■ セイラムの風〜From Etsuko #008--郵便のこと
セイラムの風 目次
今回のテーマは、日ごろ大変お世話になっている郵便です。 郵便を出したり、受け取ったりするだけでも、いろいろ新しい発見があったり、驚きがあったり、文化の違いを感じたりします。

一番近い年代物のポスト
自宅から1ブロック(300m)の所にある一番近い年代物のポスト。白い説明書が貼ってある奥に蓋があり(取っ手が見えます)それを開いて郵便を落とし込みます。
去年の夏、セイラムに住み始め、私たちのこと、こちらの様子などをを知らせようと、私の通っているチェメケタ・コミュニティ・カレッジのブック・ストアで絵葉書と切手を買いました。ちょっと驚いたのですが、ブック・ストア(Book Store)と言っても日本で言う本屋さんではなく、本売り場の面積は半分以下で、学用品、日用品、衣料品、コンピュータ用品など学生が必要ないろいろな品を売っています。夫が昨年夏に通学していたオレゴン・ステート大学、今、通っているウイラメット大学でも同じですので、これが普通なのでしょう。学校にある大型のコンビニとでも言えます。
さて、自宅で書き終えて、ポストは?海外旅行の時も、手紙を出しましたが、ホテルのポストあるいはフロントに出したので、今回のように外でポストを探すのは初めてです。ポストは赤色という先入観があって、色で探したけれどなかなか見つかりません。しばらくして「United States Postal Service」のマークの付いた青い箱を見つけ、これがポストでした。形も日本と違い、高さ1メートル位の縦長の四角の箱で、口はひとつ、上に付いている蓋を開けて、落としこむようになっています。国によって、ポストはいろんな違いがあるものと(もちろんポストだけではないのですが)思い込みのまずさを痛感しました。

集合メール・ボックスの表側
私たちの集合メール・ボックスの表側。郵便屋さんは、こちらから大きな扉を開けて、個人用の小さな仕切りのメール・ボックスに車に乗ったままで郵便を入れます。左の二つが郵便用、右の大きな上下の二つが小包用です。上のボックスには、鍵がありません。小包が来ていて、鍵はその人のメール・ボックスに入れてあるのです。
郵便受けもさまざまで、この辺りの一戸建では日本の様に、直接家の中に落とし込むもの、郵便受けが壁についているものなどが多く、郵便屋さんは各戸ごと郵便を入れます。私たちのアパートの郵便受けは集合型の金属製の箱です。住人は鍵で自分のメールボックスを開けるようになっていて、アパートに入居の時、家の鍵と一緒に、メールボックスの鍵をもらいます。この鍵の付いた共同郵便受けは、8軒分と12軒分をそれぞれ一枚の金属板でカバーしている表側の扉の鍵を郵便屋さんが鍵で開け、車に乗ったまま内部の各戸に分かれたメールボックスに、手紙を入れます。受け取る人は、裏側にある各戸用の小さなボックスの扉の鍵を開けて手紙を受け取ります。
良く考えてあるなと思うのは、誤配達返却用に一つボックスが設けられていることです。また、その横に小包用の大きなボックスもあり、配達用と受取用の鍵穴が二つあります。送られてきた小包があると、郵便屋さんはそこに荷物を入れて鍵をかけ、その鍵を受け取り人のメールボックスに入れます。受け取る側は、その鍵を見て荷物が来ている事を知り、荷物用のボックスの鍵を開け小包を受け取ります。そして、鍵を元のように扉に付けておきます。これで扉は郵便屋さんの鍵がないと開かなくなります。年明けには、小包用の箱が開かず困りました。郵便屋さんに聞くと、鍵穴が凍り付いているので、鍵穴にお湯をかけて開けなさいとのことで、やっと小包を受け取ることができました。マイナス9度の雪の世界と言うより氷の世界になる大寒波は、セイラムでは大変珍しいことの様ですが、日本でも、特に北海道などはこれ以上だろうと、冬の厳しい中での郵便配達の大変さを実感しました。

