アメ車の自慢できるところ

 アメ車、とりわけGM車の優れる点を述べよう。それは、私が個人的に思うに今世紀最大の発明だと思っている”トルクコンバータと遊星ギアを組み合わせたAT”である。むろん発明したのはGMである。何と言ってもGMのATは変速の滑らかさに於いてはピカイチである。設計は古いが、その滑らかさは世界一だと思う。さすが老舗だ、唯一アメ車で機械的な部分で自慢できるところだ。
 この滑らかさに対抗できるATはCVTしか考えられないが、ベルトドライブでは350や454エンジンのビッグトルクに絶えられない。トルコン+遊星ギア式ATでもそのようなトルクに絶えられるミッションは残念ながら国産には存在しない。
 国産車にしか乗ったことのない人には、どのくらい滑らかなのか勿論分からないと思う。例えて言えば、GMのATに乗っていて、国産のアイシンやジャトコのATの車に乗ると”まるで下手くそなやつがマニュアル車を運転している”位に変速ショックを感じる。頭がぐらつくほどで、やってられない。こんな物で庶民は満足しているのだ。勿論、高級車と呼ばれる○ラウンや○ーマ等も例外ではない。
 いくら電子制御だとか言っても、所詮変速させているのは油圧による制御だ。油圧でクラッチやブレーキバンドを制御して、プラネタリーギアの入出力を変化させている。電子制御は変速のポイントを制御しているに過ぎない。クラッチの滑らせ具合などは制御できないのだ。この辺りを誤解している人が多い。「俺のATは電子制御だから変速が滑らかだぜ」全くのでたらめである。コピー商品はやはりそれなりの性能でしかない。油圧制御だけで、滑らかに変速する絶妙なポイントが出せないのだ。
 トヨタの”トヨグライド”なるATをご存じだろうか?国産初のATであるが、中身はGMの2速AT”パワーグライド”のパクリである。中身はおろかネーミングまでもパクッている。トヨタはこのトヨグライドを設計するに当たり、名古屋中の外車屋からGMの”パワーグライド”を買いあさったという。当時日本では、ギアの焼き入れの仕方も確立されていないような時代であり、ATの中身など全く未知の世界だったのだ。
 そういったいきさつで発展した国産ATであるから、機械制御による絶妙な変速コントロールは出来ないのだ。最新の電子制御ATでもGMのTH350に比べれば、”絶妙さ”加減は30年いや50年は遅れていると言っても過言ではないだろう。

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