中国は世界第3位のエネルギー消費国です。一次エネルギー源の76%が石炭であるため、石炭を燃焼する際に放出される硫黄酸化物は1795万t(1993年)にも達しています(『中国統計年鑑1994』)。
この数字は日本の排出量の約20倍に相当し、世界の総排出量の15%に相当します(表1)。北京、瀋陽、西安、広州、上海などの大都市では硫黄酸化物に関するWHOの基準をすでに超えており、他のいくつかの地方都市においては、衛生から都市が観測できないほど大気汚染は深刻化しています(坂本保、1994)。 経済発展にともない石炭消費はますます増大する傾向にあり、国家環境保護局は、公害防止装置の普及を見込んだ下方推定においても、今世紀末には硫黄酸化物の排出量は2000万tに達すると推定しています(加々美光之、1994)。表2に業種別の排気排出量を示します。
中国諸都市でここ数十年の間に肺ガン死亡率が上昇しています。このことに注目した原因調査が北京市で実施されましたが、1974〜75年の肺ガン死亡率は、1956〜59年の数字に比べて約1.5倍高いことが判明しました。この現象は工場の密集した大気汚染の著しい地域や鉱工業の発達した地域に集中し、なかでもコークス炉労働者の死亡率が高い(氷見康二他、1993)。
表1各国の硫黄酸化物と窒素酸化物排出量
国名 | 硫黄酸化物(万t) | 窒素酸化物(万t) | 年 |
旧ソ連 | 2500 | - | 1989 |
米国 | 2073 | 1876 | 1991 |
中国 | 1795 | 600 | 1993 |
英国 | 357 | 275 | 1991 |
旧西ドイツ | 94 | 261 | 1990 |
旧東ドイツ | 476 | 63 | 1990 |
韓国 | 160 | 88 | 1991 |
日本 | 88 | 130 | 1989 |
表2業種別廃気排出量(1993年)
業種 | 総排出量(億m3) | 二酸化硫黄(千t) | 煤塵(千t) |
鉱業 | 3518 | 464 | 370 |
食品・飲料・タバコ製造業 | 2832 | 561 | 869 |
紡績業 | 1800 | 401 | 225 |
皮革・毛皮製品製造業 | 99 | 20 | 14 |
製紙及び紙製品 | 1731 | 282 | 287 |
印刷業 | 58 | 9 | 5 |
電力・蒸気供給業 | 32264 | 6283 | 4193 |
石油工業 | 1577 | 74 | 31 |
コークス・ガス・石炭製品製造業 | 975 | 102 | 102 |
化学工業 | 7539 | 1090 | 589 |
医薬品製造業 | 688 | 122 | 68 |
化学繊維工業 | 2269 | 113 | 56 |
ゴム製品製造業 | 576 | 79 | 37 |
プラスチック製品製造業 | 288 | 30 | 13 |
建築原材料等製造業 | 13002 | 1275 | 879 |
セメント製造業 | 9105 | 667 | 393 |
鉄鋼及び鉄鋼圧延加工業 | 14021 | 790 | 432 |
非鉄金属及び非鉄金属圧延加工業 | 4271 | 580 | 103 |
金属製品製造業 | 282 | 40 | 34 |
機械・電子・電子機械製品製造業 | 4220 | 411 | 282 |
その他 | 1413 | 197 | 214 |
中国では、大気汚染による被害の定量的な資料はあまり知られていませんが、このような大気汚染の被害例は氷山の一角に過ぎません。専門家によると住民の健康被害はかなり進行していると見られ、公害や環境汚染がらみの紛争が各地で多発し、環境行政部門での調停や裁判所での民事訴訟、あるいは 行政訴訟の件数が増加している事実からもその深刻さを推察できます(包建棟、1994)。
大気汚染の経済損失を推定した研究調査によると、中国の大気汚染による経済損失は年間約120億元で、このうち人的被害は37.64億元、農作物損失は20.23億元、材料や建築物が46.12億元、家事が20億元と見積もられています。また、北京市を対象とした調査では、経済損失は約5億元、その原因は 総浮遊粉塵が60%、硫黄酸化物が20%と結論しています(氷見康二他、1993)。
