■ セイラムの風〜From Etsuko #023--Race for the Cure
セイラムの風 目次
9月18日(日)、友人二人とポートランドに行ってきました。この日開催された”Race for the Cure”に参加するためです。早朝6時過ぎに我が家を出発、車で1時間、ポートランド・ダウンタウンに着きました。会場に近い所に駐車できるようにと早めに出発したのですが、既になく、会場から歩いて10分位の街角にやっと停めることができました。日曜日はパーキング・メーターのある所でも、無料で路上駐車できます。

スタート地点
スタート地点。会場になった公園の前の道路に並んで、スタート合図を待つ。あちこちで楽しそうなおしゃべりが聞こえて賑やか。風船のアーチをくぐるとダウンタウンに入る。
スタート、ゴール地点は、ウィラメット川に沿ったウォーター・フロント・パーク ”Tom McCall Waterfront Park”、広い公園に会場が作られ、スポンサーのテントが幾つも並び、ここに大勢の参加者が集まります。

”Race for the Cure”、これは乳癌の撲滅を願って、皆で一緒に1マイル、また、5kmを、歩き、走ろうという大会で、「The Susan G. Komen Breast Cancer Foundation」(スーザン・G・コーメン乳癌財団)が主催しています。全米107都市で開催、約100万人の人たちが参加して、毎年行われていますが、ポートランドで行われるこの大会は西海岸で一番規模が大きく、サンフランシスコ、ロスアンジェルス、シアトルなどの大都会をはるかに凌ぎます。それだけに乳癌に対する意識が強いのでしょう。アメリカ全土で毎年、21万人が乳癌と診断され、4万人が亡くなります。オレゴンでは男女合わせて週に約60人が乳癌と診断されています。

ゼッケンと配布品の一部
ゼッケンと配布品の一部。ゼッケンには裏に住所、氏名、電話番号、家庭医の電話番号などを書き、救急の場合の対応が出来るようになっている。
第14回目のこの日の参加者は4万5千人、広い会場いっぱいに熱気があふれていました。女性がほとんどのようですが、男性も子供も、犬もいっしょになって歩きました。

約一月前の8月15日から参加申し込みが始まりました。郵便、インターネットなどを使って、申し込みやすいようになっています。私たちは、セイラム・ダウン・タウンにあり、この大会のスポンサーの一つでもある、ノードストロームというデパートで申し込み、ゼッケンを貰いました。Donation(寄付)は大人25ドル、子供(6〜12歳)10ドル、子供(5歳以下)無料、当日申し込みは、大人35ドル、となっていて、参加者は当日会場で、ゼッケンの番号と引き換えに、Tシャツと、ピンクリボンのピン・バッジをもらいます。また、”Sleep in for the Cure”といって、25ドルのDonationだけして、当日参加しない人たちもいます。この人たちには後日、Tシャツとピン・バッジが郵送されます。

レース風景
ダウンタウンの中を、思い思いに自分のペースで歩く。曇り空で少し肌寒かったので、長袖や、上着を着ている人が多かった。
朝6:30分、登録開始、レースは同じコースをいくつかに分けて行われます。
7:30AMCo-ed 5k run
8:00AM1-mile co-ed walk
Row for the Cure(ウィラメット川をボートで)
8:30AMWomen's 5k run
9:00AMWomen's 5k walk
9:30AMCo-ed 5k walk

この後、会場では11時まで、バンド演奏などのいろんな催しや表彰式があります。友達は5k run、 私は5k walkの参加でしたので、スタートまで少し時間があり、その間、スポンサーのテントを廻り、無料で提供されている品物を貰いました。ミネラル・ウオーター、豆乳、ヨーグルト、パンや、バンドエイド、ジュースなどのサンプルなどなど、バンダナは記念のTシャツと一緒に身につけました。

