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姫路の 



No.0036   2006年10月製作 (W310 ×H430 mm)   

 鯱鉾(シャチホコ)は頭が虎、胴体が魚の想像上の動物。城郭には織田信長の安土城天守に使用されたのが記録に残る最初らしい。今回切ったのは、世界遺産の姫路城とその鯱鉾。

 鯱鉾がなぜ天守に使用されるのかと言えば、水にちなんで火除けの意味があるらしいが、勇猛な概観から好まれたのも大きな理由だろう。姫路城が築城以来四百年もの長き間、幾多の天災や戦災から今日まで無事に生き延びてこれたのには、この鯱の霊験が他の城のそれに比して特に優れていたからだろうか。

 姫路城の鯱はもちろん今も天守の頂に鎮座し、市街地をその眼下におさめている。数年前、姫路城を始めて訪れた時に、城郭域のまわりをグルリと歩いて様々な角度から天守を眺めていると、城域の東南部、国道2号線沿いに鯱のレプリカが1匹(?)鎮座しているのを偶然見つけた。おそらく実物大なのではなかろうか。鯱の側面に立つと、頭部と、そった尾びれの間ぐらいの位置にちょうど姫路城の大天守が遠望できた。見事にハマった取り合わせの光景に、感心しつつ、いつか絵にしてみたいと思っていた。

 鯱は実際よりもややオーバーに反り返らせ、天守を包むようにデッサンして切った。
着色は鯱の体色を水彩で塗り、その上から硬質感を出すためにボカシ網に白色をにじませ、ブラシで吹きつけてみた。波と城の背景の空も同様に塗る。波飛沫を表現したくて、ボカシ網ににじませた白色をブラシで今度はたたきつけて、大き目の粒子を置いてみた。姫路城の壁色は下地の紙の白色そのまま。

 鯱にはいつまでも白鷺のように美しい城を守り抜いてほしいものである。