衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会  平成14年11月28日

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○宮腰光寛委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 最後に、ピースボートの件についてお伺いをいたしたいと思います。
 ことし八月に、ピースボート、非政府組織、NGOでありますが、国後島に総勢約五百三十人をビザなしで上陸させました。今回の上陸は、これはロシア・サハリン州政府の許可を得て日本固有の領土に入国をするという形で行われたものでありまして、ロシア側の管轄権を認めることで日本の領土主権を著しく侵害するということはもちろんでありますが、当然のこととして北方領土返還交渉にも影響を与える行為となるわけであります。仮に、国際司法裁判所で領土問題が争われた場合、ピースボートの件が既成事実として証拠採用されるということになれば、日本にとりまして非常に不利になるのではないかと懸念をいたしております。
 今回のサハリン・フォーラムで日本側の参加者はこの問題を大きく取り上げました。しかし、ロシア側の主張は、外国船は四十八時間以内なら領海内に踏みとどまることができること、八時間以内なら上陸が認められることなど、専ら船舶法を盾に不法ではないと主張したと聞いております。
 この問題は、当然のこととして船舶法とは無関係の領土問題でありまして、政府間の枠組み以外の民間外交なるものは認められない地域であります。国後島の現地の新聞におきましても、ピースボート参加者の心ない行為を批判する記事が出ていたというふうにお聞きをしておりますけれども、サハリン州政府の許可を得て北方領土に上陸する行為を放置することがないよう、法的措置も含めて再発防止を図る必要があると考えております。
 このことにつきまして、外務省のお考えを伺っておきたいと思います。

○齋藤泰雄政府参考人(外務省欧州局長) 我が国国民が、ロシア連邦の出入国手続に従うことを初めとして、ロシア連邦の不法占拠のもとにあります北方四島へ入域することは、北方四島があたかもロシアの領土であるかのごとく入域することになりますために、北方領土に対する我が国の法的立場を害するおそれがあると考えております。このような考え方に立ちまして、政府は、平成元年九月十九日の閣議了解によりまして、国民各位に対しまして、北方領土問題の解決までの間、このような入域を行わないよう自粛を要請しているところでございます。
 本件につきましても、政府としてピースボートに対しましてたび重なる説得を行ってまいりましたが、それにもかかわらず、八月にピースボートが北方四島への入域を強行したことはまことに遺憾でございます。その旨の外務報道官談話を発出したところでございますし、ピースボートに対しましても政府の立場を詳細に説明してきたわけでございます。
 政府としては、今後とも我が国の法的立場を確保するべく再発防止に努めていく考えでございます。


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