中国がこのままの状態で工業化を拡大すれば、それに付随する大気汚染は、健康被害や環境破壊をさらに拡大させる恐れがあります。この問題は中国一国に留まらず、酸性雨などに形を買えて日本へ影響をすることは必死です。
硫黄酸化物による汚染主な都市の硫黄酸化物濃度は、体積濃度に換算して30ppb(1ppb=10億分の1)程度で日本の平均の約3倍です(小倉紀雄他、1994)。硫黄酸化物の排出量は、山東省、四川省、山西省、江蘇省、遼寧省の順で高い(表3)。中国主要都市での大気汚染物質の大気中濃度を表4に要約しますが、二酸化硫黄濃度は貴陽、太原、重慶などの都市で高く、 日本の主要都市に比べて25倍程度高い値です。その原因の90%は石炭の燃焼に起因するものと考えられています(Fengqi,Z.,1993)。工場からの排出が大きな割合を占めていますが、民生用石炭の消費も無視することはできません(15.8%(1990年)、(財)日中経済協会、1994)。中国東北部では冬季に暖をとるために、 一般に硫黄分の多い質の悪い石炭を使用しています。そのため、環境中の硫黄酸化物濃度は、冬に高くて夏は低いという顕著な季節運動を示します。南部になるとこの季節変動はそれほどありません。
表3地域別廃気排出量(1993年)
地域 | 総排出量(億m3) | 二酸化硫黄(万t) | 煤塵(万t) | SO2/人口(kg/人) | SO2/面積(kg/ku) |
全国 | 109604 | 1795 | 1416 | 15.1 | 1.9 |
北京 | 3085 | 37 | 26 | 33.3 | 22.0 |
天津 | 1322 | 24 | 17 | 25.9 | 21.2 |
河北 | 7010 | 102 | 69 | 16.1 | 5.4 |
山西 | 5333 | 133 | 84 | 44.2 | 8.5 |
内蒙古 | 4376 | 66 | 74 | 29.6 | 0.6 |
遼寧 | 9645 | 108 | 107 | 26.7 | 7.4 |
吉林 | 4264 | 29 | 69 | 11.4 | 1.6 |
黒龍江 | 5509 | 32 | 128 | 8.8 | 0.7 |
上海 | 4231 | 44 | 19 | 32.6 | 69.8 |
江蘇 | 6703 | 120 | 76 | 17.2 | 69.8 |
浙江 | 3316 | 54 | 29 | 17.2 | 11.7 |
安徽 | 3131 | 44 | 64 | 7.5 | 3.2 |
福建 | 1825 | 18 | 8 | 5.7 | 1.5 |
江西 | 1983 | 34 | 34 | 8.6 | 2.0 |
山東 | 8216 | 228 | 135 | 26.4 | 14.6 |
河南 | 5385 | 52 | 61 | 5.8 | 3.1 |
湖北 | 3971 | 49 | 44 | 8.7 | 2.6 |
湖南 | 3308 | 53 | 28 | 8.4 | 2.5 |
広東 | 6060 | 54 | 26 | 8.2 | 3.0 |
広西 | 2059 | 66 | 34 | 14.9 | 2.8 |
海南 | 182 | 2 | 2 | 2.9 | 0.6 |
四川 | 6563 | 178 | 102 | 16.0 | 3.1 |
貴州 | 2433 | 74 | 35 | 21.7 | 4.2 |
雲南 | 1748 | 32 | 26 | 8.2 | 0.8 |
チベット | 15 | - | - | - | - |
陜西 | 2119 | 67 | 52 | 19.5 | 3.3 |
甘粛 | 2463 | 39 | 21 | 16.6 | 0.9 |
青海 | 462 | 2 | 9 | 4.3 | 0.0 |
寧夏 | 1106 | 24 | 14 | 48.5 | 4.6 |
新彊 | 1782 | 31 | 27 | 19.3 | 0.2 |
表4主な都市の大気汚染物質濃度(1993年)
都市名 | 二酸化硫黄(mg/m3) | 窒素酸化物(mg/m3) | 総浮遊粒子状物質(mg/m3) | 降下煤塵(t/ku/月) |
北京 | 0.117 | 0.102 | 0.340 | 17.71 |
