわ大きな手拍子。この曲は中国語で歌われると聞いていたけど,英語です。サビの部分になって,初めて中国語になりました。

  12. Voulez-vous

     またまたおなじみのイントロ。手拍子が続く。1980年のアバのライブでは静かに座って聞いていたけど,こうなったら思いっきり踊るんだい。体を動かすたびに左側の中国人の男の人に体が当たってしまう。ごめんなさい。でも,踊るのをやめられない。右隣の友人に遠慮しつつも,声に出して歌い始めました。

  13. Super Trouper

     間を置かずに「Super Trouper」になったのは,アバのライブ・アルバムと同じ展開。メインボーカルはアンデシュ。「Number one〜」の歌詞のところで,人さし指を思いっきり高く上げる私。

  14. Does Your Mother Know

     このあたりで,アリーナでは自分の席でなく前の方に出て踊る人たちも出てきました。スタンドも相当盛り上がっています。当然私たちも。メインボーカルは,トンミでした。

  15. On and On and On

     まず,トンミとカーリンが交互に歌い出しました。そして,今度はアンデシュとヘレンです。ヘレンは,また思いっきりこぶしをきかせて歌っています。役者のアンデシュも,とってもうまい。

     歌が終わっても鳴りやまない拍手。ボーカルの4人が姿を消すと,足踏みが始まりました。

 しばらくして,お約束のイントロとコーラスが始まりました。

アンコール

  1. Dancing Queen

     アリーナの前の方ではみんな思い思いに踊っています。「Dancing Queen」は中国でも有名だとみえて,スタンドでも盛り上がり状態。「You can dance, you can jive」の「You」と「see that girl」で,思いっきりヘレンを指さす私。

     曲が終わると,拍手と歓声が鳴りやまずに続きます。みんなの足踏み。スウェーデン語でアンコールに相当することばの連呼。

  2. Thank You for the Music

     コンサートに参加した人たちがステージの上に横一列に並びます。そして,またまたおなじみのイントロ。トンミが歌う。カーリンが歌う。 みんなが歌う。ヘレンが歌う。アンデシュが歌う。また,みんなで歌う。ステージとアリーナでは,みんな手を取り合って腕を頭の上で左右に。『アバ・ザ・ムービー』でのラストのシーンと同じです。スタンドの私と友人も手を取り合って,ずっと左右に動かしていました。

 いったん歌が終わっても拍手が鳴りやまないので,もういちど「Thank You for the Music」を歌って,コンサートが終わりました。

Special thanks to Frank for his kindness.


Swedish Week in Shanghai関連のコンサートの報じるシャンハイの有力紙『文匯報』
Swedish Week in Shanghai関連のコンサートの報じるシャンハイの英字紙『Shanghai Star』


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created: 1999-03-21
last updated: 2021-09-19
by MURAKAMI Chifumi