Oriental ABBAland

『アバ・ゴールド』レビュー

 この内容は,Chifumiが1992年11月15日にニフティサーブの音楽フォーラムFBEATに書き込んだものを,ウェブページ掲載用に編集し直したものです。


CD『アバ・ゴールド』の紹介

 きょうは,イギリスでのリバイバルブームに乗じて発売されたアバのベスト盤を紹介します。

  『アバ・ゴールド(グレイテスト・ヒッツ)』(ポリドール POCP-1246,再発POCP-9130)

 現在活動しているグループではないので,古い曲を新録音するとか新曲が入っているというわけではありません。ただ,前に出ていたCDよりも随分音がよくなっていることは確かです。曲によっては,高音が強すぎて気になりますが……。

 で,このCDには,ジョン・トブラーという人が書いたイギリス盤の解説の訳がついていますが,1曲1曲の解説というのがありません。というわけで,Chifumiなりの解説を書いてみました。
 と言いながら,読み返してみると,言いたいことを言っているだけで,全然解説になっていない。まあ,参考程度にしてください。
 オリジナルアルバムも全部CD化されましたので,お気に入りの曲が見つかったら,ぜひそちらの方も買ってみてくださいね。

  1. ダンシング・クイーン[Dancing Queen]
     いらいらしているときでも,4小節のメロディーを2回繰り返すあのイントロを聞くと,ホッとします。イントロの後すぐにサビのメロディーが出てくるのは,アグネス・チャンさんのヒット曲に多いですね。4作め『アライバル』からです。

  2. ノウイング・ミー、ノウイング・ユー[Knowing Me, Knowing You]
     もともと固めの音で録音されていたけれど,これはまた極端にカシャカシャしているなあ。後期の2枚は大人の恋の歌が多かったけれど,『アライバル』にもこういうのあったんだと,再認識しました。

  3. テイク・ア・チャンス[Take a Chance on Me]
     わあい,アバ節だあ。ポップで単純なメロディーの繰り返しで,思わず口ずさんでしまう。でも,これもカシャカシャしすぎだなあ。5作め『ジ・アルバム』からです。

  4. ママ・ミア[Mamma Mia]
     これも典型的なアバ節。ポップでヒット性が大の曲だったんだけど,日本では発売レコード会社の移動で,シングルカットが「エス・オー・エス」の後になり,ファンだけが知っているという曲になってしまいました。3作め『アバ』からです。

  5. レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー[Lay All Your Love on Me]
     ズンチャカズンチャカと,今風のリズムの曲があったんだ。今回のイギリスでのアバブームは,イレイジャーがこの曲をカバーしたことが発端でした。あと,インフォメーション・ソサエティもカバーしています。7作め『スーパー・トゥルーパー』から。

  6. スーパー・トゥルーパー[Super Trouper]
     7作めのアルバムタイトル曲。「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」と同じアルバムからなのに,こちらは単純でポップな作りの曲。これも,アグネス・チャン方式の構成。フリーダの優しいボーカルが印象的です。

  7. アイ・ハヴ・ア・ドリーム[I Have a Dream]
     これもフリーダがリードボーカルをやっています。聞いていて思わず体を左右に揺らせてしまった。フリーダは,歌がうまいなあ。6作め『ヴーレ・ヴー』からです。

  8. ザ・ウィナー[The Winner Takes It All]
     これは,アグネタがリードボーカルをやっています。アグネタも歌がうまい。ラストの歌い方なんかすごい声量。タイトルとはうらはらの失恋の曲。後期独特の大人の歌ですね。なんか,しんみりと悲しくなってしまうな。『スーパー・トゥルーパー』から。

  9. マネー、マネー、マネー[Money, Money, Money]
     フリーダがリードボーカル。最盛期にはボルボより所得があったアバがこんな歌を歌うなんて,何だなあ。『アライバル』の収録曲。日本だけでシングルヒットした「ザッツ・ミー」のB面にも入っていました。

