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高血圧症
心臓は全身に血液を送りだしていますが、この血液が動脈に与えている圧力を血圧といいます。心臓が収縮したときの血圧を収縮期血圧とよび、最高血圧・上の血圧などともよばれています。そして心臓が再び収縮しはじめる直前の血圧を拡張期血圧とよび、最低血圧・下の血圧などともよばれています。体には血圧を調節するための様々なしくみがあり、心臓の送り出す血液の量(心拍出量といいます)、動脈の内径、抹消血管の抵抗などの要素によって決まります。
高血圧とは、その原因を問わず動脈内の圧力が異常に高い状態のことです。日本では14~15%の頻度(有病率)ですが、加齢とともに増加し、65歳以上では約50%の人に見られます。
高血圧は、日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH2004)において次のように決められています。
・成人の高血圧の分類
分類 |
収縮期血圧(上の血圧) |
|
拡張期血圧(下の血圧) |
至適血圧 |
<120 |
and |
<80 |
正常血圧 |
120-129 |
and |
80-84 |
正常高値血圧 |
130-139 |
or |
85-89 |
軽症高血圧 |
140-159 |
or |
90-99 |
中等症高血圧 |
160-179 |
or |
100-109 |
重症高血圧 |
≧180 |
or |
≧110 |
収縮期高血圧 |
≧140 |
and |
<90 |
・家庭血圧、24時間自由行動下血圧の高血圧の基準
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家庭血圧 |
≧135/85 mmHg |
24時間自由行動下血圧 |
≧135/80 mmHg |
正常:<125/かつ</80
高血圧では、ほとんどの人に何の症状も見られず、健康診断で発見される場合が多いです。そして普通に生活していくのに必要な血管・心臓・腎臓などの臓器が損傷を受けるまで、何年もの間、特別な症状が現れないことが多いことからサイレントキラー(静かな殺し屋)と呼ばれています。
高血圧ははじめから色々な合併症を引き起こすわけではありません。しかし血圧が高いまま放置しておくと、血管はその圧力により壁が厚くなって弾力性が乏しくなり、血管がやぶれたり、傷つきやすくなります。さらに、傷ついたところから血管の壁にコレステロールが沈着して血管の内腔がせまくなります(動脈硬化)。最終的には血管がつまり、脳卒中や心筋梗塞といった病気の原因となったり心臓肥大をおこしたりします。このような合併症を防ぐには、高血圧の早期発見、早期治療が必要です。
高血圧症はその成因により、はっきりした原因を特定できない本態性高血圧症と原因の明らかな二次性高血圧症に分類されます。
・本態性高血圧症
本態性高血圧症は、原因は明らかではありませんが、遺伝性を示します。高血圧の約90%は本態性高血圧です。
心臓と血管に生じたいくつかの変化が組み合わさって、血圧を上昇させると考えられます。肥満・塩分・喫煙・ストレス・座っている時間の長い生活などが危険因子としてあげられます。生活習慣病の代表的な病気です。
・二次性高血圧症
原因の明らかな高血圧は二次性高血圧症とよばれ、高血圧の10~15%を占めます。その中でも最も多いのが腎血管性高血圧です。腎臓は血圧の調節に重要な器官で、体の中の塩分や水分を調節しています。この腎臓が損傷すると、血液量と血圧が上昇します。高血圧の5%~10%は腎障害が原因です。その他、内分泌障害や経口避妊薬などの特定の薬物の使用が原因でおきる二次性高血圧などがあります。
高血圧症の家族歴をもつ人は積極的に自分の生活習慣を見直し、改善する努力が必要です。また、既に高血圧を発症している方は早期に受診し、他疾患が原因となっている二次性高血圧との鑑別や高血圧症の治療を始めましょう。
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