パワーシート

 81年式から運転席にオプション採用された6ウェイパワーシートだ。前後,上下,チルトの動作が出来る。この年代のアメ車は、どれもシートがリクライニングしない。コルベットも例外ではなく、シートバックは前方には倒れるが、後ろには倒れない。どうやら、車内でレイプが多発したため、レイプ防止でリクライニング機構が禁止になったのが理由のようだ。
 シート自体は小さいものの、セミバケットタイプでホールディングは良い。腰周りのカットも絶妙で疲れも少ないと思う。私は、身長が178cm程だが、平均的アメリカ人体型で設計されているので、ヘッドクリアランスも申し分ない。私のシートの皮は、本皮に見えるが、プリント物の合成皮革製だ。前オーナーが張り替えた物らしい。妙に艶があるのだが、本皮のようにボロボロになることがないので、まあ良しとしている。
 これに座ると、日本車の室内デザインが異常に思えてくるのだ。タイトと狭いは全く別物である。意味もなくダッシュボードは垂れ下がり、膝の前にせり出し、シートを後ろに下げても足を組み替えることさえ困難で、4ドアハードトップの後部座席などはリアウインドウが頭に当たる始末、セダンでもぎりぎりだ。いったい何十年前の日本人の平均体型を使ってデザインしているのだろうか? それとも単にデザイナーがバカなのだろうか? そのデザインを認可するおえらいさんもまたバカなのである。
 安全対策とか言って、ボディ剛性を出すために外側のサイズばかり大きくなり、室内はむしろ狭くなる一方だ。こんな事はデザイン(設計)とは呼べない。ボディ剛性とゆったりした室内を両立してこそ、良いデザインと言うべきだろう。国産メーカーのデザイナーは頭から出直した方が良さそうだ。古いGMのFボディ等から学ぶ点は大いにあると思う。アメ車をバカにしている人も多いが、一度そのゆとりに魅了されてしまうと、ネズミの巣のようなチンケな国産車には乗れなくなってしまうのだ。一度試して欲しい。

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