天津 | 0.199 | 0.051 | 0.209 | 14.25 |
太原 | 0.303 | 0.092 | 0.641 | 26.60 |
瀋陽 | 0.131 | 0.076 | 0.398 | 31.88 |
大連 | 0.079 | 0.102 | 0.134 | 23.32 |
鞍山 | 0.125 | 0.084 | 0.340 | 51.08 |
哈爾濱 | 0.029 | 0.098 | 0.345 | 37.38 |
上海 | 0.098 | 0.070 | 0.322 | 13.83 |
杭州 | 0.107 | 0.066 | 0.234 | 12.78 |
武漢 | 0.040 | 0.056 | 0.264 | 16.91 |
南京 | 0.073 | 0.050 | 0.241 | 14.19 |
貴陽 | 0.463 | 0.052 | 0.392 | 17.32 |
広州 | 0.060 | 0.107 | 0.297 | 9.87 |
成都 | 0.075 | 0.065 | 0.372 | 12.35 |
重慶 | 0.351 | 0.065 | 0.351 | 17.81 |
窒素酸化物による汚染
環境中の窒素酸化物濃度は全国平均で20ppb(1ppb=10億分の1)以上であり、日本に比べてかなり高い値です(小倉紀雄、1994)。北京や上海などでは自動車交通量の増大のため道路沿線で高い濃度が記録されています。窒素酸化物の起源は、原料中の窒素というよりむしろ高温燃焼に よる空気中の窒素が酸化されることによるもので、現象的には日本と大差ありません。
大連市の国有の大手化学工場では硝酸を生産していますが、設備が古いことや昔のままの化学反応を用いているために工程から漏れる窒素酸化物の量が多く、大気汚染の原因となっています。
総浮遊粒子状物質及び降下煤塵による汚染
中国では、粒径が100ミクロン以下のものを総浮遊粒子状物質(TSP)、10ミクロン以下のものを浮遊状粒子と定義しています。一方、日本では10ミクロン以下の粒子状物質を浮遊粒子状物質(SPM)と定義しています。従って、両者の値を直接比較することはできませんが、一般にTSPはSPMより高い 値を示すことに注意する必要があります。
総浮遊粒子状物質は、全国的に高い値(0.387mg/m3,1990年)を示しますが、一般に北部(0.475mg/m3)は南部(0.268mg/m3)より高く、総浮遊粒子状物質には石炭の煤塵だけに限らず季節風による砂塵などが影響します。煤塵の寄与率は冬季で60%、夏季で40%程度と推測されます(小倉紀雄,1994)。
降下煤塵とは空中から地上に落ちてくる粉塵全てを指します。本溪製鉄所(遼寧省)や武漢製鉄所(湖北省)周辺では、1973年にそれぞれ900t/ku/月、551t/ku/月という大きな観測値がありました(氷見康二他、1993)。ちなみに、日本の観測史上の最高値は、北九州市城山地区のもので、約100t/ku/月です。 なお、降下煤塵も総浮遊粒子状物質同様に砂塵などの影響を強く受けているので、値を比較するときには注意が必要です。しかし、煤塵の70%は石炭燃焼に由来するものといわれています(松村正雄,1994)。
また、家庭から排出される廃棄物に石炭灰があり、収拾・運搬・処分・の管理が不十分であり、道路上に放置されたり、たとえ収拾されたとしても運搬する際に飛散するケースが多々あります。これらは、強風や車両によって巻き上げられ、総浮遊粒子状物質や降下煤塵の数値を上げる原因となっています。
酸性雨問題
通常pH5.6以下の降水を酸性雨と定義しています。中国の酸性雨の多くは秦嶺山脈以南で出現しています。酸度が高く出現率も高い都市は、重慶、貴陽などと湖南省、江西省付近です。南部地区の雨水に含まれるアニオンの80%以上は硫酸イオンが占め、硝酸イオンに対する硫酸イオンの比も高く、 大気中の硫黄酸化物濃度が強く関与しています。一方北部においても大気中の硫黄酸化物濃度は低くはないですが、雨水中にアンモニウムイオンやカルシウムイオンなどのアルカリ成分が多く含まれ、硫酸イオンなどの酸成分がこれらにより中和されるためpHはそれほど低くありません。 北部の土壌はアルカリ性で、雨水は土壌粉塵の影響を受けて逆にアルカリ性を示す場合もあります。
