「危ないからよせ」

沢道から対岸にヨセ沢が滝となって落ちているのが見える。気にはしつつもこの日まで降りて見ようとは思わなかったのはなぜだろう。

明治36年、この辺りの山林の地主であった津布久伝五郎は、地元の人々が「危ないからよせ」と言うのに耳を貸さず、伐採状況を視察するため沢に入った。そして、この出合いに懸かる滝の少し上の滑付近から転落して亡くなったそうである。以来その場所を「伝五郎落し」、沢を「ヨセ沢」と称するようになったと古い資料にある。

まったくの偶然だが、藤村操が華厳の滝へ身を投じたのもこの年である。


赤平川水系尾の内沢 ヨセ沢出合(埼玉県両神村)
Canon EOS 620
Canon EF28-80mm F2.8-4.0L USM
F16, 8sec. (-0.5EV補正)
Ektachrome E100SW

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