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 Diary 2000-1 

 
Taeniophyllum aphyllum クモラン Jul.19.2000

 これも葉を持たない無葉ランですが、腐生ではなく根の葉緑素で光合成するタイプです。 毎年、成長点から数本の根を重ねて行き、こぶのように盛り上がってきます。その様は、ヘビの髪をもつメデューサといった風情でしょうか。
 梅などの枝の下側にくっついていることが多く、太陽の直射は好まないようです。普段は目立たない緑の花ですが、朝日がさして黄色に輝きました。実付は100%ではないですがまずまずで、虫に媒介されているのでしょうか。1-2mm程度の微細な花なので、アリやカなどが来るのでしょうか。

Jul.29 Rev.4.19


 
Goodyera biflora ベニシュスラン Jul.16.2000

 今年はてっきり咲かないと思っていました。裏山で毎年見守っている株ですが、1月ほど前にはつぼみもありませんでした。それどころか、そのとき再発見するまで枯れたものと思っていました。数年前の大雪で、1月ぐらい雪の下敷きになったままになり、その後株が見られなかったからです。
 北上しつつある前線上の孤立株と考えられますが、それまでは毎年3花つけていました。しかし周りに他の個体がないせいか、実はなりませんでした。草丈に対して異常に大きな花を付けるので消耗が激しく、いつかは枯れてしまうのではといつも心配しています。 時々こうした孤立株を見かけるのですが、何をきっかけに広がって行くのか、興味あるところです。

Jul.27 Rev.4.18


 
Galeola septentrionalis ツチアケビ Jul.16.2000

  また腐生(菌寄生)ランの、ツチアケビです。上の実の写真のように花より実の方がインパクトが強いようで、こんな名前がついています。たしかに、真っ赤なプルルンとした実が土から伸びた茎にたわわになっているのを見ると、なにか異様に思えます。しかし花にしても存在感があり、つぼみやリップのビロード感が最高です。匂いは感じないのですが、色で昆虫を呼ぶタイプなのでしょうか。
 ナラタケと共生していることが知られ、人口培養の研究も進んでいるようです。自然界では、切り株の周囲などで発生し、何年か連続して出てきます。いくつかの場所を押さえておいたのですが、株が分解され尽くされたのかだんだん生えなくなってきました。この場所も今年は2株だけでした。

Jul.25 Rev.4.17


 
Ponerorchis graminifolia ウチョウラン Jul.15.2000

 双眼鏡越しではよく見るのですが、手の届くところで見るのははじめてです。当たりをつけていた山ですが、行ってみると意外にも道端に咲いていました。やはり石灰岩質の開けてはいるが乾きすぎない斜面です。先月中旬に低地で見たのに対し、山の上では約一月遅れです。
 背景を写しこもうと広角レンズで狙っていると、目の前を黄色い影がよぎりました。写真で花の右側にぼやけて写っていますが、ヒラタアブが、ホバリングしながら訪花するところです。別の花にも少し色の違うやつがやってきました。匂いは感じないのですが、彼らは色で見ているのでしょうか。虫の感じる光の波長で独特の模様を持っていそうな花です。
 よく虫の訪花に出会うのですが、ストロボをたかないので、なかなか止められません。昆虫撮影もマスターすべきかなと思うこの頃です。

Jul.21 Rev.4.16


 
Cymbidium macrorhizon マヤラン Jul.11.2000

 この季節、菌寄生ランが続きます。写真では笹の間に生えているのであって、このマヤランの葉ではありません。花からしてシンビ(シュンランの仲間)とわかりますが、同じ属でも菌寄生するものがあるということで、進化の過程に興味がわきます。
 梅雨の後半咲き始め、真夏中休みして、秋雨のころまた出てきます。 そしてずるずると12月ごろまで咲いていることもあります。水気と温度がちょうどよくて、菌類の元気がよいころ出てくるような気がします。
 もともと照葉樹林下にあるものですが、公園などの保護林下で大量に出たり、神社の裏に出たり、谷津田の脇に出たり、わりと身近なところでも見られます。

Jul.19 Rev.4.15


 
Epipogium roseum タシロラン Jul.10.2000

  何か白い不気味なものがニョキニョキ生えています。普通の人が見たらどう思うのでしょうか。キノコのようだが、形がゼンゼン違うし・・・・・ ギンリョウソウを探しているがこれがそうかと聞かれたこともあります。名前がわからないと認識されないものなのでしょう。これはタシロラン、菌寄生する葉を持たないランの1つです。
  木材腐朽菌と縁が深いらしく、このように剪定材捨て場に大発生することもよくあります。ここではイタチタケなど数種のキノコが生えていました。花は白に赤の斑が入りよく見ると綺麗です。咲いた先からすぐ種子化し、先の花が咲くころには下では種子を散布しています。自家受粉がどうか問われるところですが、訪花はあるようです。ハアリやハエ、そして待ちうけるザトウムシを見かけます。そして、10日あまりで地上からは姿を消してしまいます。