酸性雨の生成過程についても地域による違いがあります。西南地域ではウォッシュアウト(大気汚染物質が雲を形成する水滴に取り込まれ、降雨とともに地表に落ちる現象)であるのに対し、華南地域ではウォッシュアウトとレインアウト(降雨によって大気中の汚染物質が洗浄される現象)の両方であると考えられています(全浩、1991)。
中国の石炭は地域により差はありますが、一般に硫黄含有率が高い上、褐炭や泥炭も利用しています。そのため硫黄酸化物と粉塵の汚染が著しいのが現状です
中国におけるSO2、NOx、総浮遊粒子状物質(TSP)、降下煤塵の全国、北方、南方地域の濃度範囲及び平均値を表5に示します。表6に83〜87年の都市における大気汚染の変動状態を示します。汚染は、南方地域より北方地域のほうがひどく、また大都市よりも中小都市において、汚染の進行が速く、また冬季及び朝晩に汚染がひどくなります。
二酸化硫黄の年平均濃度は、南方で0.099mg/m3、北方で0.089mg/m3、平均0.094mg/m3で1級環境基準値0.02mg/m3をはるかに越えていますが、2級基準には合格しています。降下煤塵量と総浮遊粒子状物質は、南北共に基準値を超えています。北方の降下煤塵量は、6年間の平均が38t/ku/月、TSP濃度が0.8mg/m3で、2級環境基準値0.3mg/m3の2.7倍です。 南方の降下煤塵量は同じく約13t/ku/月、TSP濃度は約0.33mg/m3で、わずかに2級基準値を超えて英ます。窒素酸化物は、2級基準値を超えていませんが、濃度は上昇傾向にあります。基準については表7参照。
表5中国の大気汚染質の濃度全国 | 南部 | 北部 | |||||
濃度範囲 | 平均 | 濃度範囲 | 平均 | 濃度範囲 | 平均 | ||
二酸化硫黄(mg/m3) | |||||||
1983 | 0.025-0.324 | 0.094 | 0.028-0.324 | 0.080 | 0.025-0.257 | 0.110 | |
1984 | 0.007-0.363 | 0.092 | 0.012-0.363 | 0.093 | 0.007-0.241 | 0.090 | |
1985 | 0.008-0.504 | 0.105 | 0.008-0.504 | 0.100 | 0.013-0.225 | 0.110 | |
1986 | 0.016-0.434 | 0.106 | 0.024-0.434 | 0.108 | 0.016-0.313 | 0.105 | |
1987 | 0.035-0.434 | 0.117 | 0.035-0.434 | 0.104 | 0.040-0.274 | 0.130 | |
1988 | 0.012-0.435 | 0.094 | 0.034-0.435 | 0.099 | 0.012-0.219 | 0.089 | |
1989 | 0.002-0.374 | - | 0.002-0.372 | 0.120 | 0.008-0.394 | 0.093 | |
窒素酸化物(mg/m3) | |||||||
1983 | 0.009-0.094 | 0.046 | 0.009-0.079 | 0.036 | 0.029-0.094 | 0.055 | |
1984 | 0.010-0.095 | 0.042 | 0.013-0.075 | 0.037 | 0.010-0.095 | 0.046 | |
1985 | 0.013-0.094 | 0.050 | 0.013-0.084 | 0.041 | 0.022-0.094 | 0.059 | |
1986 | 0.014-0.108 | 0.048 | 0.014-0.098 | 0.041 | 0.018-0.108 | 0.055 | |
1987 | 0.017-0.199 | 0.056 | 0.017-0.060 | 0.043 | 0.030-0.199 | 0.069 | |
1988 | 0.009-0.110 | 0.045 | 0.009-0.110 | 0.042 | 0.008-0.120 | 0.089 | |
