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WHAT'S KIRIE?  
切り絵って何?
   


 私がここで紹介している作品を作り出す技法は「切り絵」と呼ばれています。トップページでもごらんいただいた右の文字も「切り絵」として作っています。黒い紙を、ペンカッターで切り抜いていき、意図的にすべてが細切れにならないように、つながった状態で残るようにデザインしています。またカッターを用いて切り取ることで、自然と端々が尖ったようになり、滑らかな輪郭線は白色との境目を明確に表現しているのも特徴といえます。

 「きりえ/切り絵」という名称は1970年代に滝平二郎氏が朝日新聞日曜版紙上で始められたきりえの連作が評判になったことから担当記者によって付けられたとのことです。それ以前にも「きりえ」と呼べる画法による作品はあったらしいのですが、滝平氏によってようやく画の1ジャンルとしての市民権を得たようです。古来の中国には「剪紙」という民芸品があります。非常に薄い紙を幾重にも重ねた上から「切り絵」と同様に絵を切りぬいていくものですが、切る題材が中国的なもの、風景や人、動物など限られているようですが、「切り絵」のルーツとも言えるでしょう。

 「切り絵」を楽しむ愛好者が増えた現在では、「剪画」と呼ばれたり、刀の勢いをもつ画ということで「刀勢画」とも呼ばれることもあります。しかしそれらいずれの画においても最も大きな魅力、特徴は、カッターによって作り出されたその黒い線、あるいは面によって作品の根幹が形作られているところにあります。筆やインクによって描かれた線ではなく、またパソコン上に描かれたデータでもなく、リアルな刀で紙を切って作りだされた、まさに1度しかないやり直しの効かない技法です。刀で刻んだ軌跡で構成されるがゆえにある意味不自然な画の構成をしていますが、それが逆に見るものに対して強いインパクトが主張できます。
 黒い紙を刃先で切り進め、刻まれたシンプルですが鋭利な線、その航跡によって生みだされた何もない空間に、浮き立たせる白い背景紙の対比、この明暗究極の対照的なタッグがもたらす美しさ、この2者のバランスこそ切り絵の真髄です。