Jul.16 Rev.4.14


 
Epipactis helleborine アオスズラン Jul.09.2000

 随分青いですが、アオスズランのせいではありません。ピーカンの日陰のため、色温度が高すぎるのです。
  割と高い山の草原や林床に生えるのですが、なぜか裏山で見つけました。よく似た変種にハマカキランがありますが、これは名前のとおり、海岸線の防風林下に生えます。これらの地理的分離はどう説明されるのでしょうか。この株のように、低山で栄えた時代があったのでしょうか。
 花は、唇弁の中が黒く濡れているように見え、いかにも何かを分泌しているようです。でも匂いませんでしたが。花弁には淡いピンクのふちどりも見られます。口紅とアイシャドウといったところでしょうか。

Jul.14 Rev.4.13


 
Spiranthes sinensis ネジバナ Jul.02.2000

 ランの花は、本来唇弁が上なのに、なぜか子房がねじれて下になっているものが多いのです。ところで最もありふれたランであるネジバナは、その子房のねじれを花径に巻きつけながら、 美しい螺旋花序を描いています。右巻き、左巻き、粗いの、密なの様々ですが、元の子房のねじれ方が様々ということになります。他の花でもそうなのでしょうか。
 ネジバナをこうしてアップで、しかも逆光気味で見ると、花の粒子がキラキラ輝いてとても美しく、捨てたものではありません。最も身近な野生ランウォッチングです。
  別名モジズリといい、万葉集かなにかで・・・しのぶもじずり云々・・・と歌われているのがこの花と聞いたような。どなたかご存知ありませんか。

Jul.12 Rev.4.12


 
Yoania amagiensis キバナノショウキラン Jul.01.2000

 菌寄生ランが続きます。梅雨の季節、低山ではめっきり花が少なくなりますが、暗くてじめじめした林床、光合成をしない腐生植物が姿を現します。菌類の活動も活発になり、菌類の食べ物である枯れた木材があると、腐生ランも爆発的に発生することがあります。ここは競争も少なく、有利な適応といえるでしょう。 
 岩と苔むした切り株の間からキバナノショウキランの小さな株が出ていました。食べごろ過ぎた切り株ですが、細々と食いつないでいるようです。花は、すぐにキノコムシやゾウムシに食われていたみやすいのですが、幸いまだ綺麗です。強い独特に匂いがあり、姿が見えなくても匂いで気付くこともあります。先週ピンクのショウキラン(Yoania japonica)を見ましたが、匂いは似通っているようです。

Jul.10 Rev.4.11


 
Cremastra aphylla モイワラン Jun.25.2000

  もう一回モイワランについてです。我々調査隊が観察中も、写真のようにクサカゲロウやカメムシが訪花していました。案内の方の話では、ハナアブ類も目撃されているようです。結実率からしても訪花による受粉とみられています。私以外の調査隊員は、かすかな甘い香りを感じました。日ごろ香りを嗅ぎ回っている私としては悔しい限りですが、サイハイランのくさい匂いがないことだけはわかりました。
 しかし、香りにもましてこの深い紫色は格別です。こんな紫の花ってあったでしょうか。花径からしてこの色素にあふれています。この色だけでなく、花序、花形、明らかにサイハイランとは異なります。
 モイワラン、虫達、菌類、そして森、微妙な関係の輪が広がっています。ここに住むマタギはすばらしい観察眼で自然を読みぬきます。彼らならこの輪をどう読むでしょうか。

Jul.08 Rev.4.10


 
Cremastra aphylla モイワラン Jun.25.2000

  やはり違う、モイワランを初めて見たときの印象です。サイハイランの菌寄生版と考えられていましたが、遊川博士によって正式に新種登録されました。
 この地方は山菜取りが盛んで、この季節タモギタケのシーズンです。 この収穫を促すため、木を立ち枯らすそうですが、決まってその木の周囲に出てくるそうです。タモギタケがこの菌寄生ランを養っているのではと考えられ、研究に期待がかかります。
 数年前、テレビなどで再認知されてから、各地で発見の報告がなされています。今でもこんな不思議なランが見つかるなんて日本も捨てたものではないですね。でも自生地は大事に見守っていきたいものです。

