■ セイラムの風〜From Etsuko #010--ビーチ・クリーンアップ
セイラムの風 目次
太平洋に面して、美しい海岸が南北約500キロ、ほぼ東京・大阪の距離、に連なるオレゴンは、年2回、ボランティアによる海岸の一斉大掃除を行います。今年の「The Great Oregon Spring Beach Cleanup」は、3月27日に行われました。オレゴン・コーストは日本人にはカリフォルニアほどは知られていませんが、時には荒々しい、時には優しい自然の美しさ、規模の大きさで、一味違った魅力に富んでいます。このかけがえのない自然を大切に残そうという活動で、「SOLV」と言ういわゆるNPO(Not for Profit Organization)の主催です。海岸を14の地域に分け、それぞれにボランティアのビーチ・キャプテンを置き、10時から13時まで一斉に清掃します。

ビーチ・クリーンアップの案内書
ビーチ・クリーンアップの案内書。あなたの助けが必要、連絡の仕方、集まる場所、赤字で何といっても安全が大切、などと書いてある。
主人がこの2月、SOLVの代表者ジャックと2時間ほど話をする機会があり、その話の内容に興味を覚え、私たちと友達二人、日本人とアメリカ人、も参加することにしました。 ポスターやテレビでキャンペーンをしていましたが、それほど大々的ではなく、たぶんオレゴンの人たちの日常に組み込まれているのでしょう。

これから作業開始です
これから作業開始です。岩や流木の陰にごみがあるかもしれません。レストラン「Mo's モッズ」が見えます。
急増する人口、工業化にともない、オレゴンが世界に誇る美しい自然が、そして人の心が荒れてくることに危機感を持った、前の州知事トム・マッコールとビジネスおよびコミュニティー・リーダが1969年、SOLVを創設しました。
創設当初の名前は、「SOLV:Stop Oregon litter and Vandalism」(オレゴンからごみと落書きを無くしよう)でした。その後、活動が軌道に乗り、単にごみ、落書きに限らず、役割を拡大したのに伴い、市民に親しまれている略称をそのまま正式名称にしました。SOLVの使命は、「オレゴンと呼ばれる私達の宝を守るボランティア活動をとおして、優れたコミュニティーを創ろう」です。美しいオレゴンの海岸、川、公園、道路などを綺麗にする活動は、年間8万から9万人のボランティアに支えられ、成功しています。年齢、宗教、人種、性別などに関係なく、一つの目的に楽しく向かっていこうという姿勢です。この活動は、オレゴンが世界最初に始めたもので、その成功を参考にしたいと、今では世界から多くの視察団の訪問があるとのことです。先だっても日本からの視察団の訪問があったばかりだと、ジャックは話していたそうです。

蟹釣りの人々
蟹釣りの人々。餌の鶏肉を籠の中に入れてダンジネスクラブを獲ります。
当日、朝は小雨だったのですが、快方に向かっているとの天気予報でしたので、少し時間を遅らせ、11時頃に現地に着くようアパートを出発しました。セイラムから西に、車で1時間半位のリンカンシテイーの海岸です。天候も回復しつつある中、初めはゆったりと流れるウィラメット川に添い、その先、広大な畑、なだらかな丘や林の、春の芽吹きのやわらかな緑につつまれての快適なドライヴでした。海岸は気温15度位、風もあまりない青空になり、絶好の清掃日和。浜への入り口にはテントが張ってあり、そこが受付、名前を書いて、ごみを入れるビニール袋とビニール手袋を貰い、いよいよ作業開始です。
少し遅くついたためか、ボランテイアの人は少なく、ごみもあまりない様子でしたが、2時間ほど浜を歩いて各自、袋に三分の一ほどのごみを集めことが出来ました。自然に帰らないもの、発泡スチロール、ペットボトル、ビニール袋、タイヤの切れ端、缶、銀紙などなどです。
私達が来た時には、すでに終わった人のごみの入った袋が積み上げてありましたが、思ったより少なく、何時も浜を綺麗に保っているのだと思いました。それだけに、最初に小さなごみを見つけたときは嬉しかったです。美しい海岸は人々の憩いの場、家族連れや釣り人などが大勢楽しんでいました。なんと釣竿の先に大きな鉄籠がつけてあって、オレゴン名産のダンジネス・クラブを釣っているのでした。私たちを見て、「日本から清掃ボランテイアに来たのか?」とビックリして聞く人もいて、知らない人とのふれあいも楽しむことができました。砂は白く細かく、爽やかな海風の中、気持ちよくごみ集めができました。

美しい海
美しい海、帰る頃には入り潮になり、朝は浅瀬だった所にボートが浮かんでいてビックリ。結構干満の差があり、目にはっきり分かる速さで満ちてきました。
ごみ集めの後は、持参したおにぎり、サンドウィッチ、オレンジなど、海岸に張りだしている木製の桟橋のベンチでの昼食です。すぐ近くにある、クラム・チャウダーの美味しいことで有名な、「Mo's」と言うレストランから、大きなカップ入りのものをテイクアウト、これも、とても美味しかったです。夕方のテレビのニュースでは、この日の海岸の清掃の様子と、ビーチ・クリーンアップについてインタビューを受けてる、SOLVの代表者ジャックを放映していました。
翌日少し疲れが残っていたのは、砂の上で足をとられながら、けっこう歩き廻ったからでしょう。さぁこれからボランティアを始めるぞといった感じがなく、普段の生活の自然な一部になっているんだ、と爽やかな印象の残った一日でした。

2004/04/15-from etsuko
セイラムの風 目次
MAILHOME
Copyright cafe etsuko All rights reserved.