1989 | 0.010-0.140 | - | 0.010-0.133 | 0.043 | 0.012-0.140 | 0.051 | |
総浮遊粒子状物質(mg/m3) | |||||||
1983 | 0.164-1.358 | 0.60 | 0.164-0.541 | 0.330 | 0.427-1.358 | 0.870 | |
1984 | 0.190-2.158 | 0.66 | 0.190-1.030 | 0.450 | 0.370-2.158 | 0.870 | |
1985 | 0.224-1.767 | 0.59 | 0.224-0.821 | 0.444 | 0.333-1.767 | 0.740 | |
1986 | 0.196-1.575 | 0.57 | 0.219-0.627 | 0.319 | 0.196-1.575 | 0.715 | |
1987 | 0.154-1.357 | 0.59 | 0.154-0.573 | 0.370 | 0.439-1.357 | 0.805 | |
1988 | 0.220-1.597 | 0.58 | 0.220-0.740 | 0.440 | 0.270-1.597 | 0.674 | |
1989 | 0.117-1.043 | 0.43 | 0.141-0.916 | 0.318 | 0.117-1.043 | 0.526 | |
降下煤塵(t/ku/月) | |||||||
1983 | 5.10-113.90 | 32.00 | 5.10-29.70 | 16.00 | 19.90-113.9 | 48.00 | |
1984 | 4.48-87.61 | 27.20 | 4.48-43.14 | 16.10 | 15.30-87.61 | 38.00 | |
1985 | 7.53-76.50 | 27.65 | 7.53-43.69 | 16.50 | 16.04-76.50 | 38.81 | |
1986 | 5.96-68.57 | 25.02 | 5.96-29.45 | 13.22 | 14.82-68.57 | 32.58 | |
1987 | 7.53-73.97 | 24.41 | 7.53-26.13 | 14.00 | 14.27-73.97 | 32.79 | |
1988 | 7.04-131.25 | 25.00 | 7.04-69.00 | 13.50 | 9.90-131.25 | 35.00 | |
1989 | 3.77-61.92 | - | 3.77-61.92 | - | 6.78-54.61 | - |
表6 1983年から1988年における大気汚染変化の傾向
年 | 測定都市数 | 好転(%) | 悪化(%) | 無変化(%) | |
総浮遊粒子状物質(TSP) | |||||
1983 | 31 | 11.93 | 9.68 | 48.39 | |
1984 | 28 | 17.9 | 14.3 | 67.8 | |
1985 | 48 | 20.8 | 14.6 | 64.6 | |
1986 | 550 | 21.5 | 6.9 | 71.6 | |
1987 | 45 | 2.22 | 11.11 | 86.07 | |
1988 | 47 | 17.02 | 12.77 | 70.21 | |
二酸化硫黄 | |||||
1983 | 36 | 16.67 | 5.55 | 77.78 | |
1984 | 36 | 16.67 | 5.55 | 77.78 | |
1985 | 32 | 3.1 | 9.4 | 87.5 | |
1986 | 58 | 1.7 | 12.1 | 86.2 | |
1987 | 58 | 3.57 | 1.79 | 94.64 | |
1988 | 48 | 4.17 | 4.17 | 91.66 | |
窒素酸化物 | |||||
1983 | 35 | 14.43 | 8.57 | 80.0 | |
1984 | 33 | 3.0 | 6.1 | 90.9 | |
1985 | 57 | 3.5 | 12.3 | 84.2 | |
1986 | 58 | 1.7 | 10.3 | 87.9 | |
1987 | 55 | 7.27 | 3.64 | 89.09 | |
