他車との比較 その2
コルベットvsスポーツKカー
コルベットの1/9の排気量を持つスポーツKカーと比較してみよう。
今回戦う相手はマツダのAZ−1というレーシングカートにボディを乗せたような車だ。660ccターボをミッドシップマウントするこの車は、ホンダのビート、スズキのカプチーノと同様の純粋なスポーツKカーとして誕生した。今回も相手が軽自動車と少々無理があるが、ピュアスポーツ同士で比較してみた。(これも、手近な車種を選んだ為なので悪しからず)
第一回戦 寸法・重量
|
コルベット |
AZ−1 |
差 |
全長(mm) |
4706 |
3925 |
+781 |
全幅(mm) |
1753 |
1395 |
+358 |
全高(mm) |
1220 |
1150 |
+70 |
ホイールベース(mm) |
2489 |
2235 |
+254 |
トレッド(前)(mm) |
1491 |
1200 |
+291 |
トレッド(後)(mm) |
1511 |
1195 |
+316 |
最低地上高(mm) |
110 |
120 |
−10 |
車両重量(kg) |
1480 |
720 |
+760 |
相手が軽自動車なので大きさを云々言うまでもないが、写真を見ていただきたい、いかにコルベットがロングノーズであるか分かると思う。写真は両車のノーズ先端を合わせて撮影した物だ。コルベットのドライビングポジションは、軽自動車のリアエンドに来る。つまり、運転席から前に軽自動車一台分の長さがあるのだ。これほどの超ロングノーズは他にはあるまい。
もう1カットは、正面から見た車幅の違いだ。コルベットが左右に15cm近くはみ出している。しかし、この車幅も普通車と比較した場合はむしろ小さい位だ。コルベットのサイドミラーは車体よりはみ出すことがないので、本当の全幅を比較すると軽自動車と同じ位なのだ。
ここで注目すべきは、コルベットの重心の低さである。フードの高さを見て欲しい。軽自動車より車格は大きいものの、そのエンジンはV型OHVを採用することで、低重心化に成功している。ミッドシップレイアウトはマスの集中が出来て回頭性も向上するが、ミッションのやり場に苦慮する。そのため、ミッションの上にエンジンが乗る様なレイアウトになりがちである。結果、マスの集中化は出来ても重心が高くなってしまう。スポーツカーにとって高重心というのは致命的である。過大なロールにより鈍重なハンドリングになりがちだ。
第二回戦 足周り
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コルベット |
AZ−1 |
サスペンション(前) |
ダブルウィッシュボーン |
マクファーソンストラット |
サスペンション(後) |
トレーリングアーム |
マクファーソンストラット |
ショックアブソーバー(前後) |
ド・カルボンタイプ |
テレスコピック |
スタビライザー(前後) |
トーションバー(後ろオプション) |
トーションバー(前のみ) |
ブレーキ(前) |
対向4ポッド・Vディスク |
1ポッド・Vディスク |
ブレーキ(後) |
対向4ポッド・Vディスク |
1ポッド・ソリッドディスク |
タイヤ(前後) |
225/70R15 |
155/65R13 |
ホイール(前後) |
15*8J |
13*5J |
足周りはミレニアとの比較で述べた通りだ。
第三回戦 エンジン
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コルベット |
AZ−1 |
種類 |
水冷V型8気筒OHV16バルブ |
水冷直列3気筒DOHC12バルブ・インタークーラーターボ |
内径*行程(mm) |
101.6*88.4 |
65*66 |
総排気量(cc) |
5733 |
657 |
圧縮比 |
8.2 |
8.3 |
最高出力(ps/rpm) |
190/4200 |
64/6500 |
最大トルク(kg-m/rpm) |
38.7/1600 |
8.7/4000 |
燃料供給装置 |
キャブレター |
電子制御燃料噴射装置 |
燃料及び燃料タンク容量 |
無鉛レギュラー・90 |
無鉛レギュラー・30 |
さすがにこれだけの排気量差があるとその差は歴然となってしまう。しかし、AZ−1はターボのお陰で健闘していると言えるだろう。くどいようだが、コルベットの値はノーマル値である。私のエンジンは推定250ps以上あるのだ。
第四回戦 燃費
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コルベット |
AZ−1 |
市街地 |
4〜5km/L |
10〜12km/L |
高速 |
7〜8km/L |
17〜18km/L |
さて、燃費は1/9の排気量の車との比較だ。表は、一般市街地と高速道路を走って、満タン法によって算出した物である。
コルベットはAZ−1の10倍近い排気量であるにも拘わらず、燃費はAZ−1の約半分と大健闘している。AZ−1はDOHCターボということで、小排気量とはいえ燃費は不利なのだ。小排気量車にDOHCを採用するとカムのフリクションで低速トルクが著しく低下するのだが、ターボチャージャーなる付加装置でそれを補っている。結果、燃費の悪化を招いているのだ。
このように、排気量あたりで考えると決して悪い燃費ではないことが分かる。パフォーマンスを考えれば全然OKなのだ。
これらの結果はあくまで比較であり、客観的にわかりやすく示したものである。燃費の善し悪しを競っているわけではない。複雑な多項式を持ち出して、力率を算出するような一般的でない比較はしないが、効率は両者とも殆ど等しいのだ。