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鬼の花見 


No.0038  2007年7月製作(W300 ×H550 mm) 

 城と桜の組み合わせが絵になることに今まで気が付かなかった。満開の時期に初めて松江城tに登城して見て気付いた。なんと美しいんだろうか。日本的美において最高の取り合わせのひとつかもしれない。

 絵の構想の発端は3月末、ひさびさに登城して天守閣周りをぐるりと歩きながら天守閣を撮っていた。天守の全景ばかりではつまらないから、ズームを使って鬼瓦でも撮ろうと寄ってみた。するとたまたま偶然アングルの端に、鬼瓦に向かって枝を伸ばしている桜花が1本入ってきた。鬼瓦の顔の近くに向かっていたその開花前の蕾を持つ枝を、鬼瓦はまるで開花を待ち望んでいるようにも見えた。あの厳めしい表情をした鬼瓦が花を楽しむんだろうか?いや、これは意外な取り合わせかもしれない・・・・とシャッターを押した。
 
 後日、あの枝はどうなったか確かめようと、満開の時期に再度登城して、前回と同じアングルでカメラを向けた。鬼瓦は満開の桜を眼下に満足そうな表情・・・・・・・に見えた。鬼は他の仲間と一緒に年に一度の光景を楽しんでいるようだ。鬼の目にも桜。
鬼瓦が桜の花見を楽しんでいるような作品を作りたくなった。


 着色はすべてアクリル水彩。白台紙に黒紙をそのまま貼り付け、切り抜いた穴に絵筆で直接色付けを行った。初めての方法。それぞれの穴単位で着色するので適度に滲んで味が出るような。仕上げに金色を歯ブラシに含ませて指で弾いて金粉をふりまく。桜から花粉と香りが鬼瓦に向かって流れるような空気を出したいがため。鬼瓦が花粉症になるだろうか?