会場は乳がん撲滅のシンボルのピンクリボン、テーマカラーのピンクで華やかでした。私は一個2ドルをドネーションし、ピンクのブレスレットを求めました。(これにはスポンサーであるスーパーマーケットの1ドルのクーポンが付いていました)。これはツール・ド・フランスで7連覇したランス・アームストロング(彼も癌と戦い勝ったのです)が設立した、癌撲滅基金のシンボルとして有名な、黄色の”LiveSTRONG”のブレスレットと同じ、シンプルなデザインです。このブレスレットには、リボンのマークと共に、Strength(強さ)、Hope(希望)、Courage(勇気)という文字が入っています。人々がこの病気に、勇気と希望をもって強く立ち向かっていくことを願って。

レース風景
亡くなった人を偲んで、その人の写真付きのTシャツを作り、着て歩くグループ。このようなグループも多い。
貰った品物を配布された可愛いバックパックに入れ、荷物預け所に預け、いよいよスタートです。30分毎とはいえ、こんなに大勢の人が一斉に出発するのですから大変です。横断幕と風船のアーチに飾られたスタート地点はわいわい、がやがや、ピンクの物を身につけた女性でとても賑やかです。もちろん男性もいますが。自分たちのシンボルとして作った同じTシャツを着たり、旗や風船を持った人たち、ピンクの髪、服、靴で全身ピンクずくめの友達同士、亡くなった人、闘病中の人の名を書いたピンクのゼッケンを付けた家族や友人、亡くなった人の写真を印刷したTシャツを着た人たち、などなど、個人はもちろんグループ参加も多く、和気藹々と明るく、楽しそうでした。乳母車に赤ちゃんを乗せて参加の人も結構いて、歩くのはいいのですが、押しながらずっと走る人もいてびっくりしました。病気といま闘っている人はピンクの帽子をかぶっています。

私の参加した5k Walkは一番人が多く、ずいぶん長い列になります。通行止めになったダウンタウンの街並みは、あまり上り下りがなくて歩きやすく、開店前のお店や、レンガの建物などを眺めながらゆっくり歩きました。途中の街角では女性バンドの木琴の演奏が美しい音色を響かせ、チアリーダーの若々しい応援もあって楽しめます。お水のサービスもあり、コップ一杯のお水を飲んで、また元気いっぱい歩きます。ウィラメット川にかかる大きな橋を渡り、対岸の町を少し歩いて引き返すコース。川には、消防艇がピンクの水を勢いよく放水しながら応援をしていました。ゴール近くでは、闘病中の参加者に渡す、ピンクの薔薇を持ったボランティアの人達が迎えてくれました。
乳癌と闘うという、同じ目的を持った多くの人々と一緒に歩いたことは、私にとって素晴らしい経験の一日となりました。充実した達成感をじっくり味わいながら、先にゴールしていた友達と共に帰宅の途につきました。

”オレゴニアン”の第一面
翌日の地元紙”オレゴニアン”の第一面。レースの雰囲気がよく出ている。
あくる日の新聞”The Oregonian”の第一面トップに、このレースの大きな写真と、記事が載っていました。最近、乳癌と診断された人、現在、治療を受けている人、また完治して感謝の気持ちとともに参加した人などの話とともに。

今年、アメリカで最も権威のある医学賞「ラスカー賞」が乳癌患者支援団体を創設したナンシー・ブリンカーさんに与えられる、と発表されました。同賞公共部門での受賞です。1982年、ブリンカーさんは、乳癌のため36歳で亡くなった姉の名を冠した「スーザン・G・コーメン乳癌財団」を創設しました。乳がんの早期発見の大切さを知り、知識を持ってもらい、患者を支援します。また、研究費援助なども行い、そして、患者さんも参加する、5kmマラソン、ウォーク(今回、私が参加した)「Race for the Cure」などの独自の催しを展開しています。

ピンクリボンは乳癌の早期発見、早期診断、早期治療の大切さを知り、また、この病気を克服していく人たちを助け合うことを目的に、1991年、アメリカの二人の女性によって考案されました。最近、このピンクリボンをシンボルとして、乳癌に対するさまざまな運動が、欧米を中心に盛んに行われているようです。日本でも東京タワーがピンクにライトアップされたりして、活動の輪が広がっているようです。

女性だけでなく、男性にもある乳癌、もちろんこれだけではないのですが、病気で悲しい思いをする人が無くなる日が、一日も早く来ることを願っています。

2005/09/06-from etsuko
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