  10. エス・オー・エス[SOS]
     75年の秋にFEN(現AFN)でがんがんかかっていました。「恋のウォータールー」や「落葉のメロディー」のアバが健在だと知って,翌年LPが出たときすぐ買ったなあ。もの悲しいメロディーは,郷愁をさそう……。日本では,『アバ』のA面1曲めでした。

  11. チキチータ[Chiquitita]
     曲調は,「悲しきフェルナンド」と同じように,何かを訴えかけるといった感じ。アグネタのソロで始まったあと,2人でハモって歌います。ラストのフリーダの甘い声がだ〜い好き。『ヴーレ・ヴー』の収録曲で,アバが版権をユニセフに寄贈した曲です。そういえば,ユニセフ・チャリティー・コンサートのテレビ見たなあ。口パクだったけど。

  12. 悲しきフェルナンド[Fernando]
     いかにもヨーロッパのグループらしい曲です。アメリカのグループにはちょっとできないだろうな。『アバ』と『アライバル』の間に出たシングルヒットですね。オリジナルベスト"ABBA Greatest Hits"(日本未発売)から。ちなみに,Chifumiは,このシングル盤のジャケット写真がとても好きです。

  13. ヴーレ・ヴー[Voulez-vous]
     79年のゴールデンウイークは,発売されたばかりの『ヴーレ・ヴー』のアルバムを聞きどおしでした。「サマー・ナイト・シティー」もそうだったけど,ディスコサウンドの影響を受けていて,ファンとしては正直なところ,???だったけど。そういえば,電車の窓のステッカー広告もあったなあ。

  14. ギミー!ギミー!ギミー![Gimme! Gimme! Gimme! (A Man after Midnight)]
     「ヴーレ・ヴー」ほど超明るくないけど,これもディスコっぽい。でも,ちっと幻想的なところもあるし……。こんな感じの曲もアメリカのグループでは無理だろうと思います。『ヴーレ・ヴー』と『スーパー・トゥルーパー』の間に出たシングルヒット。オリジナルベスト『アバ・グレイテスト・ヒッツ Vol.2』からです。最近知ったんですけれど,イレイジャーの昔のライブ盤に,この曲のカバーが入っているんですよ。

  15. ダズ・ユア・マザー・ノウ[Does Your Mother Know]
     中期以降の曲としては珍しく,ビョルンが歌っています。これも完ぺきにディスコ調で,思わず体を動かしてしまいます。『ヴーレ・ヴー』から。

  16. ワン・オブ・アス[One of Us]
     がらりと変わって,しっとりとした大人の曲。「ザ・ウィナー」と同じで,失恋の歌だなあ。どうして後期の曲って,こういうシングルばかりなんだろう。オリジナルアルバムとしては最後の8作め『ザ・ビジターズ』から。ところで,Chifumiはこの曲のイントロを聞くと,いつも麻丘めぐみさんの「アルプスの少女」を思い出してしまいます。

  17. きらめきの序曲[The Name of the Game]
     78年に公開された映画『アバ・ザ・ムービー』で使われた曲です。 記者のアシュレーが身分証明書を忘れたために,アバのオーストラリア公演を取材するのに苦労するというストーリーでした。この曲は,アシュレーが4人に会って取材するという夢を見たときにバックに流れた曲です。(ちなみに,実際に取材できたときに流れたのは「イーグル」でした) 『ジ・アルバム』に収録されています。

  18. サンキュー・フォー・ザ・ミュージック[Thank You for the Music]
     これは,『アバ・ザ・ムービー』のラストに使われていた曲。エンドタイトルになっても席を立たないで,じっと聞いている人が多かったなあ。いつ聞いても,ついアグネタといっしょに歌ってしまいます。この曲も『ジ・アルバム』から。