Jul.05 Rev.4.09


 
Ponerorchis graminifolia ウチョウラン Jun.22.2000

 いまさら、命がけで登って採取する人もいないでしょう。栽培法や品種の進展が山採りを陳腐化させ、自生品の回復が期待されます。
 湿度を保ちつも明るく開けた石灰岩の切り立った崖、そこがウチョウランの好きな住処です。今年もここは見事な群落を見せてくれました。シノブ、イワヒバ、ギボウシ、セッコクもついています。さわやかな風が止まった時を待ってシャッタを切りました。
 昨日も別の石灰岩地帯で、ウチョウランを見かけました。双眼鏡の世界なので通り過ぎる人はだれも気付きません。増殖してくれることを期待しましょう。

Jul.03 Rev.4.08


 
Epipactis thunbergii カキラン Jun.18.2000

 久々に美形の登場です。里山の谷津田の土手に残っていたカキランです。小さい花ですが、アップで見ると、唇弁の赤紫の斑紋がとても鮮やかです。でも残念ながら匂いは感じられません。
  梅雨の時期、田んぼは水が張られて稲も根付き、土手を彩るマムシソウやアザミなどには、アゲハチョウやカノコガがとまっています。ギボウシもつぼみが上がってきています。それらに混じって、ポツリポツリとしかありませんが、しっとりと濡れて咲く様子は、とても風情があります。

Jul.01 Rev.4.07


 
Oberonia japonica ヨウラクラン Jun.17.2000

 なにか平衡感覚を混乱させてしまいそうですが、木にぶら下がってくっついているヨウラクランを下から見上げたものです。ぶら下がるのは、水分補給に有利なのでしょうか。まとまった雨の場合、木を滴る水が葉や花の房に水滴となって溜まります。でも少しの雨では、逆に木がかさになって濡れられません。
  着生する植物では、起き上がるもの、這い回るもの、このようにぶら下がるものがあります。生理的に違うところがあるのでしょうか。確かヨウラクランは、下になる穂の先から咲いていたような。
 小さく地味な花ですが、穂を逆光でみると、ねこじゃらしのように輝き、なかなかいけてます。

Jun.29 Rev.4.06


 
Lecanorchis japonica ムヨウラン Jun.17.2000

 再度ムヨウランです。いい株に出会ったので。
 花径が9本、1本は倒れていましたが、よく開く花を多数付けており、ちょうどよいタイミングでした。開く花では香りが強く、うっとりとさせられました。花径が長い分だけゆれやすく、写真をゲットするのに、風のおさまるのを辛抱強く待たざるを得ませんでした。でも風って、大地の呼吸というか、周期的に収まるものです。

Jun.27 Rev.4.05


 
Lecanorchis japonica ムヨウラン Jun.16.2000

 ムヨウランの全身黄色な個体に出くわしました。上のガのとまっている写真のように、もともと色素として、黄色や紫、褐色などをもっていますが、見事に鮮やかな黄色に全身輝いていました。 数日通って見ましたが、残念ながらあまり花は開きませんでした。以前には、紫が強く出た個体を見たこともあります。
  このように、ムヨウランは花の色にバリエーションがあり、個体によっては開いて芳香を放つものもあり、菌寄生ランのスターになり得るのではと期待しています。今度はどんなやつに出会えるか楽しみです。

Jun.23 Rev.4.04


 
Dendrobium moniliforme セッコク Jun.7.2000

 連続してセッコクの登場となります。今年も高尾山見事に咲きました。これを見に多くの人がやってきます。しかし、こころない業者が縄付き石で採集した跡が生々しく残っています。それを避けるフレーミングに苦労します。
 この季節の早朝、オオルリがさえずる中、まだすずしい山道をたどると、露に濡れた草からガ達が驚いて舞いあがります。なんだか導かれているようでもあり、祝福されているようでもあり、この不思議な感覚が私はとても好きです。

Jun.19 Rev.4.03


 
Dendrobium moniliforme セッコク Jun.4.2000

 岸壁のセッコクを撮影していたとき、数秒のレリーズの後ミラーアップを戻すと1400mmのファインダー像に黄色い大きな影が動きました。なんとオオスズメバチがセッコクを訪花していたのです。 残念ながら、写真には撮れていませんでした。オーバーハングの下には大きな巣があります。
 テレコンをはずし、セッコクとハチの巣両方が入るアングルで撮影しました。セッコクの草姿に対し、巣の大きさがわかりますね。オオスズメバチは里でも飛び始めています。くわばらくわばら。