集合メール・ボックスの裏側
集合メール・ボックスの裏側。ここのボックスには、それぞれ個人用の鍵がありそれで開けます。左上のボックスが誤配信の返却用です。
また1メートル位の高さのポールの上の、かまぼこ型の郵便受けが家の前の道際に立っているのも多くあります。いろいろな色や飾りが付いたものもあり、いかにもアメリカ的に感じます。郊外の広い畑や牧場地帯に行くと、家は見えないのに、ポールに乗った郵便受けがポツン、ポツンと道際にあるのをよく見かけます。 アメリカの映画に良く出てくる風景との出会です。これらに郵便屋さんは、郵便配達車に乗ったまま郵便を入れます。ポールは丁度、車から郵便を入れるのに良い高さになっているようです。郵便配達車は赤色ではなく、青いマークの付いた白いボックス型で、運転席のドアーが広く開き、郵便物を出し入れしやすくなっています。先日見たテレビによると、アメリカのある地域では、このかまぼこ型の郵便受けから郵便が盗まれる事件があり、近所の人と共同の鍵の付いた、ちょうど私たちアパートの郵便受けのようなものに切り替え始めた所もあるとか。

やや小ぶりの郵便配達車
小さな道にも入らないといけないからなのでしょう、やや小ぶりの郵便配達車。郵便物を出し入れしやすい構造になっています。ほとんどの郵便物は車に乗ったまま郵便受けに入れています。
郵便は日本と同じ様に第一種郵便、速達郵便、国際郵便為替、航空便、船便、小包郵便、書留郵便、郵便為替などがあります。日本向け郵便の切手代は、ハガキは70セント、封書は80セントで、普通郵便は5〜6日ぐらいで日本に着きます。小包は重さによって2通りの申し込み用紙兼添付用紙があり、自宅では重さが分からず、どちらにしていいか迷う時もあります。日本から送られてきたEMS(国際エクスプレスメール)は、受け取り人のサインが要るので、メール・ボックスには入れず、家まで配達をしてくれます。留守の時には、不在受け取り票が玄関の扉に張ってあります。大抵翌日再配達してくれますが、それでも不在のときはメイン・オフィス(車で20分)まで取りに行くことになります。

行きつけの郵便局
行きつけの郵便局。右側がオフィス、左側が私書箱の部屋です。前に10台ばかりのパーキングがあります。
小包を出す時は、近くの(車で5分)郵便局を利用しています。窓口に局員3人のちいさな郵便局で、隣り合った部屋には私書箱が壁一面に備え付けてあります。局員はお客さんといろいろな話をしながら、ゆっくりと仕事をしています。お客さんも会話を楽しんでいるみたいです。他のお客さんも焦ることなくゆったりと待っていて、これがセイラム時間なのでしょう。「内容物は?保険をかけますか?危険物は入っていませんか?航空便ですか?船便ですか?」など必ず聞かれます。航空便はエア・メールで分かったのですが、船便はサーフェス(surface:地表。なるほどと後で納得)と言われ、最初は分かりませんでした。何回目かの時、初めてやり直しすることなくスムースにいきましたら、「やったね!」と一緒に喜んでくれましました。また先日は、私が帰る時、日本語で「さよなら」と言ってくれたのも、嬉しいことです。小包便に限って保険をかけることができ、品物が破損した場合、損害請求ができます。また、不測の事態の際、配送ルートを追跡できます。この郵便局のほか、Federal Express(国内宅配便)、DHL(国際、国内宅配便)、UPSなどがあり、日本で言えばクロネコやまと、佐川飛脚便などが、小包と郵便を一緒に扱っているようなものに思います。各人それぞれ、近さ、信頼感、速さ、値段などの理由で、どれを使うか選択しています。

こちらに住んでいると、電気、電話、E-mail、水道などと同じように、郵便、小包も大切な生命線だと改めて感じます。郵便屋さんは、大体午後2時から3時頃に配達に来ますので、夕方に郵便受けをチェックします。日曜日は配達は休みです。この地域担当の郵便屋さんは小柄な黒人で、最近は私を覚えていて、近所で会うと「ハーイ」と声を掛けてくれます。 こんなところも、うれしいです。アメリカだからなのでしょうか、セイラムだからなのでしょうか。

2004/02/01-from etsuko
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