Subject:[china-e:43] はじめまして Date:Fri, 5 Nov 1999 02:58:32 +0900 This is a multi-part message in MIME format. ---------------------------------------------------------------- 今回はじめて投稿させて頂きます。九州大学農学部の一学生です。今後よろしくお願 いします。今までにどんな話しが為されたのか分かりませんが今までに自分が学んだ り考えたりした事を少し書いてみます。 <環境問題> 農学と言う立場から環境・食糧問題を考える時畜産と言うのは大きなキーワードだと 思います。今日日本でもそうですが家畜の糞尿問題と言うのは大きな問題となってま す。それでは具体的に書きます。 化学肥料依存型耕種農業の規模拡大に伴い,農地に還元されない家畜糞尿が増えてい ます。化学肥料依存型耕種農業は,短期では収量を上げますが長期的には土壌を痩せ させます。更にそこに連作が重なると問題はより深刻です。土壌の微生物層が単一に なり連作障害も発生しやすくなります。そこで,家畜糞尿などの有機肥料を適度に与 えると,即効性は無いものの持続的な肥料としての効果がみられると伴に微生物層も 複雑となり,連作障害も起こりにくくなるそうです。只やりすぎは,かえって土壌の 窒素負荷を増し地下水の硝酸塩汚染などにつながります。また処理されずに廃棄物と 化した糞尿は,悪臭問題・水質汚染・・・と様々な問題を起こします。悪臭問題は局 地的な問題であると考えられがちですが実は広域的な問題をも内包しています。糞尿 から放出されたアンモニアは大気に揮散しやがて土壌に還元されると微生物により硝 酸塩に変化し酸性雨と同様の効果を示します。糞尿を局地的に放置するとその濃度も 高くなるのではないでしょうか。だだ酸性雨の要因としては工業に比べるとまだまだ 小さく,悪臭の最大の問題点は糞尿の肥料化堆肥化を困難にしている点にあると思い ますが・・・。中国など広大な土地があり将来的には複合経営が成り立ち難い所で は,広域的な耕種農家と畜産農家のつながりのようなものの構築に多大な必要性があ ると思います。 <食糧問題> 中国などの人口が増え,経済状態が良くなると世界的な食糧問題が起こる。その言葉 を盲信して農学部を選んだような気がします。ただ今では,それは一つの可能性に過 ぎないと思います。 そうはじめに思い出したのは「なぜ世界の半分が飢えるのか・食糧危機の構造」(朝 日選書・スーザン・ジョージ)を読んだ時です。それを読んだときに食糧危機は将来 の問題ではなく,今の問題だと再確認し,金さえあればその国には食糧危機は関係無 いような気がしました。(反論を覚悟での極論) 次にそう思ったのは大学の農政経済学科で行われた講演を聞いた時です。演題は「世 界の食料・環境問題の現状と展望」演者は国際農林水産業研究センター海外情報部長 です。そこで2つの意見が紹介されました。 ●レスターブラウンの警告:「飢餓の世紀」(94)     食料供給限界の到来−6つの制約? 増収技術の枯渇,新漁場・放牧地の消減、灌漑供給の不足,肥料の限界生産力の 低下,耕地の減少,人口爆発と環境破壊   毎年9千人が増加−地球は人類をどこまで養える? ●ミッチェル(世界銀行)の見解:「世界食料見通し」(97)  今後20年,世界は現在の2倍の人口を養える。 供給は十分で価格は低下,食生活は豊かに続く技術革新と反収増加,人口増加率 の低下 講演はミッチェルよりのものでした。でも十分に説得力のあるもので僕もミッチェル よりになりました。WTOに基づく生産調整のことを考えればそうなるのでは? .