Jun.17 Rev.4.02


 
Lecanorchis kikusiana var. suginoana
 エンシュウムヨウラン Jun.3.2000

 菌寄生(腐生)ランは、時に爆発的に発生することがあります。今回始めてこのエンシュウムヨウランを見に行きましたが、群生とは言えませんが散発的に何百株といえず生えていました。自然観察地として有名なとこなところの道端にあるのですが、地味なせいか誰も見向きもせず、通りすぎて行きます。写真のように花は開かないものが多いのですが、中にはよく開いてリップの毛を見せてくれる個体もあります。
 昨年の果実の跡が黒い残骸として残るのがこの属の特徴で、冬の間にあらかじめ探しておくことができます。

Jun.15 Rev.4.01


 
Calypso bulbosa ホテイラン Jun.2.2000

 昨年は行くのが早過ぎて見逃したホテイランですが、今年はばっちりタイミングが合いました。1年おくと株は遷移していますが、まだ多くの株が見られ安心しました。微かな香りも確認でき、色の変化も楽しむことができました。写真のようにほとんど色の抜けた個体もいくつか見られました。
 このサイトの名前CalypsoLipは、このホテイランの唇弁にちなみました。 綺麗でいてなにか少し不気味な大きなリップですが、それこそ妖精の唇のように不思議なおしゃべりを始めるかも知れません。

Jun.10 Rev.4.00


 
Cremastra appendiculata サイハイラン May.31.2000

  ランの花がイモムシに食われるのはよく目にしますが、葉はあまり食われません。葉には防御物質が含まれるのに対し、花は虫を呼ぶためにあり無防備なのでしょうか。
 サイハイランは、花色のピンクに変異もあり、楚々として綺麗だと思いますが、あまり人気がありませんでした。匂いがあまりよいとはいえず、それがきついせいもあったのでしょう。でも私には、このごろそれも心地よく思えて来ました。ここにきてこの花も盗掘が目立ってきました。

Jun.8 Rev.3.04


 
Liparis lilifolia スズムシソウ May.28.2000

  スズムシソウとはよくぞ名付けたものといつも思います。しかし、花期にスズムシはいません。いかにも虫を連想させる形をしており、その訪花昆虫が気にかかるところですが、いまだにお目にかかっていません。勝手に物語を連想してしまいそうですが、あまりこの花にマッチした虫が来るとは限りません。
 日本の落葉性リパリスは、ジガバチソウをはじめ、いかにもという形をしていて楽しいものです。ジガバチソウでは蛾がリップにぶら下がっていたのを見たことがありますが、特に似た形とはいえませんでした。

Jun.6 Rev.3.03


 
Calanthe discolor エビネ May.20.2000

 小雨の中、友人達とエビネを見に行きました。いつも見ている株で、見つけた年は日当たりが悪かったのか咲かなかったのが、傍の杉が大雪で倒れてから日当たりがよくなり俄然元気が出てきました。次の年8本、昨年14本、今年は19本花径が来ました。今までこの株では香りを感じなかったのですが、今年はかすかに甘く香りました。今年は日照が悪かったせいか、1週遅れで花の色もやや薄めです。
 エビネはどうも常緑樹の傘が必要なようで、杉とは相性がよいようです。里山の谷津田周囲には杉が植えてあることが多く、そこに残っている場合があります。近年、山は放置され茂りすぎていたのですが、大雪や台風で木が間引きされ、日照が回復してエビネも元気を取り戻している場合があるようです。また倒木が放置されているため、人が入りずらくなったもの幸いしています。

Jun.4 Rev.3.02


 
Thrixspermum japonicum カヤラン May.13.2000

 新緑も山間まで進み、木々の見通しも悪くなります。覚えていた枝にカヤランを探します。民家の庭木や観光地でも結構ぶら下がっていますが、見通しが悪いせいか誰も気付きません。結構かわいいのですが。
 花と同時期に種子が散り始めています。同じ時期、同じく着生種のベニカヤラン、モミランの種子も散り初めていました。保存機能のないランの種子では、菌の活動期を待って種子を散らしているのでしょうか。

May.28 Rev.3.01


 
Cephalanthera falcata キンラン May.2.2000

 新緑も色濃く、スプリング・エフェメラル達の季節は終わり、ランがひそやかに咲きはじめます。今年も出会いに期待して裏山を歩きます。夏鳥がさえずり、虫たちも飛び始めました。光の回るところでは、キンランが輝いています。光があたらないと花が開かず、開いてきたころには風が出てくるため、カメラマン泣かせの花です。今年は香りも確認でき、虫たちの訪花もいくつか目にすることができました。

May.21 Rev.3.00


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