  19. 恋のウォータールー[Waterloo]
     2作めのアルバムタイトル曲です。74年のユーロビジョン・ソング・コンテストの優勝曲。“スウェーデンのアバ”が“世界のアバ”へ飛躍するきっかけになった記念すべき曲でした。

ビデオ『アバ・ゴールド』の紹介

 続いて,DVD/LD/VHSの『アバ・ゴールド』を紹介します。

 『アバ・ゴールド/グレイテスト・ヒッツ』 (DVD:POBP-1004, LD:POLP-1005, VHS:POVP-1005)

 収録曲は,CDと同じ19曲。曲順が少し違っているだけです。映像の方は,「アイ・バブ・ア・ドリーム」がライブである以外は,プロモションフィルムをほとんどそのまま収録しています。すでに発売されている『アバ・ストーリー』や『ロック映像年鑑』と同一の映像も多いのですが,画質は圧倒的にきれいです。

 それでは,タイトルバックに流れる「ヘッド・オーバー・ヒールズ」に続く19曲のご紹介。

  1. ダンシング・クイーン[Dancing Queen]
     アグネタ,ベニー,ビョルン,フリーダの順で紹介があったあとは,いろんな曲のプロモーションフィルムのシーンを織り交ぜています。基本になる映像は「ダンシング・クイーン」のプロモフィルムですが,「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」や「テイク・ア・チャンス」のシーンもありますよ。

  2. ノウイング・ミー、ノウイング・ユー[Knowing Me, Knowing You]
     フリーダが毛皮のコートと帽子を身につけて,ベニーとキスしています。一方,アグネタもビョルンと抱き合っています。でも,どちらのカップルも気持ちは擦れ違い。フリーダから離れて行くベニー。ビョルンから離れていくアグネタ……。ああ,何かかれらの実生活みたい。

  3. テイク・ア・チャンス[Take a Chance on Me]
     イレイジャーもまねをしたプロモフィルムです。赤い横じまのセーターのアグネタ。黒いセーターに青い細いしまのスカーフのフリーダ。2人が恋をしようよと誘っているのに,いすに座ったままのビョルンとベニー。でも,結局,ベニーはフリーダの後を追いかけて行きます。

  4. ママ・ミア[Mamma Mia]
     いやー,若い! フリーダもアグネタも,まだ子どもだあ。ビョルンなんかほんとに幼い顔してる。口のアップシーンは,手前左側がアグネタで正面奥がフリーダだ,なんてことはマニアじゃなければわからない?

  5. レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー[Lay All Your Love on Me]
     シングルカットされた曲ではないので,イレイジャーのカバーヒットの後,ありあわせで作った映像という感じです。モノクロ写真何枚かに続いて,「テイク・ア・チャンス」などのプロモフィルムの継ぎはぎ。というわけで,歌と口パクが合っているシーンがまったくありません。フリーダとベニーがふざけ合っているシーンは,「サマー・ナイト・シティー」のプロモフィルムからです。ストックホルム?の町並みが映っていて,好きでした。

  6. スーパー・トゥルーパー[Super Trouper]
     曲と同名のアルバムのジャケット写真と同じようなシーン。アバの4人がサーカス団のメンバーに囲まれています。周りではいろんな芸をやっていて,火吹き男なんかもいますね。アグネタは歌詞に合わせて人差し指を高く掲げて,『サタディ・ナイト・フィーバー』みたい。一方のフリーダは,あみんみたいです。

  7. ザ・ウィナー[The Winner Takes It All]
     また,何枚かのモノクロ写真が映ったあと,赤い服を着たアグネタがアップになり,歌いだします。4人がいっしょに食事をしていて,ビョルン,ベニー,フリーダの3人は楽しそうだけど,アグネタは1人しらけているシーン。4人がいっしょに散歩していて,3人は楽しくおしゃべりしながら歩いているけれど,交互に出てくるのはアグネタが1人で歩いているシーンです。

