The Doors
明暗の極をいく歴史的な名曲が収録

THE DOORS
 ドアーズ1967年の衝撃のデビュー作と言われる。ファーストアルバムが名盤でかつ代表作になった最初のバンドじゃないだろうか。「LIGHT MY FIRE」、「THE END」などドアーズの明暗の極をいく歴史的な名曲が収録されている。ジム・モリスンの存在感は圧倒的だがレイ・マンザレクのキーボードがドアーズサウンドの重要なイメージを形作っていることを忘れてはならない。そしてギターのロビー・クリーガーの才能も素晴らしい。映画「the doors」で「LIGHT MY FIRE」の出来上がるシーンを再現しているが作曲はこの人だったのだ。
(19970724)




STRANGE DAYS
 同じく1967年作品。このアルバムまではレコーディングまでに手持ちの曲があったらしい。それを録音していったのでドアーズ本来の魅力がそのまま出ている。次作からは少しコマーシャルになっていくので本作が前期ドアーズの完結編だ。ドアーズサウンドに飽きが来ないのはサウンドの多彩性じゃないだろうか。ビートルズの様にストリングスを入れたりゲストミュージシャンがいる訳でもなく全て4人で録音してるのに曲によってイメージが異なるのは楽器の音色にバリエーションを持たせているからだろう。これで「LIGHT MY FIRE」のようなポップな曲があればいうことないんだが。
(19970724)


太陽をまちながら
 ドアーズは「ジ・エンド」での近親相姦や「名もなき兵士」のようなベトナム戦争にはまった社会の病巣をえぐるようなシリアスな曲を演る一方で、本作収録の「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」や「ラヴ・ストリート」のようなラヴ・ポップとしか言いようのない曲も演奏できた。これが彼らの人気のひとつだと思う。
 個人的な思い出だけど、1991年に映画「the doors」が公開された時、ドアーズを知らない女の子をその映画に誘った。その誘いの電話口の後ろから聞こえるように流したのが「ラヴ・ストリート」だった。この娘曰く、“今聞こえてるのが、ドアーズの曲なの?”と反応があった。曲調からポップなイメージの映画だと思ったんだろうね、ふたつ返事でOKの返事。でも実際に映画を見たあとはちょっと辛そうでした。かなりキワドイシーンもあったりして・・・。彼女と映画を見たのはそれが最初で最後でした。Sちゃん、ごめんな(笑)。
(20000923)



L.A.WOMAN
 ドアーズ、最後の到達点となった1971年のラストアルバム。サポート・ギターとベースも加えてくっきりとしたサウンドワークはそれまでのドアーズサウンドとは違う、70年代型のサウンド感覚を感じさせる。疾走感あふれる「L.A.WOMAN」や、ジャズ調の「ライダーズ・オン・ザ・ストーム」は最後の傑作と言えるだろう。
 このアルバム完成後、ジムは詩の創作のためパリに発った。バンドを脱退したとも、再び帰ってきてレコーディングするつもりだったとも伝えられている。しかし1971年7月3日、ジム・モリソンはパリで人生を終えた。彼がこれから何をしようとしていたのか、いまや誰にもわからない。
(20000923)




the doors
 映画「the doors」のサウンドトラック。映画中ではバル・キルマーが吹き替えで歌っていたけどサントラでは正真正銘本物のジム・モリスンのボーカルだ。選曲もオリジナルアルバムからと、死後発表された「AN AMERICAN PRAYER」まで含めたベスト盤といってもいい。僕のドアーズはこのアルバムから始まったので思い出深い。
 映画と同じく最初は「THE MOVIE」というジムの語りの曲で始まる。それが終わって「RIDERS ON THE STORM」につながる時の静けさがたまらなく好きだ。
(19970724)



「AN AMERICAN PRAYER」
 ジム・モリソンが死んで7年後に発売された作品。残されたモリソンの朗読テープに合わせて、残されたメンバーがバックをつけることで曲として完成させたもので、ドアーズのオリジナル作品とは言いきる事はできません。が、しかし、7年のときを経ているはずの両者の間には全くといっていいほど“ずれ”が感じられません。モリソンが存命であれば、ラストアルバム「LA・ウーマン」の次に発売されていたとしても不思議ではないとすら感じられるほど、ドアーズの曲として違和感は感じません。とつとつと自らを語るモリソン、それに離れずついていくレイ・マンザレク、ロビー・クリーガー、そしてジョン・デンスモア。このアルバムでも見事に彼等は「ドアーズ」です。モリスンは自らをロッカーでなく詩人としてみてほしかったそうです。その意味ではこのような形のアルバムこそモリソンが作るべき作品だったかもしれません。
(19990710)




ビデオ 


「DANCE ON FIRE」
 ドアーズの演奏シーンを集めたビデオソフト。活動当時につくられた“本物のプロモフィルム”は「プレーク・オン・スルー」の1本だけながらも、あとはエド・サリバン・ショウなどTV出演時のライブ演奏、ドキュメントタリーとして撮った「フィースト・オブ・フレンズ」映像の編集ものから「ジ・エンド」、それからレイ・マンザレクが新しく作った「LAウーマン」のプロモ的フィルムなど見所はつきない。モリソンと同時代に活躍したボーカリストは数いれど、ヴィジュアル的に彼ほど時の経過にも全く色あせしないボーカリストはいない。太ろうが痩せてようが黒を基調にしたあの詩を語るボーカルスタイル・・・・・ミック・ジャガーよりも、ロッド・スチュワートよりも・・・・、と個人的には思います。
(20000922)
「DOORS ARE OPEN」
 ドアーズが1968年の9月に渡英した時の映像を中心した映像で当時TV放映されました。ロンドンのラウンド・ハウスでのライブ映像がメインですが時折当時のニュース映像突然割り入ってきます(これがこのビデオの隠し味噌)。
 一見、ライブ映像を中断されて邪魔なような気もしますが、ライヴとニュースが交じり合うことで逆に、ドアーズが活躍した60年代末のアメリカ、イギリスの緊迫した社会状況を現代から見るものに自然に理解でき、彼らの演奏にもリアリティ度が増すというものです。“「音楽は周囲で起こる事を必ず反映するんだ」、「僕経ちの音楽は象徴性をもって現実に触れる」”。ロンドンでのインタヴューに彼らはこう語り、番組のオンエアを見たジムは満足したらしい。
(20000922)