1988 | 48 | 10.42 | 4.17 | 85.41 | |
降下煤塵 | |||||
1983 | 33 | 15.15 | 6.06 | 78.79 | |
1984 | 29 | 3.4 | 3.4 | 93.1 | |
1985 | 48 | 10.4 | 2.1 | 87.5 | |
1986 | 48 | 8.0 | 0.00 | 92.0 | |
1987 | 43 | 2.33 | 2.33 | 95.34 | |
1988 | 46 | 2.17 | 2.17 | 95.06 |
少し古いですが、1989年における中国のSO2の総排出量は1565万tでした。その内石炭の燃焼により生じるSO2排出量は総排出量の90%以上を占めています。中国の各省、市における二酸化硫黄の排出量を表8に示します。
表7 大気汚染物質の環境基準(GB3095-82)汚染物質 | 測定時間 | 第一級基準 | 第二級基準 | 第三級基準 | 日本での基準 |
総浮遊粒子状物質 | |||||
日平均 | 0.15 | 0.3 | 0.5 | 1時間値の1日平均が0.10mg/m3以下かつ1時間値が0.20mg/m3以下 | |
任何一次 | 0.3 | 1 | 1.5 | ||
浮遊状粒子 | |||||
日平均 | 1.05 | 0.15 | 0.25 | ||
任何一次 | 0.15 | 0.5 | 0.7 | ||
二酸化硫黄 | |||||
年日平均 | 0.02 | 0.06 | 0.1 | 1時間値の1日平均が0.04ppm以下かつ1時間値が0.1が0.1ppm以下 | |
日平均 | 0.05 | 0.15 | 0.25 | ||
任何一次 | 0.15 | 0.5 | 0.7 | ||
窒素酸化物 | |||||
日平均 | 0.05 | 0.1 | 0.15 | 1時間値の1日平均が0.04〜0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下 | |
任何一次 | 0.1 | 0.15 | 0.3 | ||
一酸化炭素 | |||||
日平均 | 4 | 4 | 6 | 1時間値の1日平均が10ppm以下かつ1時間値の8時間平均値が20ppm以下 | |
任何一次 | 10 | 10 | 20 | ||
光化学オキシダント(O3) | 1時間平均 | 0.12 | 0.16 | 0.26 | 1時間平均値0.06がppm以下 |
備考 | 長時間曝露で自然、人体に影響を及ぼさない基準 | 長期短期の曝露で人体及び都市農村の動植物に影響を及ぼさない基準 | 急性慢性中毒を生じない、都市の動植物が成長できる基準 |
日平均 :いかなる日においても、測定値の日平均濃度が越えてはならない限界値。
任何一次 :いかなる一回の測定値も越えてはならない限界値。ただし、一回の測定 時間は汚染物質により異なるので、関連規定を参照のこと。
年日平均 :いかなる年においても、測定値の日平均濃度が越えてはならない限界値。
表8 中国各地の二酸化硫黄排出量(単位:万t/年)地区 | 1985年 | 1988年 | 1989年 |
全国総計 | 1303 | 1523 | 1565 |
北京 | 31 | 17 | 34 |
天津 | 22 | 34 | 24 |
河北 | 63 | 93 | 90 |
山西 | 47 | 80 | 97 |
内蒙古 | 38 | 51 | 49 |
遼寧 | 92 | 96 | 105 |
吉林 | 24 | 24 | 28 |
黒龍江 | 26 | 31 | 32 |
上海 | 34 | 40 | 39 |
江蘇 | 76 | 104 | 102 |
浙江 | 41 | 42 | 47 |
安徽 | 32 | 33 | 41 |
福建 | 10 | 14 | 13 |
江西 | 36 | 31 | 32 |
山東 | 160 | 191 | 189 |
河南 | 38 | 52 | 68 |
湖北 | 56 | 64 | 62 |
湖南 | 67 | 51 | 58 |
広東 | 29 | 38 | 42 |
広西 | 36 | 50 | 59 |
四川 | 157 | 149 | 150 |
貴州 | 45 | 83 | 54 |