  8. マネー、マネー、マネー[Money, Money, Money]
     この曲のプロモフィルムも,「テイク・ア・チャンス」と同じくらい,ファンの間ではポピュラー。ドル紙幣やコイン,ネックレスに指輪といったものが映っては,4人の歌う姿。うーむ,あんなオープンカーでドライブしたい。

  9. エス・オー・エス[SOS]
     5年くらい前,こんな天井からのアングルって,随分はやりましたね。この曲は75年のヒットだから,だいぶ前にこのアングルのおもしろさを利用したフロモフィルムを作っていたことになります。「ママ・ミア」ほどではないけど,この曲の4人もけっこう幼い顔しています。

  10. チキチータ[Chiquitita]
     雪山をバックに4人が歌います。すぐ後ろには,グリーンのネクタイをした大きな雪だるまもいます。アグネタがソロのパートでアップになったとき,唇が光っていてセクシー。フリーダがアップになったときは,歌詞をまちがえたりしています。

  11. 悲しきフェルナンド[Fernando]
     星空の下で4人が歌うというシーンは,シングル盤の写真と同じです。ビョルンだけでなく,ベニーもギターを弾いているなんて,珍しいですね。個人的には,このころのフリーダのヘアスタイルが好きだったりします。

  12. ヴーレ・ヴー[Voulez-vous]
     ディスコで大勢が踊る中で歌っています。終わりの方でライトが明滅するシーンがあって,ライトが消える直前の表情がとても印象に残ります。で,ここでのアグネタの笑顔が好きです。

  13. ギミー!ギミー!ギミー![Gimme! Gimme! Gimme! (A Man after Midnight)]
     スタジオでのレコーディング風景をプロモフィルムにしています。でも,ボーカルもオケもいっしょにとるってことはないから,プロモフィルム撮影用にそういう場面を演じたってことかな。ねえ,アグネタ。ポケットに手を突っ込んだまま歌うのはやめてね。

  14. ダズ・ユア・マザー・ノウ[Does Your Mother Know]
     「ヴーレ・ヴー」と同じように,ディスコで歌っています。4人とも乗りまくってて,フリーダなんか“いけいけ”ポーズしちゃってる。ビョルン,アグネタ,フリーダの3人が1本のマイクに顔を寄せ合って歌ってるところなんか,とても楽しそう。

  15. ワン・オブ・アス[One of Us]
     新しい部屋に引っ越してきたところをアグネタが演じています。段ボール箱を運んできて,本を棚に入れ,額縁を壁に掛ける。家具や鉢植えを運んできて,カーテンをつける。壁紙をはって,その上にペンキを塗る。なんか順序が合理的でないようなところもあるけど,まあいいか。

  16. アイ・ハヴ・ア・ドリーム[I Have a Dream]
     このソフトで唯一の口パクでない映像。ビデオ発売されている『アバ・イン・コンサート』にも似たようなシーンがあったけど,もとは同じなのかな。フリーダのソロに続いて,後半には子どもたちのコーラスがつきます。ところで,日本公演のときに歌った子どもたちは,今どうしているのかなあ。

  17. きらめきの序曲[The Name of the Game]
     4人がお茶を飲みながら,テーブルの上のゲームに興じています。「ザ・ウィナー」と違って,みんなほんとに楽しそうです。4人がやっているゲームは,よく見ると"Fia-Spel"って書いてあります。今度捜してみようっと。

  18. サンキュー・フォー・ザ・ミュージック[Thank You for the Music]
     小さなホールでのミニコンサートって雰囲気。ほっぺたの赤いアグネタが印象的です。周りで見ている人たちも,みんないっしょに歌っています。うん,名曲ですね。

  19. 恋のウォータールー[Waterloo]
     4人ともナポレオン時代のかっこうをして歌っています。何か,タカラヅカみたい。ビョルンのギターの形にも注目。

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first publication of this script: November 15, 1992
this page created: September 13, 1997
last updated: March 7, 1999
by MURAKAMI Chifumi