雲南 | 28 | 28 | 23 |
チベット | - | 1 | - |
陜西 | 59 | 61 | 62 |
甘粛 | 32 | 33 | 35 |
青海 | 3 | 3 | 3 |
寧夏 | 8 | 15 | 11 |
新彊 | 13 | 12 | 15 |
海南 | - | 2 | 1 |
資料:『中国統計年鑑1990』
中国では、新しい環境保護法の規定の下に、中央及び地方の各環境保護局より年に1回公報が報告されることになりました。1989年(古い)の環境状況を示した公報が1990年に第1報として報告されました。この中のいくつかの省及び都市における大気質の年平均濃度を表9に示します。
表9 中国の都市大気質濃度省 | 都市 | 二酸化硫黄(mg/m3) | 窒素酸化物(mg/m3) | TSP(mg/m3) | 一酸化炭素(mg/m3) | 降下煤塵(t/ku/月) |
天津 | 0.13 | 0.05 | 0.36 | 3.33 | 18.23 | |
山西省 | 太原 | 0.409 | 0.068 | 0.783 | - | - |
大同 | 0.258 | 0.044 | 0.566 | - | - | |
陽泉 | 0.145 | 0.043 | 0.6 | - | - | |
長治 | 0.037 | 0.05 | 0.42 | - | - | |
晋城 | 0.045 | 0.04 | 0.448 | - | - | |
臨汾 | 0.356 | 0.048 | 0.828 | - | - | |
運城 | 0.098 | 0.02 | 0.286 | - | - | |
忻州 | 0.371 | 0.055 | 0.817 | - | - | |
楡次 | 0.298 | 0.036 | 0.513 | - | - | |
離石 | 0.08 | 0.036 | 0.526 | - | - | |
朔州 | 0.057 | 0.045 | 0.756 | - | - | |
遼寧省 | 瀋陽 | 0.146 | 0.06 | 0.46 | 1.92 | 41.2 |
大連 | 0.054 | 0.065 | 0.4 | 2.62 | 23.7 | |
黒龍江省 | 哈爾濱 | 0.045 | 0.061 | 0.45 | 3.76 | - |
チチハル | 0.024 | - | 0.4 | - | - | |
鶏西 | 0.037 | - | 0.53 | - | - | |
鶴崗 | 0.011 | - | 0.44 | - | - | |
双鴨山 | 0.071 | - | - | - | - | |
大慶 | 0.008 | - | 0.12 | - | - | |
伊春 | 0.018 | - | 0.31 | - | - | |
桂木斯 | 0.025 | - | 0.35 | - | - | |
匕舌河 | 0.07 | - | 0.5 | - | - | |
牡丹江 | 0.062 | - | 0.79 | - | - | |
安徽省 | 合肥 | 0.05 | 0.06 | 0.24 | - | 10.29 |
淮南 | 0.02 | 0.004 | 0.33 | - | 17.32 | |
淮北 | 0.02 | 0.03 | 0.55 | - | 12.85 | |
蚌埠 | 0.02 | 0.05 | 0.24 | - | - | |
安慶 | 0.03 | 0.03 | 0.16 | - | 12.93 | |
葵湖 | 0.03 | 0.05 | 0.26 | - | 25.64 | |
銅陵 | 0.09 | 0.03 | 0.28 | - | - | |
馬鞍山 | 0.01 | 0.04 | 0.52 | - | - | |
浙江省 | 杭州 | 0.097 | - | 0.25 | - | - |
寧波 | 0.03 | - | 0.152 | - | - | |
温州 | 0.051 | - | 0.28 | - | - | |
嘉興 | 0.049 | - | 0.35 | - | - | |
湖州 | 0.071 | - | 0.338 | - | - | |
紹興 | 0.037 | - | 0.169 | - | - | |
金華 | 0.053 | - | 0.199 | - | - | |
湖北省 | 衛州 | 0.05 | - | 0.779 | - | - |
舟山 | 0.019 | - | 0.151 | - | - | |
武漢 | 0.048 | - | 0.32 | - | - | |
黄石 | 0.121 | - | 0.29 | - | - | |
襄はん | 0.042 | - | 0.358 | - | - | |
沙市 | 0.088 | - | 0.37 | - | - | |
宜昌 | 0.246 | - | 0.13 | - | - | |
十堰 | 0.017 | - | 0.48 | - | - | |
剄門 | 0.016 | - | 0.484 | - | - | |
貴州省 | 顎州 | 0.089 | - | 0.423 | - | - |
南京 | 0.083 | - | 0.627 | - | - | |
貴陽 | 0.33 | 0.029 | 0.385 | - | 21.9 | |
広東省 | 広州 | 0.1 | 0.133 | 0.277 | 2.328 | 10.04 |
深せん | 0.02 | 0.06 | 0.2 | - | - | |
珠海 | 0.02 | 0.04 | 0.19 | - | 11.75 | |
甘粛省 | 蘭州 | 0.467 | 0.182 | 0.71 | - | - |
白銀 | 0.262 | 0.034 | 0.35 | - | - | |
天水 | 0.059 | 0.07 | 0.73 | - | - | |
金昌 | 0.459 | 0.049 | 0.49 | - | - | |
嘉峪関 | 0.026 | 0.02 | 0.29 | - | - | |
寧夏回族自治区 | 銀川 | 0.019 | 0.025 | 0.372 | - | - |
呈忠 | 0.019 | 0.045 | 0.556 | - | - | |
青銅峡 | 0.056 | 0.018 | 0.621 | - | - | |
石咀山 | 0.192 | 0.027 | 0.185 | - | - | |
四川省 | 成都(1988) | 0.07 | 0.05 | 0.42 | - | - |
SO2排出量(万t) | 総排出量の順位 | kuあたり平均SO2排出量(t) | kuあたり平均SO2排出量の順位 | |
山東 | 204 | 1 | 13.31 | 4 |
四川 | 189 | 2 | 3.33 | 10 |
江蘇 | 149 | 3 | 14.33 | |
遼寧 | 107 | 4 | 7.13 | 5 |
河北 | 88 | 5 | 4.63 | 6 |
山西 | 65 | 6 | 4.14 | 7 |
貴州 | 64 | 7 | 3.68 | 9 |
陜西 | 62 | 8 | 3.18 | 11 |
内蒙古 | 58 | 9 | 0.48 | 27 |
広西 | 56 | 10 | 2.37 | 17 |
湖南 | 52 | 11 | 2.48 | 16 |
河南 | 52 | 12 | 3.11 | 12 |
上海 | 48 | 13 | >16 | 1 |
広東 | 48 | 14 | 2.58 | 14 |
湖北 | 48 | 15 | 2.57 | 15 |
浙江 | 42 | 16 | 4.13 | 8 |
安徽 | 38 | 17 | 2.73 | 13 |
北京 | 37 | 18 | 2.2 | 18 |
甘粛 | 34 | 19 | 0.75 | 23 |
江西 | 33 | 20 | 1.98 | 19 |
黒龍江 | 29 | 21 | 0.62 | 24 |
吉林 | 25 | 22 | 1.33 | 21 |
雲南 | 23 | 23 | 0.58 | 26 |
新彊 | 22 | 24 | 0.13 | 28 |
天津 | 18 | 25 | 1.59 | 2 |
福建 | 16 | 26 | 1.32 | 22 |
寧夏 | 12 | 27 | 1.81 | 20 |
青海 | 2 | 28 | 0.03 | 29 |
海南 | 2 | 29 | 0.59 | 25 |